遼東半島上馬石貝塚の研究

著者名
宮本一夫 編
価格
定価 8,800円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0149-9
仕様
B5判 上製 404頁 C3022
発行年
2015年3月
ご注文
  • 紀伊國屋
  • amazon
  • 楽天ブックス
  • セブンネットショッピング

内容紹介

1941年に日本学術振興会によって行われた遼東半島上馬石貝塚の発掘は、長い間その資料が公開されないままであった。それは、新石器時代から青銅器時代さらに初期鉄器時代に至るまで連綿と続く遺跡であり、本地域の基準的な土器編年網を構築できる遺跡であった。これによって作り出された遼東土器編年は、中国中原と朝鮮半島さらには北部九州を結ぶことができるものであり、弥生の実年代を考古学的手法によって唯一解明できるものである。その結果、北部九州の弥生時代の開始は紀元前8世紀頃にあることが証明された。さらには、韓国無文土器文化の起源を土器製作技法から繙き、遼東の偏堡文化の拡散と関係することを初めて明らかにした。こうした土器製作技術の解明は、朝鮮半島の無文土器の始まり、さらには弥生土器の起源を明らかにすることに繋がった。また、韓国初期鉄器時代に相当する粘土帯土器の出自が遼東にあることを、初めて実証的に示したのである。

目次

 巻首図版
 
 序/小野山 節
 
第1章 調査の経過と周辺の遺跡/宮本一夫
 
 1. 発掘調査の経過
 2. 上馬石貝塚日誌抄
 3. 整理調査の経過
 4. 遼東半島先史時代
 5. 遺跡の地形と周辺の遺跡
 6. 遼東半島の戦後の遺跡調査と上馬石貝塚の意義
 
第2章 上馬石貝塚の層位と遺構/宮本一夫
 
 1. 調査地点の配置
 2. A 区のトレンチと層位
 3. B 区のトレンチと層位
 4. C 区のトレンチと層位
 5. D 区のトレンチと層位
 6. その他の地点
 7. 調査地点と貝層
 
第3章 上馬石貝塚出土土器・青銅器/宮本一夫
 
 1. 土器の名称
 2. A 区の土器
 3. B1区の土器
 4. B2区の土器
 5. C 区の土器
 6. D 区の土器
 7. 東丘西南端崖
 8. 西丘東南端崖
 9. 地表採集品
 10. 植物種子圧痕検出土器
 11. 青銅器・青銅器関連遺物
 
第4章 上馬石貝塚出土石器・骨角器/森 貴教
 
 1. 石 器
 2. 骨角器
 
第5章 遼東半島土器編年と上馬石貝塚出土土器の位置づけ/宮本一夫
 
 1. はじめに
 2. 上馬石貝塚の地点別比較
 3. 上馬石貝塚の編年
 4. 上馬石貝塚からみた遼東半島土器編年
 5. おわりに
 
第6章 遼東半島先史時代の土器製作技術  上馬石貝塚を中心として  / 三阪一徳
 
 1. はじめに
 2. 研究史と問題の所在
 3. 資料と方法
 4. 土器製作技術の分類
 5. 遼東半島における土器製作技術の変化とその要因
 6. 朝鮮半島南部の新石器時代から青銅器時代への移行と遼東半島
 7. おわりに
 
第7章 遼東半島先史時代における磨製石器の変遷/森 貴教
 
 1. はじめに
 2. 対象資料と方法
 3. 分  析
 4. 考察:上馬石貝塚出土石器の時期的位置づけ
 5. おわりに
 
第8章 上馬石遺跡の石器・骨角器の製作痕・使用痕観察/上條信彦
 
 1. はじめに
 2. 使用痕観察の資料とその方法
 3. 石鎌の観察結果
 4. 石庖丁の観察結果
 5. 磨棒の形態と使用痕の観察結果
 6. 凹みのある台石の形態と使用痕の観察結果
 7. 磨製石鏃の形態と製作痕の観察結果
 8. 角剣の研磨痕の観察結果
 
第9章 上馬石貝塚出土土器圧痕調査の成果/小畑弘己
 
 1. 調査対象資料と調査法
 2. 調査結果と成果
 3. 考  察
 
第10章 上馬石貝塚の籾圧痕について/李 作婷
 
 1. はじめに
 2. 資  料
 3. 分析手順
 4. 分析結果
 5. 考  察
 
第11章 上馬石貝塚からみた遼東半島先史時代/宮本一夫
 
 1. はじめに
 2. 上馬石貝塚からみた遼東半島土器編年
 3. 弥生土器の製作技術の系譜
 4. 韓半島無文土器文化の成立
 5. 土器編年からみた東北アジアの実年代  弥生時代開始期の実年代  
 6. 石器の分析や土器圧痕分析からみる遼東半島初期農耕の発達段階
 7. 上馬石貝塚からみた東北アジア先史時代  まとめに代えて  
 
附篇 上馬石貝塚の動物遺残/長谷部言人
 
 図  版
 参考文献
 
 英語要旨    
 中国語要旨    
 韓国語要旨    
 
 あとがき/宮本一夫

著者紹介

編者:
宮本一夫(みやもと かずお)九州大学大学院人文科学研究院教授(第1〜3・5・11 章・あとがき)

執筆者(50音順):
小野山 節(おのやま せつ)京都大学名誉教授(序)
小畑弘己(おばた ひろき)熊本大学文学部教授(第9 章)
上條信彦(かみじょう のぶひこ)弘前大学人文学部准教授(第8 章)
長谷部言人(はせべ ことんど)東京帝国大学理学部教授(執筆当時)、故人(附篇)
三阪一徳(みさか かずのり)徳島大学埋蔵文化財調査室助教(第6 章)
森 貴教(もり たかのり) 大野城市教育委員会ふるさと文化財課嘱託職員(第4・7 章)
李 作婷(り さくてい)台湾国立自然科学博物館人類学組考古学研究助理(第10 章)

学術図書刊行助成

お勧めBOOKS

若者言葉の研究

若者言葉の研究

生きている言語は常に変化し続けています。現代日本語も「生きている言語」であり、「…

詳細へ

犯罪の証明なき有罪判決

犯罪の証明なき有罪判決

冤罪はなぜ起こるのか。刑事訴訟法は明文で、「犯罪の証明があった」ときにのみ、有罪…

詳細へ

賦霊の自然哲学

賦霊の自然哲学

物理学者フェヒナー、進化生物学者ヘッケル、そして発生生物学者ドリーシュ。本書はこ…

詳細へ

帝国陸海軍の戦後史

帝国陸海軍の戦後史

近代日本のなかで主要な政治勢力の一翼を担った帝国陸海軍は、太平洋戦争の敗戦ととも…

詳細へ

構造振動学の基礎

構造振動学の基礎

本書の目的は,建物・橋梁・車両・船舶・航空機・ロケットなど軽量構造物の振動現象を…

詳細へ

九州大学出版会

〒819-0385
福岡県福岡市西区元岡744
九州大学パブリック4号館302号室
電話:092-836-8256
FAX:092-836-8236
E-mail : info@kup.or.jp

このページの上部へ