物にして言葉カントの世界反転光学

著者名
望月俊孝
価格
定価 7,400 円 (税別)
ISBN
978-4-7985-0153-6
仕様
A5判 上製 590頁 C3010
発行年
2015年4月
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内容紹介

〈経験的実在論にして超越論的観念論、超越論的観念論にして経験的実在論〉。 カント理性批判の思索は、この世界反転光学の不断往還のうちに生起する。そして世界直観二局面(アスペクト)間の「にして」の反転が往相から還相へ折り返す刹那、あの中央読点の深層に広がる縹緲たる無の場所で、〈物にして言葉、言葉にして物〉という隠れた主題が新たに浮上する。
ゆえに第一批判は、たんに認識論であるのみならず、つねに同時に存在論であり言語論である。そして三批判書は、われわれ人間が住まう「経験の可能性」の大地に「あるもの」と「あるべきもの」をめぐる、正しい語らいの道の探索である。それは経験的認識の真理を告げる定言命題と、道徳的善の定言的命令法(インペラティーフ)、そして物の美や有機体や歴史の形成の奥にあたかも「自然の技術」が潜んでいるかのように語る接続法(コンユンクティーフ)のアプリオリな原理を探究して、批判的啓蒙近代の新たな形而上学の革命的建築をめざす、世界市民的見地の法廷弁論である。
いささか奇抜なこの解釈仮説のもと、本書は第一批判と対話して、テクストが密かに通奏する言語哲学的低音部に聞き耳を立てる。理性(ロゴス)批判は言語(ロゴス)批判であり、われわれの論弁的(ディスクルシーフ)知性の言語活動(ランガージュ)をめぐる超越論的反省である。そしていまカントをこう読み直すことで、哲学の現在の混迷情況を打開する確かな道標が、必ずや得られるはずである。

目次

はじめに
 
序論 経験的実在論にして超越論的観念論
 
 第一節 漱石『三四郎』からの問いかけ
 第二節 カントの世界反転光学
 第三節 デカルト的近代との批判的対決
 第四節 超越論的実在論の陥穽
 第五節 批判哲学の光学的=建築術的生成
 
   第1部 理性批判の道の建築術
 
第一章 批判の道の思索
 
 第一節 智慧に向かう批判哲学の道
 第二節 方法の確かな道の思索
 第三節 理性批判の道の建築術
 第四節 自然の建築術に聴従する道
 
第二章 自然の技術としての世界建築術
 
 第一節 学問体系の批判的建築術
 第二節 批判哲学の建築術的来歴
 第三節 神の世界建築術  体系思想の胎動
 第四節 天界の自然神学と機械力学
 第五節 物の内なる自然の技術
 第六節 『天界論』の行方  比喩の語りの批判的成熟
 第七節 道徳的政治的な批判的建築術
 第八節 批判的理性の建築術的生成
 第九節 自然の技術としての批判的建築術
 第十節 世界概念に沿う哲学の建築術
 
   第2部 物への問い
 
第一章 伝統的存在論の継承と革新
 
 第一節 物一般への超越論的な問い
 第二節 「物」と「物体」の区別
 第三節 「超越論的」と「経験的」
 第四節 認識主体と対象
 第五節 超越論的実在論から経験的実在論へ
 第六節 超越論的実在論から超越論的観念論へ
 第七節 経験的実在論にして超越論的観念論
 第八節 『批判』の「客観的実在性」の射程
 
第二章 新たな超越論的哲学の場所の究明
 
 第一節 物にして言葉、言葉にして物
 第二節 超越論的観念論の真景
 第三節 内外分別二義の判別
 第四節 超越論的対象、物一般、物自体
 第五節 物の諸相をめぐる光学実験
 第六節 超越と内在
 第七節 「物一般」の二義性
 第八節 超越論的反省の新次元
 第九節 理性批判の革命的展望
 
   第3部 言語への超越論的な反省  カント理性批判の深層
 
第一章 意識から言語へ?
 
 第一節 言語論的沈黙の意味と背景
 第二節 超越論的な言語批判
 
第二章 理性批判の言語論的展開
 
 第三節 理性の反省的な言語批判
 第四節 批判的建築術の言語論的含意
 第五節 論弁的知性と直観的知性の区切りと繫がり
 
第三章 理性批判による言語哲学革命
 
 第六節 理性の言語批判の歴史法廷
 第七節 比喩の言葉の批判的建築術
 
   第4部 世界反転光学の言語批判
 
第一章 形而上学の言語批判的な基礎づけ
 
 第一節 形而上学の二部門体制
 第二節 哲学の思考と語りの現場
 第三節 批判的形而上学の討議的実践
 第四節 「あるもの」と「あるべきもの」
 
第二章 世界反転光学の言語論的展開
 
 第一節 人間理性の超越論的言語批判
 第二節 世界反転光学の言語哲学的意義
 第三節 純粋概念の客観的妥当性
 第四節 超越論的対象と経験的対象
 
第三章 批判的反転光学の真理論
 
 第一節 超越論的な真理の論理学
 第二節 真理概念の言語論的変革
 第三節 超越論的図式作用の意味論的含意
 第四節 経験的真理の超越論的な権利根拠
 
第四章 実践的自己規定の語らいの道へ
 
 第一節 わが上なる天空と内なる道徳法則
 第二節 わたしの存在意識という紐帯
 第三節 観念論論駁のための補正弁論
 第四節 超越論的統覚の〈われあり〉の語り
 第五節 理性批判の超越論的反省の語り
 
参考文献
 
あとがき
 
索  引

著者紹介

望月俊孝(もちづき としたか)
1960年静岡市に生まれる。
1982年京都大学文学部卒業。
1987年同大学院文学研究科博士課程単位取得退学,福岡女子大学文学部講師。
現在,福岡女子大学国際文理学部教授(哲学)。

著書:『漱石とカントの反転光学  行人・道草・明暗双双』,九州大学出版会,2012年。
共訳:ローティ他『超越論哲学と分析哲学  ドイツ哲学と英米哲学の対決と対話』(産業図書,1992年),ヘッフェ『政治的正義』(法政大学出版局,1994年),『カント全集14巻 歴史哲学論集』(岩波書店,2000年),『カント全集21巻 書簡1』(岩波書店,2003年)

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