ユーゲントシュティルからドイツ工作連盟へ 世紀転換期ドイツの美術工芸工房と教育

著者名
針貝 綾
価格
定価 5,940円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0212-0
仕様
A5判 上製 404頁 C3070
発行年
2017年9月
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内容紹介

アーツ・アンド・クラフツ運動からバウハウスへ至る、モダンデザインの系譜に連なるドイツの美術工芸運動。本書では、19世紀末から20世紀初頭のドイツにおいて相次いで設立された「工房」によるデザイン運動に焦点を当てる。

特にミュンヘン手工芸連合工房やドイツ工房などの代表的な工房を取り上げ、その具体的な活動を、理念、運営などの諸側面と教育の2つの観点から論じ、これらの工房がドイツ近代の美術工芸運動において、いかなる役割を果たしたのかを考察する。

目次

序 章 世紀転換期ドイツにおける美術工芸の工房と教育
 
  第1節 研究の目的
  第2節 先行研究
   (1) ミュンヘン手工芸連合工房
   (2) ドイツ工房
   (3) 教育工房と美術工芸学校などにおける工房教育
  第3節 本書の構成
 
第1章 ミュンヘン手工芸連合工房
 
  第1節 設立の経緯
   (1) 第七回国際美術展における小芸術部門の新設と手工芸委員会の設立  一八九七年
   (2) 第七回国際美術展小芸術部門の展示:ユーゲントシュティルの出現  一八九七年
   (3) 手工芸委員会の設置  一八九七年
   (4) 手工芸連合工房への参加呼びかけ  一八九八年
  第2節 会社沿革
   (1) 設立契約書と共同出資者  一八九八年
   (2) ミュンヘン手工芸連合工房の移転計画と工房の構成
   (3) 工房の移転  一九〇三年
   (4) 工房の株式会社化  一九〇七年
   (5) 共同展示販売「手工芸美術連合ドイツ工房」の設立  一九〇八年
   (6) 工場建設と支店開設  一九〇九年
  第3節 万国博覧会への参加
   (1) パリ万国博覧会  一九〇〇年
   (2) 第一回トリノ国際現代装飾美術展  一九〇二年
   (3) セントルイス万国博覧会  一九〇四年
   (4) ブリュッセル万国博覧会  一九一〇年
  第4節 ドイツ国内の展覧会への参加
   (1) ミュンヘン年次展  一八九八年
   (2) ドイツ美術展、ドレスデン  一八九九年
   (3) ミュンヘン造形芸術家協会「分離派」国際美術展  一八九九年
   (4) ミュンヘン年次展、ガラス宮  一八九九年
   (5) バイエルン美術工芸協会展  一九〇〇年
   (6) 第一回手工芸美術展、ミュンヘン  一九〇一年
   (7) 第一回ドイツ芸術家連盟展、ミュンヘン  一九〇四年
   (8) 第一回ミュンヘン応用美術連合展  一九〇五年
   (9) 第三回ドイツ美術工芸展、ドレスデン  一九〇六年
   (10) 大ベルリン美術展  一九〇七年
  第5節 ドイツ工作連盟との関わり  一九〇七〜一四年
   (1) 創立「工房」と創立会員
   (2) 設立総会と基本方針
   (3) 綱領報告書
   (4) 一九一四年ドイツ工作連盟展ケルンと「規格化」に対する反発
  第6節 規格家具:パウルのシリーズ家具「タイプ家具」  一九〇八年
   (1) リーマーシュミートの機械家具と混同されるタイプ家具
   (2) 生産の背景
   (3) タイプ家具プログラム
   (4) 他の規格家具との違い
  第7節 まとめ
 
第2章 ドイツ工房
 
  第1節 会社沿革
   (1) 建築家具美術工芸品製作所〜ドレスデン手工芸工房時代  一八九九〜一九〇六年
   (2) ドイツ手工芸工房時代  一九〇七〜一二年
   (3) ドイツ工房時代  一九一三〜二〇年頃
  第2節 万国博覧会への参加
   (1) パリ万国博覧会  一九〇〇年
   (2) トリノ国際現代装飾美術展  一九〇二年
   (3) セントルイス万国博覧会  一九〇四年
   (4) ブリュッセル万国博覧会  一九一〇年
  第3節 ドイツ国内の展覧会への参加
   (1) ドイツ美術展ドレスデン一八九九年
   (2) 世帯のための国民的展覧会ドレスデン一八九九年
   (3) 第二回国際美術展ドレスデン一九〇一年
   (4) 第三回ドイツ美術工芸展ドレスデン一九〇六年
  第4節 ドイツ工作連盟との関わり
   (1) 設立の背景  ムテジウス事件
   (2) 創立会員と創立「工房」
   (3) 設立総会と基本方針
  第5節 田園都市ヘレラウ
   (1) 田園都市建設計画から入植まで
   (2) 工房内の組織
   (3) ドイツ家庭家具  機械家具
  第6節 まとめ
 
第3章 教育工房と美術工芸学校などにおける工房教育
      工房の図案家による工房教育理念の導入  
 
  第1節 ヴュルテンベルク王立美術工芸学校教育実験工房、シュトゥットガルト
   (1) 沿革  創設から美術工芸学校との統合まで  
   (2) 教育実験工房の設立経緯  連合工房のシュトゥットガルト移転計画から教育実験工房の設立へ  
   (3) 教育実験工房
  第2節 ニュルンベルクのバイエルン産業博物館附属美術工芸マイスター・コース
   (1) バイエルン産業博物館と館長テオドール・フォン・クラマー
   (2) 美術工芸マイスター・コース
  第3節 応用自由美術教育実験アトリエ(デプシツ=シューレ)における教育と工房
   (1) 創設理念と創設者
   (2) カリキュラムと教育工房の教員
   (3) 教育理念と生徒
   (4) オプリストの引退とその要因
   (5) 契約工房における生産と作品展示
   (6) デプシツ=シューレ時代の「教育」から終焉へ
  第4節 ドイツ手工芸工房附属工芸専門学校および教育工房における教育
   (1) 附属工芸専門学校および教育工房の沿革と組織
   (2) 附属工芸専門学校および教育工房の基本方針
   (3) 附属工芸専門学校におけるカリキュラム
   (4) 附属教育工房における教育実践
   (5) 附属工芸専門学校および教育工房の計画についてのさまざまな見解
   (6) 附属工芸専門学校および教育工房とバウハウスのカリキュラムの比較
  第5節 ドイツ工作連盟と美術産業に携わる後進の「教育」
   (1) 創立会員と教育との関わり
   (2) 設立総会に示された基本方針と「教育」
   (3) 「綱領報告書」に説かれた美術産業に携わる後進育成の必要性
  第6節 まとめ
 
結 章
 
あとがき
 
主要参考文献
工房関係の資料一覧
主要人物略歴
図 版
人名索引
事項索引

著者紹介

針貝 綾(はりかい あや)
 
長崎大学教育学部准教授。博士(芸術学)。
1997/98年度ロータリー国際親善奨学生としてミュンヘン大学に留学。
1999年筑波大学博士課程芸術学研究科芸術学専攻単位取得退学。
鹿児島県立短期大学生活科学科講師(生活デザインを担当)を経て,
2004年より現職(美術理論・美術史を担当)。
 
平成21年度日本デザイン学会年間論文賞受賞。

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