ヤン・パトチカのコメニウス研究 世界を教育の相のもとに

著者名
相馬伸一 編訳,宮坂和男・矢田部順二 共訳
価格
定価 4,840円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0136-9
仕様
A5判 上製 286頁 C3010
発行年
2014年8月
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内容紹介

パトチカは,フッサールやハイデガーに学んだチェコ20世紀を代表する哲学者として知られるが,激動のチェコ20世紀に三度大学を追われ,最後は官憲の取り調べのなかで死去した。

彼は現象学や歴史哲学の研究で知られるが,彼の祖国が生んだ17世紀の教育思想家コメニウスの研究にも多くの業績を残した。コメニウスを近代教育の先駆者として位置づける啓蒙主義的な解釈も歴史的な断絶を強調する実証主義的な解釈も批判する彼の方法論は,思想史研究のひとつの範型といえる。同時に彼は,過去の思想が現在に語りかけてくることの意味を考えた。これは,そのアクチュアリティーが問われている人文科学への問題提起と見なすことができよう。
パトチカは,コメニウスを17世紀知識革命における,デカルトに代表される自然科学,ホッブズに代表される国家哲学,ヴィーコに代表される歴史学の成立と並んで,世界を教育の相から見た第4の潮流を代表する哲学者として位置づけた。
他方,パトチカ自身の現象学や哲学的素養をもとにコメニウスのテクスト解釈から引き出された,転回,贈与,光のアナロジー,開けた魂といったキーワードは,現代の教育やコミュニケーションを考える際の手引きを与えてくれる。
パトチカのコメニウス論は1940年代から1970年代に至るが,本書は代表的な論文・著作8編から構成。教育学的知識がなくても読めるように解説と訳注を充実させ,人名・事項索引も収録。

目次

パトチカのコメニウス研究  その成り立ちと意義   相馬伸一
 

コメニウスへの新たなまなざしについて
 
コメニウスと一七世紀の主要な哲学思想
 
ヴェルラム卿ベーコンとコメニウスの教授学
 
コメニウスとクザーヌス
 
『平安の中心』とクザーヌス
 
コメニウスと開けた魂
 
コメニウスと今日の人間
 
コメニウスの教育の哲学
 
 編訳者あとがき
 
 人名索引
 
 事項索引

著者紹介

ヤン・パトチカ(Jan Patočka,1907-1977)
チェコ20世紀の哲学者・現象学者・思想史家。プラハのカレル大学に学び,パリのソルボンヌ大学に留学。その後,ドイツ・フライブルクでフッサール,ハイデガーに学ぶ。ナチスのチェコ侵攻にともなってカレル大学の教職を離れ,第二次世界大戦後に復帰するも,社会主義政権の成立とともに再び大学を追われる。その後,科学アカデミーの研究所に勤務するかたわら,哲学,現象学を研究。コメニウス研究にも多くの業績を残す。1968年の「プラハの春」とともにカレル大学に復帰するが,その挫折後,再び教職を解かれる。1977年,ビロード革命後に大統領となるハヴェルらとともにチェコスロヴァキア政府に人権擁護を求める「憲章77」の代表的メンバーとして活動するが逮捕され,取り調べ中に死去。主著に『哲学的問題としての自然的世界』,『歴史哲学についての異端的論考』(石川達夫訳,みすず書房)等がある。チェコでは1996年から『ヤン・パトチカ選集』の刊行が進んでいる。

編訳者略歴
相馬伸一(そうま しんいち)
1963年札幌生まれ。筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得退学,博士(教育学)。現在,広島修道大学人文学部教授。専攻分野は教育思想史,教育哲学。
主要業績
『教育思想とデカルト哲学  ハートリブ・サークル 知の連関  』(ミネルヴァ書房,2001)
コメニウス『地上の迷宮と心の楽園』(監修)(東信堂,2006)
『教育的思考のトレーニング』(東信堂,2008)
「教育と歴史の哲学に向けて」(教育哲学会『教育哲学研究』第104号,2011)など。

共訳者略歴
宮坂和男(みやさか かずお)
1962年長野県生まれ。東北大学大学院文学研究科哲学専攻博士後期課程修了,博士(文学)。現在,広島修道大学人間環境学部教授。専攻分野は哲学,倫理学。
主要業績
『哲学と言語  フッサール現象学と現代の言語哲学  』(ナカニシヤ出版,2006)
「解釈学としての現象学  ディルタイがフッサールに与えた影響  」(東北大学哲学研究会『思索』,第45号,2012)など。

矢田部順二(やたべ じゅんじ)
1961年東京都生まれ。学習院大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得,カレル大学哲学部政府給費奨学生。在チェコ日本大使館専門調査員,北海道大学スラブ研究センターCOE研究員を経て,現在,広島修道大学法学部教授。専攻分野は国際政治史,チェコスロヴァキア現代史。
主要業績
『チェコとスロヴァキアを知るための56章』(第2版,明石書店,2009,共著)
「リスボン条約とチェコ共和国  アイデンティティを問う契機としての歴史問題  」(広島修道大学『修道法学』,第 33巻第2号,2011)など。

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