メディア文化と相互イメージ形成 [新装版] 日中韓の新たな課題

シリーズ名
東アジア地域連携シリーズ2
著者名
大野 俊 編
価格
定価 1,980円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0131-4
仕様
四六判 並製 196頁 C1336
発行年
2014年5月
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内容紹介

日本のアニメや漫画,韓国のテレビドラマに代表される大衆文化の越境現象が,東アジアでは広範にみられる。その一方で,インターネット掲示板やブログの世
界では,歴史問題や領土問題などを契機に,隣国バッシングの「ネット・ナショナリズム」が高まる。グローバリゼーション時代の文化のボーダーレス化が,と
りわけ日本・中国・韓国で相互の国のイメージや国民の親近感の改善に必ずしも寄与していない現状をどうみるべきなのか。本書では,日中韓3カ国の研究者
が,メディア文化の発展に伴って深まる日中韓の市民の理解と誤解というジレンマ状況を,テレビドラマ,映画,文学,ネット言論などを素材に分析し,地域の
融和に向けた方策を提言する。

目次

 まえがき  大野 俊
 
第1章 越境するメディア文化と国民感情  大野 俊
 1.はじめに:東アジア大衆文化における福岡の位相
 2.日本における「韓流」と韓国における「日流」
 3.中国における「日流」
 4.東アジアの「環流」
 5.三すくみの相互認識  日中韓の世論調査結果
 6.相互イメージ形成におけるメディア文化の影響
 7.「ネット世論」の台頭と国民感情
 8.「東アジア共同体」構想に必要な視点  地域アイデンティティ・歴史認識・メディア・リテラシー
 
第2章 中日相互イメージの構図と今後の文化交流  崔 世廣
 1.はじめに
 2.中日相互イメージの変化の流れ
 3.中日相互イメージの構図
 4.今後の文化交流の課題
 
第3章 中国における日本のポップカルチャー受容と若者のアイデンティティ  金  嬴
 1.はじめに
 2.日本側の困惑と中国側の疑問
 3.中国における日本のポップカルチャー受容
 4.「鳥の巣世代」とボランティアの出現
 5.可能性とリスク
 
第4章 韓国における日本映像文化の受容と対日認識の変化  金 泳徳
 1.はじめに
 2.日本大衆文化の段階的開放政策の背景と現状
 3.日本の映像文化コンテンツと対日認識の変化
 4.結び
 
第5章 文学を通した「東アジア共同体」実現に向けた模索  呉 錫崙
       韓国文学と日本文学を中心に
 1.はじめに
 2.韓国の出版市場における日本文学
 3.日本の出版市場における韓国文学
 4.韓日文学の東アジア共同体実現に向けた模索  韓流と日流の積極的な活用
 5.提言  結びに代えて
 
第6章 日本における韓流の受容と在日コリアン  小川玲子
 1.はじめに
 2.「韓国」を消費する
 3.在日コリアンと真正さ
 4.韓流を通じた対話の可能性と不可能性
 5.結びに代えて
 
第7章 ネット文化と中日相互イメージの形成  賈  璇
       「ネット言論」の影響を中心に
 1.はじめに
 2.中日インターネット利用の現状
 3.ネット情報伝播の特徴
 4.ネット文化による中日相互イメージへの影響
 5.ネット文化による中日相互イメージへの影響をどう認識するか
 6.中日相互イメージ改善に向けての提言  結論に代えて
 
 あとがき  大野 俊

著者紹介

大野 俊(おおの しゅん) 九州大学アジア総合政策センター教授
毎日新聞記者,国立フィリピン大学客員教授などを経て,2006年より現職。2009年よりアジア総合政策センター長,2010年より中国社会科学院日本研究所客員研究員,河南大学マスメディア学部客員教授も務める。オーストラリア国立大学アジア学部で博士号(東アジア・東南アジア研究)取得。現在の専門は,越境する人と文化に関する研究。単著に『観光コースでないフィリピン  歴史と現在・日本との関係史』(高文研,2000年)など,共著に『日本帝国をめぐる人口移動の国際社会学』(不二出版,2008年),Japanese Diasporas(Routledge,2006)などがある。

崔 世廣(さい せこう) 中国社会科学院日本研究所教授
中国社会科学院日本研究所講師,准教授を経て,現職。日本では,松下政経塾,東京大学,慶應義塾大学,上智大学,皇学館大学などの客員研究員を歴任し,2009年より獨協大学国際教養学部交換教授。中国・南開大学大学院で博士号(歴史学)取得。専門は日本思想史と日本文化論。主な中国語の単著に『近代啓蒙思想と近代化』(北京航空航天大学出版社,1989年),編著に『近代化過程における日本文化の変容』(河北人民出版社,2009年),共著に『現代日本の社会思潮と国民情緒』(北京大学出版社,2001年)などがある。

金  嬴(ジン イン) 中国社会科学院日本研究所准教授
北京テレビ局「BTV」勤務,同研究所講師を経て,2009年より現職。中国社会科学院大学院で博士号(社会学)取得。専門は,社会学,メディア論,文化研究。中国語の単著に『密室と劇場  現代日本政治社会構造の変遷』(人民出版社,2009年),共著に『21世紀中日関係発展の構想』(世界知識出版社,2004年),論文に「日本のバブル政治  2005年総選挙を例に」(『日本学刊』2005年第6号)などがある。

金 泳徳(キム ヨンドク) 韓国コンテンツ振興院首席研究員
韓国放送映像産業振興院研究員を経て,2009年より現職。東アジア日本学会理事,韓日未来フォーラム理事,日本歴史文化学会理事も務める。上智大学大学院博士後期課程(新聞学)満期退学。専門は,日本における韓流と韓国における日流,韓国のドラマ産業。韓国語の共著に『韓流,アジアを超え世界へ』(国際産業文化交流財団,2009年),『韓国のドラマシステム改善に関する研究』(韓国放送映像産業振興院,2007年)など,日本語の共著に『韓流ハンドブック』(新書館,2007年)などがある。

呉 錫崙(オ ソクリュン) 仁徳大学日本語科教授
現代経済研究院人材開発院教授,東国大学校日本学研究所専任研究員など経て,2009年より現職。詩人,文学翻訳家でもある。東国大学校大学院で博士号(文学)を取得。専門は,日本近現代文学(詩)。韓国語の共著に『韓国と日本の共生文化』(東国大学校出版部,2005年),『日本文学にあらわれた韓国及び韓国人像』(東国大学校出版部,2004年)など。訳書に『日本短篇小説傑作選』(幸せな本読み,2009年),『日本の俳句の選集』(冊世上,2006年),『三好達治の詩選集』(小花,同),『草枕』(冊世上,2005年)など多数ある。

小川玲子(おがわ れいこ) 九州大学アジア総合政策センター准教授
ユネスコ・アジア文化センター・プログラムスペシャリスト,国際交流基金アジアセンター・コーディネーター,恵泉女学園大学非常勤講師を経て,2005年より現職。上智大学大学院国際関係論学科博士前期課程修了。ライデン大学文化人類学修士課程修了。専門は文化人類学・社会学。共著に『アジアと向きあう』(九州大学出版会,2009年),Civic Engagement in Contemporary Japan(Springer,2010)など,論文に“Migration of Southeast Asian Care Workers to Japan : Issues and Contestations”, Journal of Asian Women’s Studies, Vol. 7(2008)などがある。

賈  璇(ジャ シェン) 大連海事大学外国語学院日本語学部講師
大連外国語大学大学院で修士号(日本言語文学)取得。中国社会科学院大学院博士課程(日本学)在学中。2003年より現職。専門は,日本思想文化。共訳書に『マンガで学ぶ日本語(文化篇)』(外語教学与研究出版社,2007年),『商談のための日本語』(外語教学与研究出版社,2006年),『日本美食体験篇』(外語教学与研究出版社,2005年),論文に「いわゆる副詞が副詞を修飾することについて(上下)」(『日本語知識』第238,239号,2004年1月,2月)などがある。

その他

東アジア地域連携シリーズ(全5巻)
広がる東アジアの産業連携 メディア文化と相互イメージ形成 東アジアの越境環境問題
東アジアにおける食を考える 老いる東アジアへの取り組み
学術図書刊行助成

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