人文科学

物にして言葉

物にして言葉

望月俊孝
定価 8,140円(税率10%時の消費税相当額を含む)
〈経験的実在論にして超越論的観念論、超越論的観念論にして経験的実在論〉。 カント理性批判の思索は、この世界反転光学の不断往還のうちに生起する。そして世界直観二局面(アスペクト)間の「にして」の反転が往相から還相へ折り返す刹那、あの中央読点の深層に広がる縹緲たる無の場所で、〈物にして言葉、言葉にして物〉という隠れた主題が新たに浮上する。ゆえに第一批判は、たんに認識論であるのみならず、つねに同時に存在論であり言語論である。そして三批判書は、われわれ人間が住まう「経験の可能性」の大地に「あるもの」と「...
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遼東半島上馬石貝塚の研究

遼東半島上馬石貝塚の研究

宮本一夫 編
定価 8,800円(税率10%時の消費税相当額を含む)
1941年に日本学術振興会によって行われた遼東半島上馬石貝塚の発掘は、長い間その資料が公開されないままであった。それは、新石器時代から青銅器時代さらに初期鉄器時代に至るまで連綿と続く遺跡であり、本地域の基準的な土器編年網を構築できる遺跡であった。これによって作り出された遼東土器編年は、中国中原と朝鮮半島さらには北部九州を結ぶことができるものであり、弥生の実年代を考古学的手法によって唯一解明できるものである。その結果、北部九州の弥生時代の開始は紀元前8世紀頃にあることが証明された。さらには、韓国無...
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日本の出版物流通システム

日本の出版物流通システム

秦 洋二
定価 4,070円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書では日本の出版物流通業を事例として,流通システムの空間構造が中間業者(取次会社)と小売業者(書店)の間の「垂直的企業間関係」によってどのような影響を受けているのかを分析しています。私たちにとってなじみ深い紙の本や雑誌の流通について、取次会社や書店に対する丁寧な聞き取り調査に基づいて議論が展開されており、その意味で本書は資料的な価値も有していると言えるでしょう。 電子書籍やアマゾンなどのネット書店といった、今流行りの出版事情について触れられていない点を残念に感じる読者もおられるかもしれませんが...
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御津の浜松一言抄

御津の浜松一言抄

辛島正雄
定価 3,960円(税率10%時の消費税相当額を含む)
夢と転生に彩られた甘美な恋物語という従来の解釈から、二人の男が互いの想い人を奪い合う、「恋の闘争」の物語へ  『無名草子』において平安後期物語の三大傑作に数えられながら、近世以前に首尾を逸亡させ、国学者たちによる研究も不発に終わった『浜松中納言物語』(原題「御津の浜松」)は、昭和初期に最終巻の伝本が二本発見されたことにより、研究史上の新時代を迎えた。以来、八十年余りを経て、その間には優れた注釈書も著され、読解のための環境は整ったように見えるのだが、実際にはどうなのか。本書は、最終巻前半に見える主...
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エリザベス朝史劇と国家表象

エリザベス朝史劇と国家表象

佐野隆弥
定価 6,380円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ヘンリー8世からエリザベス1世そしてジェイムズ1世が統治した初期近代は、イングランドが近代的国家体制の構築に向かう時期に当たる。イングランド国教会の設立に代表される政治的・宗教的言説流通の中で、国家意識の急激な高まりは多くの年代記とイングランド史劇を中心とする歴史劇を生み出した。本書は、16世紀初頭から1642年の劇場閉鎖までの時期に創作された50編ばかりの全歴史劇を対象に、個別のイングランド史劇に描き込まれた国家表象(イングランド表象)の有りようを時系列に沿って網羅的に記述した、演劇史研究であ...
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麻生太吉日記 第四巻

麻生太吉日記 第四巻

麻生太吉日記編纂委員会 編
定価 11,000円(税率10%時の消費税相当額を含む)
昭和3年から6年にいたる金融恐慌・昭和恐慌の時期の炭鉱経営者・電力経営者麻生太吉の日記。麻生は鈴木商店の破綻によって破産した帝国炭業を引き受け、九州鉱業を設立する。九州水力電気の社長を引き受け、本社を東京から福岡に移転する。石灰事業では輸送の充実を図 り、金宮鉄道を設立し九州産業鉄道に合併し、セメント事業参入への足場を築いた。経営者麻生太吉が最も充実した晩年の姿を記録する。 (さらに…)
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知覚・言語・存在

知覚・言語・存在

円谷裕二
定価 5,940円(税率10%時の消費税相当額を含む)
20世紀フランスの代表的哲学者メルロ=ポンティは、世界とは何か、自己やその生とは何か、あるいは世界と自己の原初的で根源的な関係はどのようになっているのかなど、古代ギリシア以来現在に至るまで侃々諤々の議論が絶えない哲学の根本諸問題に対して、透徹した洞察力と事象そのものに促された両義性という両立しがたい観点から他に類を見ない一貫した表現力によって接近している。本書は、存在、知覚、身体、言語、歴史、芸術、倫理などのテーマを手がかりに、彼の哲学との対話と対決の中から紡ぎ出されたものであり、テーマの多様性...
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佐賀藩多久領 御屋形日記 第三巻

佐賀藩多久領 御屋形日記 第三巻

大園隆二郎 監修/多久古文書学校 校註
定価 3,300円(税率10%時の消費税相当額を含む)
旧佐賀藩の家老で多久領主であった多久家の御屋形日記の翻刻と校註。今回は元禄三年八月~五年七月にかけての部分を取り上げる。多久領の支配と民衆生活を窺うことのできる史料である。  (さらに…)
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Derivational Feature-based Relativized Minimality

Derivational Feature-based Relativized Minimality

前田雅子
定価 7,920円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書は、イタリア語、英語、日本語における疑問詞、焦点要素、話題化要素などの語順制限と介在効果に関する統語論の研究書である。特に、単一文に二つの移動が生じる場合の介在効果の事実を収集・精査し、それらを並行移動や分離移動などの独創的な移動操作と派生的な相対的最小性の原理により分析する。さらに、同分析を、英語の焦点化構文(重名詞句移動、there構文、場所句倒置文)や、日本語のwh句と焦点化要素の介在効果に拡張し、それらの構文を統一的に説明する。また、そもそも意味と音をつなぐ適切な統語構造はどのように...
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大清帝国と朝鮮経済

大清帝国と朝鮮経済

山本 進
定価 8,580円(税率10%時の消費税相当額を含む)
朝鮮王朝後期、清の再侵攻に備え膨大に蓄えられた銀や銅銭が緊張緩和に伴い国庫から市場へと滲出し、手工業大国中国と鉱産資源大国日本との狭間で人蔘輸出と銭本位制による"国民経済"が準備されていった。李祘(イ・サン)や張禧嬪 (チャン・ヒビン)が生きた17~18世紀の朝鮮経済史を、史実の着実な検証により解明する。 (さらに…)
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学術図書刊行助成

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