事例研究の革新的方法[新装版]  阪神大震災被災高齢者の五年と高齢化社会の未来像

著者名
大谷順子
価格
定価 5,060円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0167-3
仕様
A5判 並製 352頁 C3036
発行年
2015年9月
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内容紹介

本書初版が刊行されたのは2006年、阪神大震災から11年後にして東日本大震災の起こる5年前のことである。しかし被災高齢者の孤独死や、復興住宅におけるコミュニティ構築の重要性など本書において取り扱われた問題は、東日本大震災の復興過程においてどれだけの解決が図られただろうか。

質的データ分析ソフトを被災地神戸の高齢者研究に応用した本書は、被災高齢者の生活再建を考えるうえで今日なお貴重な知見を与えてくれる。 
好評につき新装版で刊行。

目次

はしがき

 

第1章 本事例研究の背景設定

 

 はじめに
 第1節 背景1:日本の人口高齢化
 第2節 背景2:1995年1月17日阪神大震災によるダメージ
 第3節 研究の目的と研究上の問いかけ(research questions)
 第4節 本書の構成

 

第2章 文献レビュー

 

 はじめに
 第1節 阪神大震災と他国の自然災害の健康への影響
 第2節 政策形成と施行へのメディアのインプット
 第3節 社会問題としての災害
 第4節 家族の変容と脆弱性(vulnerability)
 第5節 国家とコミュニティのかかわり
 第6節 住まい
 第7節 孤立化
 第8節 ジェンダーと孤立化
 第9節 津波とハリケーン
 まとめ

 

第3章 研究手法

 

 はじめに
 第1節 研究手法
 第2節 データ資料
 第3節 研究者のジェンダーとその他の特徴の研究への影響
 第4節 データ分析
 まとめ

 

第4章 阪神大震災とその後  量的分析

 

 はじめに
 第1節 兵庫県健康調査
 第2節 メディア資料の量的分析
 まとめ

 

第5章 仮設住宅

 

 はじめに
 第1節 仮設住宅でのフィールドワークの背景
 第2節 仮設住宅の分析
 第3節 高齢者の幸福
 第4節 高齢者の世話をすることとは
 第5節 友人をつくる
 第6節 出版された報告書などの紹介
 まとめ

 

第6章 復興住宅

 

 はじめに
 第1節 メディアの復興住宅報道
 第2節 復興住宅におけるエスノグラフィック・フィールドワーク
 第3節 活 動
 第4節 コミュニティワークの分析
 第5節 メディア報道の焦点とトーンに対する人々の見方
 第6節 生活再建のための政策における成功のめやす
 第7節 震災ボランティア
 第8節 コミュニティと人々の健康
 第9節 独居高齢者と住まい
 まとめ

 

第7章 「寂しい」という気持ち

 

 はじめに
 第1節 「寂しさ」と高齢者
 第2節 独りでいることと孤独を感じること
 第3節 「寂しい」気持ちと孤独感
 第4節 高齢者とその成人した子供たちとの関係
 第5節 近隣の人との意味のある人間関係  Z氏の事例  
 第6節 人間らしいつきあい
 第7節 ふれあい
 第8節 生きがい
 第9節 ジェンダー
 まとめ

 

第8章 「孤独死」

 

 はじめに
 第1節 Eye-catching/Attention-grabbing Headlines  人の目に留まる・注意を引く見出し  
 第2節 震災用語
 第3節 将来への課題を提起する
 第4節 「孤独死」と家族の完全欠如
 第5節 コミュニティ変化に対する感情
 第6節 老年期に対する感情
 第7節 死に対する感情
 まとめ

 

終 章 本事例研究のまとめ

 

 はじめに
 第1節 明らかになったこと
 第2節 さらなる研究の必要性
 第3節 本研究の独創性(originality)と
知への貢献(contribution to knowledge)
 おわりに

 

巻末付録

 

参考文献

 

あとがき

 

索 引

著者紹介

大谷順子(おおたに じゅんこ)
 
大阪大学大学院人間科学研究科教授。
大阪大学東アジアセンター長(海外拠点上海オフィス)。
大阪大学総合学術博物館教授・大阪大学適塾記念センターオランダ学研究部門教授兼任。
 
大阪大学歯学部卒。
ハーバード大学修士課程修了。Master of Public Health:MPH(国際保健)及び,Master of Science:MS(人口学)。
ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(LSHTM)Health Policy Dept.及び,ロンドン大学経済政治大学院(LSE)Social Policy and Administration Dept.博士課程修了。Ph.D. 取得。
世界銀行,世界保健機関(WHO)などの国際機関に勤務した後、2005年に帰国し,九州大学准教授・大阪大学准教授を経て現職。
 
専攻は国際保健・人口学,社会開発学,地域研究,研究方法。

学術図書刊行助成

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