労働の倫理

シリーズ名
諸宗教の倫理学――その教理と実生活――第2巻
著者名
M.クレッカー,U.トゥヴォルシュカ 編/石橋孝明・榎津重喜・中本幹生 訳
価格
定価 2,750円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-87378-920-0
仕様
四六判 並製 204頁 C3012
発行年
2006年11月
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内容紹介

 『諸宗教の倫理学―その教理と実生活』シリーズは,テーマ別に世界の偉大な諸宗教を比較するものである。第1巻「性の倫理」,第3巻「健康の倫理」,第5巻「環境の倫理」,第4巻「所有と貧困の倫理」と刊行してきた本シリーズは,本書,第2巻「労働の倫理」で完結となる。
 ベネディクト派の「祈りと労働」は,おそらく,西洋のキリスト教圏で,労働がどんなに重要な役割を演じてきたか,そして演じているかを,最も明瞭に告げ知らせている。イスラム教,仏教,ヒンドゥー教,そして儒教は人間の労働をどのように評価しているのだろうか。宗教的に動機づけられた労働のエートスは現代産業社会という条件のもとでも維持されるのだろうか。宗教は今日の労働問題や失業問題に役立つのであろうか。

目次

一 ユダヤ教                  ヨハネス・ヴァッハテン
  一・〇 概  観
  一・一 ユダヤの宗教における労働
    1 労働観にとって基礎となる一般的観念
    2 歴史の経過における労働理解
    3 聖書とタルムードの時代
    4 中  世
    5 近  代
  一・二 資  料
    1 職業倫理
    2 労働による救済
二 カトリシズム           フリードリッヒ・トゥルツァスカリク
  二・〇 概  観
  二・一 カトリシズムにおける労働
    1 宗教的に核心となる証言における労働観念
    2 時代の経過における観念の変遷と
      変化する労働諸関係の観念の変遷
  二・二 資  料
    1(a) 人間にとって恵みとしての労働
    1(b) 労働は資本に優先する
    2 教会と失業問題
三 プロテスタンティズム              ロルフ・クラーマー
  三・〇 概  観
  三・一 プロテスタンティズムにおける労働
    1 聖書の労働観念
    2 労働観念の展開
    3 プロテスタントの社会倫理における労働
  三・二 資  料
    1 失業に対する教会の課題と可能性
    2 教会と労働界
四 イスラム教                 モニカ・トゥヴォルシュカ
  四・〇 概  観
  四・一 イスラム教における労働
    1 一般的に
    2 コーランにおける行為と労働
    3 歴史の経過の中での労働理解
  四・二 資  料
    1 労働の意義についてのシリアの教科書
    2 著者とオーストリアのムスリム教区の指導者,スマイル・バリッチ
      博士との文書によるインタビュー
五 ヒンドゥー教             アルフォンス・ヴァン・ディユク
  五・〇 概  観
  五・一 ヒンドゥー教における労働
    序
    1 理想的な世界のモデルと実際の世界の評価
    2 伝統的なヒンドゥー教徒の正統的実践における生活秩序
    3 バガヴァッドギーターにおけるカルマ[行為]ヨーガ
    4 カルマヨーガについての新しいヒンドゥー教のさらなる解釈
    5 村のインド
  五・二 資  料
    1 ガンディーの後継者,ヴィノバ・バーヴェーによる
      カルマ・ヨーガの新ヒンドゥー教的解釈
    2 経済的発展の障害としてのヒンドゥー教
六 仏  教                    ペーター・ゲーリッツ
  六・〇 概  観
  六・一 仏教における労働
    1 労働は否定的に評価される?
    2 労働は八正道の一部であり有用性の原理から離れている
    3 たとえ話における説話
    4 現代仏教では労働を肯定的に評価する
    5 未来の展望
  六・二 資  料
    1 人間の内面的成長に対する労働の関係
    2 雇用者と労働者の関係
七 儒  教                  モニカ・ユーベルヘーァ
  七・〇 概  観
  七・一 儒教における労働
  七・二 資  料
    世界のための学習としての労働:シンガポールの実例
八 宗教的伝統における労働――根本問題
             ミヒャエル・クレッカー/ウド・トゥヴォルシュカ
    1 労働観念に対する伝統の影響の多様さ
    2 宗教の中心命題における労働の評価
    3 宗教的な労働倫理の変化と影響力
    4 近代産業社会との関係 

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