絆の環境設計21世紀のヒューマニズムをもとめて

著者名
土居義岳 編
価格
定価 1,800 円 (税別)
ISBN
978-4-7985-0126-0
仕様
A5判 並製 216頁 C0052
発行年
2014年3月
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内容紹介

東日本大震災以降,日本では絆という言葉が流行り言葉のようにもてはやされるようになった。しかし,この言葉に込められた本当の意味をわたしたちはどれだけ理解しているだろうか。被災者と復興ボランティアの絆,近世の天皇と町人の絆,建築家と施主・施設利用者の絆,作曲家と聴衆の絆,地域の教会と信徒の絆など,古今東西の事例から絆の果たしてきた役割とこれからのあり様を考える。
九州大学芸術工学研究院の環境設計学科の教員たちによる市民講座の講義録。

目次

はじめに
 
第1部 アクティビティを共有すること
 
バングラデシュの共同水源
 
1 絆とは?
2 バングラデシュの共同利用水源
3 ソーシャルキャピタルとしての絆
 
建築ワークショップ
 
1 建築ワークショップでよくある質問
2 建築ワークショップの問題児
3 創作上のジレンマ
4 ワークショップの実践例
5 建築計画の研究として
6 建築ワークショップのポエチカ
7 建築ワークショップの理解へ向けてのヒント
8 「建築ワークショップ」設計者・ユーザーのための六ヵ条
 
建築への、人への想像力としての絆
 
1 『星の王子さま』と環境設計
2 建築プロジェクトを通して
3 さまざまなスケールがもたらす違い
4 ひとりひとりの存在の意味
 
ダイアローグ1
 
1 「絆」をつくれるか
2 バングラデシュにおける人の「つながり」
3 コミュニティ概念の再検討
4 不在の他者への想像力
 
第2部 芸術はいかに近代社会における絆であるか
 
矛盾の共生としてのモニュメント
 
1 原広司と均質空間論
2 アンリ・ルフェーブルと「空間の生産」
3 デヴィッド・ハーヴェイ
4 二月革命
5 産業家もすこしはいいことをした
6 第二帝政とパリ=コミューン
7 サクレ=クール
 
一九世紀ドイツにおける音楽
 
1 芸術が人びとをつなぐ
2 ヴァーグナーとハンスリック
3 音楽の聴き方はこれからどう変わるか
 
「絆」をこえる絆の可能性
 
1 「絆」について
2 ギブ・アンド・テイク
3 ジャック・デリダの「歓待」
4 個人のフォルム
 
ダイアローグ2
 
1 無関係としての絆
2 拘束しない絆
3 絆にかわる絆
 
第3部 ともに自然と向かいあうこと
 
災害時にみる自然と地域の絆
 
1 宮城県南三陸町志津川
2 岩手県釜石市片岸町
3 福岡県八女市黒木町
4 災害復興という環境設計へ
 
地域におけるバイオマスの利活用
 
1 「絆」からみる環境の制御  近代と前近代  
2 アダム・スミスのコミュニケーション  「絆」の解体から始まる「絆」  
3 ハーバーマスのコミュニケーション  現代における環境制御と「絆」  
4 バイオマス成功の鍵を握る地域社会の力
5 生ごみ資源化の町、福岡県大木町における住民参加
6 地元企業の「絆」がつくるバイオマスタウン  岡山県真庭市  
7 人と自然を徹底して活かす  高知県檮原町  
8 市民のコミュニケーション力と環境デザイン力
 
ダイアローグ3
 
1 伝統と近代を縦断する絆
2 躍動する公共圏をもとめて
3 日本社会の困難
4 一極集中のなかで
 
第4部 文化財をいかに共有するか
 
教会建築の営繕をめぐって
 
1 「営繕」について
2 教会堂営繕の具体例
3 文化財制度と営繕
4 文化財価値としての営繕活動
 
近世の天皇と町のつながり  安政度内裏遷幸を例として  
 
1 はじめに
2 都市・京都
3 安政度内裏と遷幸
4 遷幸の背景
5 遷幸と町
6 おわりに  絆と歴史  
 
文化財をめぐる町の矜持
 
1 地方の小都市をめぐる文脈・矜持・紐帯
2 さまざまなカタストロフィ
3 学生たちに伝えた「矜持」の理念
4 文脈を甦らせ未来につなげてゆく
 
ダイアローグ4
 
1 宗教、貴人についてのコメント
2 北欧建築における引き算のデザイン
3 文化財はなにを見せるのか
4 文化財制度のあゆみとこれから
 
おわりに

著者紹介

谷 正和(たに まさかず)
 
1957年生。早稲田大学卒業。アリゾナ大学大学院博士課程修了。文化人類学,環境人類学。Ph.D. アリゾナ大学研究員,宮崎国際大学助教授,九州芸術工科大学助教授をへて,九州大学大学院芸術工学研究院准教授。南アジアの農村を主なフィールドとする環境問題,貧困にかんする調査研究をおこなっている。
 
著書:『村の暮らしと砒素汚染:バングラデシュの農村から』(九州大学出版会,2005)。
 
受賞:第10回国際開発研究大来賞。
 
田上健一(たのうえ けんいち)
 
1966年生。筑波大学卒業。マンチェスター大学大学院修了。博士(工学)。日本設計,琉球大学工学部助手をへて,九州大学大学院芸術工学研究院准教授。建築計画・建築設計。住居,教育施設,文化施設などを参加型の手法で設計するための研究と実践を,日本,アジア,ヨーロッパで展開している。
 
著書:『フィールドに出かけよう』(風響社,2012),『建築設計のための行く/見る/測る/考える』(鹿島出版会,2011),『循環建築・都市デザイン』(技法堂出版,2008),『拡張する住宅』(三省堂書店,2004)。
 
作品:緒方消化器内科,回折の家,分界稜の家,日の里中学校など。
 
受賞:グッドデザイン賞,日本産業デザイン振興会(2009),九州建築賞・奨励作品(2009),日本建築学会奨励賞(論文),日本建築学会(2009),熊本鉄骨建築賞(2008),豊の国木造住宅賞(2009),第28回住まいのリフォームコンクール・優秀賞など。

鵜飼哲矢(うかい てつや)
 
1966年生。東京大学大学院修士課程修了および Architectural school of Architectural Association 卒業。文化庁在外派遣芸術家研修員,東京大学助教をへて,九州大学大学院芸術工学研究院准教授。建築設計・デザイン,都市デザイン。アートとデザイン,福祉,経済,地域活性を結ぶ「だんだんボックス」を発案,活動中。
 
著書:『ロンドンの近現代建築』(丸善,1988),『立体都市』(DOMUS CHINA,2011)など。
 
作品:フジテレビ本社ビル(丹下健三・都市・建築設計研究所にて),吾輩の家(2005),南麻布集合住宅(2012),刈谷ハイウェイオアシス(2004),刈谷医師会館(2009)など多数。
 
受賞:グッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会)(2011,2007,2002),愛知県知事賞(2008),日本建築士会連合会賞優秀賞(2005),日本建築家協会優秀建築選(2008,2006),日本建築学会東海賞(2001)など多数。

土居義岳(どい よしたけ)
 
1956年生。東京大学大学院博士課程単位取得退学。工学博士。東京大学助手,九州芸術工科大学助教授をへて,九州大学大学院芸術工学研究院教授。建築史。
 
著書:『言葉と建築』(建築技術,1997),『建築と時間』(岩波書店,2000),『アカデミーと建築オーダー』(中央公論美術出版,2005)。 Pour un vocabulaire de la spatialité Japonaise ─The 43rd International Research Symposium, International Research Center for Japanese Studies, 2013など。
 
翻訳:ピエール・ラヴダン『パリ都市計画の歴史』(中央公論美術出版,2002)。デイヴィド・ワトキン,ロビン・ミドルトン『新古典主義と19世紀の建築』(本の友社,1998)など。

山内 泰(やまうち やすし)
 
1977年生。九州大学芸術工学府博士後期課程修了。芸術工学博士。NPO法人ドネルモ代表理事。福岡歯科大学非常勤講師(美学:2010~2012,2014~)。「自分たちが求めるものを自分たちでつくっていける文化的な社会」を目指すNPO法人ドネルモの代表として,コミュニティ・デザインや文化事業の企画に従事。
 
著書:『西洋近代音楽における形式美学とその理念─ E・ハンスリックと Th・W・アドルノの音楽美学思想に関する研究』(九州大学博士論文,2009)。

古賀 徹(こが とおる)
 
1967年生。北海道大学文学部卒業。北海道大学大学院哲学専攻終了。博士(文学)。九州芸術工科大学助教授をへて,九州大学大学院芸術工学研究院准教授。哲学,倫理学,美学,デザイン原論。現象学やフランクフルト学派の研究から出発し,現在ではドイツ,フランス,アメリカの現代思想を幅広く取り扱う。それと同時に,個別具体的な社会問題を哲学的枠組みで読み解く作業や,デザインの美学についても研究し,哲学の言葉を地域社会に開くさまざまな活動を展開している。
 
著書:『理性の暴力─日本社会の病理学』(青灯社,2014)。『超越論的虚構─社会理論と現象学』(情況出版,2001)。『認識論のメタクリティーク』(法政大学出版局,1995)。『アート・デザイン・クロッシング 1,2』(九州大学出版会,2005/2006)(編著)。

朝廣和夫(あさひろ かずお)
 
1970年生。九州芸術工科大学卒業。同大学院芸術工学研究科生活環境専攻修了。博士(芸術工学)。緑地保全学。(株)アーバンデザインコンサルタント,九州芸術工科大学助手をへて,九州大学大学院芸術工学研究院准教授。福岡近郊の保全系の緑地を対象に教育活動を実施。近年は,平成24年7月九州北部豪雨の農林地復旧支援やバングラデシュ・テクナフ半島の里山保全の研究活動を展開。
 
著書:『デザイン教育のススメ』(花書院,2012)(共著),『よみがえれ里山・里地・里海』(築地書館,2010)(共著)。

近藤加代子(こんどう かよこ)
 
1960年生。岡山大学法文学部法学科卒業。名古屋大学大学院博士課程単位修得退学。博士(工学)。環境政策,環境経済学,社会思想史。九州芸術工科大学助教授をへて,九州大学大学院芸術工学研究院准教授。研究ではアジアの低炭素なライフスタイルや環境要因,地域の自然エネルギー利用を支える社会的要因・政策が現在の課題である。社会活動では地域における有機性資源循環や自然エネルギー導入の計画づくりなどに関わっている。
 
著書:『地域力で活かすバイオマス─参加・連携・事業性─』(海鳥社,2013)(共編著),『循環から地域を見る─自然循環型地域社会へのデザイン─』(海鳥社,2010)(共編著)など。
 
翻訳:ディンウィディ『ベンサム』(日本経済評論社,1993)(共訳),D・ウィンチ『アダム・スミスの政治学』(ミネルヴァ書房,1989)(共訳)。
 
受賞:福岡県環境功労賞など。

福島綾子(ふくしま あやこ)
 
早稲田大学第一文学部考古学専攻卒業。ペンシルバニア大学スクール・オブ・デザイン文化遺産保存専攻修士課程修了。科学修士(文化遺産保存)。ユネスコ北京事務所,(株)キャドセンターをへて,九州大学大学院芸術工学研究院助教。専門は文化財学。文化財の有形・無形価値の研究・評価,特に宗教遺産の無形価値について研究をおこなっている。
 
著書:『生きている文化遺産と観光』(学芸出版社,2010)(共著),『香港の都市再開発と保全』(九州大学出版会,2009)。

岸 泰子(きし やすこ)
 
1975年生。京都大学工学部建築学科卒業。京都大学大学院工学研究科生活空間学専攻博士課程研究指導認定退学。博士(工学)。京都大学大学院助手・助教を経て,九州大学大学院芸術工学研究院准教授。日本建築・都市史。
 
著書:『近世の禁裏と都市空間』(思文閣出版,2014),『真宗本廟(東本願寺)造営史』(真宗大谷派宗務所,2011)(共著),『京 まちづくり史』(昭和堂,2003)(共著)。

藤原惠洋(ふじはら けいよう)
 
1955年生。九州大学工学部建築学科卒業。東京藝術大学大学院修士課程修了。芸術学修士。東京大学大学院博士課程修了。工学博士。千葉大学助手,東京大学生産技術研究所研究員,九州芸術工科大学助教授を経て九州大学大学院芸術工学研究院教授。日本近代建築史学,芸術文化環境論,文化政策学,文化資源学。文脈,矜持,紐帯のキーワードを駆使しながら社会とアート・文化資源を結ぶ理論研究および実践活動を史家とまちづくりオルガナイザーの立場から展開。文化庁文化審議会世界文化遺産特別委員会委員,文化庁創造都市選考委員会委員,福岡アジア文化賞委員会芸術文化選考委員会委員長,文化資源学会理事,文化経済学会〈日本〉理事,日本文化政策学会理事,総務省域学連携事業採択熊本県菊池域学連携事業実行委員長,などを歴任。
 
著書:『アジアの都市と建築』(鹿島出版会,1987),『上海 疾走する近代都市』(講談社現代新書,1988),『伊東忠太読本』(読売新聞社,1997),『Practica』(フィルムアート社,2004)。
 
翻訳:マシュー・フレデリック著『建築デザインを考える101の方法』(フィルムアート社,2010)など。
 
作品:ふくおか県民創作劇場「天の滴,月の樹にすくう」戯曲・演出・プロデュース(1997)福岡市文学館空間デザイン(2002),小島直記文学碑(2005),阿蘇墓所「なむ」(2011)。
 
受賞:福岡市都市景観賞,(2003),福岡県まちづくり大賞まちづくり功労賞(2004),国交省まちづくり貢献賞(2004)。

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