現代音楽×メディアアート 音響と映像のシンセシス

著者名
中村滋延
価格
定価 3,300円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-87378-980-4
仕様
A5判 並製 222頁 C3070
発行年
2008年9月
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内容紹介

 音楽は聴覚芸術であるが,西洋においてそれが芸術として発展してきたのは,音を的確に視覚化しえたということに要因がある。本書は,この聴覚と視覚の関係に焦点を絞り,20世紀以降の音楽(現代音楽)を音の視覚化の面から論述している,かつて視覚化は楽譜という紙媒体のみでなされてきたが,トーキー映画が出現して以来,音の視覚化はフィルムやビデオ,パソコン画面などにおいても実現されるようになってきた。特にこれらの媒体は「時間」を内包しており,音楽との関係が表現上に非常に密である。そこで,音を重要視した映像アートについても,音楽との関わりに焦点をあてて論述し,さらにそれらを通して,マルチメディア環境を活かした表現の方法についても解説している。

目次

  まえがき
第1章 音楽構成論  音の視覚化を中心にした現代音楽論
   1. なぜ,現代音楽?
   2. 前提1:音楽とは何か
   3. 前提2:楽譜とは何か
   4. 五線記譜法の長所と短所
   5. 空間概念への転用が生み出した音楽:バッハとウェーベルン
   6. 視覚化が生み出した音楽:ベートーベンとシェーンベルク
   7. 視覚化の限界:総音列音楽
   8. 総音列音楽から音群的音楽へ:音群的音楽の4つのタイプ
   9. 図形楽譜,そして偶然性の音楽
  10. 現代音楽史概説
  11. 楽譜としてのコンピュータ画面
  12. 再び,音楽とは何か,さらに音楽を理解するとは何か
第2章 コンピュータ音楽再考
   1. 身近な存在,コンピュータ
   2. コンピュータ音楽の諸相
   3. 音楽系メディアアート
   4. 映像アートとしてのコンピュータ音楽
   5. 第三の道
第3章 映像アートのための音楽づくりの方法
   1. 制作・教育の現場から
   2. 映像アートを語るための用語
   3. 映像と音楽の関係づけ
   4. 実践に向けて
第4章 視覚と聴覚の統合  「映像音響詩」の作曲技法
   1. 音楽系メディアアートから映像音響詩へ
   2. 映像音響詩とは何か
   3. 映像音響詩の構成要素
   4. 構成要素としての音響
   5. 構成要素としての映像
   6. 視覚的要素と聴覚的要素との関係
   7. 視覚と聴覚の総合
第5章 映像のためのサウンドデザインにかかわる実習課題
   1. 授業名とその位置づけ
   2. 実習課題設定の基本理念
   3. 実習課題の実施手順
   4. 課題1「音をみつめる」の内容
   5. 課題1「音をみつめる」の実施成果
   6. 課題2「変奏曲のように」の内容
   7. 課題2「変奏曲のように」の実施成果
   8. 成果と反省
第6章 アート・アニメーションにおける音表現
   1.音表現に焦点を絞った評論集
   2.久里洋二《G線上の悲劇》
   3.コ・ホードマン《シュッシュッ》
   4.ヤン・シュヴァンクマイエル《男のゲーム》
   5.イジー・バルタ《見捨てられたクラブ》
   6.マーリア・プロハースコヴァー《足跡》

   あとがき
   参考文献
   主要人物解説および索引

著者紹介

中村滋延(なかむら しげのぶ)
1950年生まれ。作曲家/メディアアーティスト。交響曲4曲を含む100曲近くのクラシック系音楽を作曲。また音楽系メディアアートという領域を創成し,映像重視のコンピュータ音楽やサウンド重視の映像アートを多数制作。1997~98年にはZKM(ドイツにある世界的に有名なメディアアート研究所)滞在芸術家として活動。作品は内外の著名音楽祭や国際会議等でたびたび上演され,放送機会やCDも多い。最近はラーマヤナをテーマにした創作に集中。文筆活動・イベント企画にも積極的に取り組む。現在,九州大学大学院芸術工学研究院教授,福岡アジア21世紀音楽協会代表。

学術図書刊行助成

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