自動車メガ・プラットフォーム戦略の進化 「ものづくり」競争環境の変容

著者名
古川澄明 編/JSPS科研費プロジェクト 著
価格
定価 3,960円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0230-4
仕様
A5判 上製 364頁 C3034
発行年
2018年3月
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内容紹介

その誕生から一世紀の歴史を経て、自動車産業は過去に例を見ない劇的な転換期を迎えている。自動車の所有から移動サービスの利用へというユーザーの自動車との関わり方の転換、自動運転の実用化や電気自動車の普及を目指した新規事業者の参入という競争環境の激変、深刻化する大気汚染や普及台数の増加、試験時と実走行時の排気ガス清浄度の乖離に起因する環境規制の強化とそれを背景にした新素材の採用など、自動車産業の様々な側面において急激な変化が起きている。

本書はこれら自動車産業の一大転換の嚆矢となった、新車開発におけるモジュール化の導入とその部品産業への影響を中心に扱う第1編と、電動化、中国市場、新素材、自動運転といった最新のトピックスを扱う第2編からなり、いずれも多くの完成車メーカーや部品メーカーへの取材を通して得られた知見や各社提供の資料に基づいた学際的研究の成果である。今後の自動車産業研究のマイルストーンとなるのみならず、自動車や自動車産業、産業構造の激変に興味を持つ一般読者にとっても知的好奇心を大いに刺激するものとなろう。

目次

 はしがき
 
序 章
 
 1.バックグラウンド
 2.研究課題
 3.研究方法
 4.研究成果

  第1編 メガ・モジュール化戦略とサプライチェーンの変容

第1章 自動車産業におけるモジュラー化第1の波
 
 はじめに
 1.モジュラー化第1の波
 2.欧米における生産モジュール化の状況
 3.モジュール工場の操業形式
 4.モジュール生産方式のコスト低減効果
 おわりに
 
第2章 モジュラー化第2の波:フォルクスワーゲンMQB
 
 はじめに
 1.MQBに至る背景
 2.VW MQBの設計思想
 3.MQBの適用範囲
 4.MQBに対応した生産システムMPB
 5.設計思想としてのMQBの意義
 6.サプライヤーへの影響
 おわりに
 
第3章 日本の自動車産業におけるモジュラー化第2の波
 
 はじめに
 1.ルノー=日産CMF
 2.マツダ・コモンアーキテクチャ構想
 3.VW MQB、ルノー=日産CMF、マツダCAの比較
 おわりに
 
第4章 日本の自動車メーカーの海外生産とサプライチェーン戦略
      アセアン地域を事例として  
 
 はじめに
 1.日本自動車関連メーカーの生産戦略
 2.自動車部品産業の概況
 3.おわりに
 
第5章 メガ・プラットフォーム戦略とアーキテクチャ定義能力競争
      中国民族系自動車メーカーが参戦する意義  
 
 はじめに
 1.メガ・プラットフォーム戦略の出現
 2.中国民族系自動車メーカーをメガ・プラットフォーム戦略へ向かわせた理由は何か?
 3.中国民族系各社の取り組み
 おわりに
 
第6章 モジュール化の進展と自動車メーカーのアジア戦略
      インドネシアにおける自動車産業に注目して  
 
 はじめに
 1.自動車のモジュール化と海外進出
 2.わが国自動車メーカーのモジュール化対応
 3.アジアにおけるトヨタのメガ・プラットフォーム戦略
 4.インドネシアにおけるダイハツの生産戦略の展開
 おわりに
 
第7章 モジュール化の進展と西日本自動車部品サプライヤー
      中国地域の自動車部品サプライヤーの動向と産業振興策の考察  
 
 はじめに
 1.中国地域の自動車関連産業集積の現状
 2.中国地域の部品サプライヤーの特徴
 3.中国地域の部品サプライヤーの3つの方向性
 4. 「メガ・プラットフォーム戦略」と中国地域部品サプライヤーの考察
 おわりに

  第2編 メガ・モジュール化戦略と競争環境の変容

第8章 電動化による次世代自動車の環境対応とサプライチェーン
      欧州、中国を筆頭とした48Vマイルドハイブリッドを中心とするその影響  
 
 はじめに
 1.カーエレクトロニクスの進化と電動化  進化の歴史
 2.環境対策
 3.環境対策と電動化
 4.48Vマイルドハイブリッドについて
 5.電動化に向けたサプライチェーン  中国地域の取り組みとその可能性
 おわりに
 
第9章 中国における新エネルギー車市場形成の道筋
 
 はじめに
 1.中国の自動車市場・産業の特徴
 2.中国の省エネルギー車、新エネルギー車市場における主役とは
 3.中国の新エネルギー車市場の実態
 おわりに
 
第10章 自動車部品の新素材(材料)増加
      自動車の軽量化に関する考察  
 
 はじめに
 1.軽量化の必要性について
 2.軽量化素材の動向と課題
 3.クルマの軽量化と接合技術
 4.構造・形状の見直しについて
 5.シンポジウム、素材メーカー等への軽量化動向調査記録より
 おわりに
 
第11章 自動運転技術
 
 はじめに
 1.自動運転技術の現状と将来
 2.自動運転に必要な部品と技術
 3.各企業の現状と計画
 4.自動運転の将来
 おわりに
 
終 章
 
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 執筆者一覧
 索 引

著者紹介

居城克治(いしろ かつじ)
福岡大学商学部教授
 
岩城富士大(いわき ふじお)
広島市立大学大学院国際学研究科非常勤講師、広島大学客員准教授
 
内田和博(うちだ かずひろ)
広島工業大学工学部教授
 
太田志乃(おおた しの)
一般財団法人機械振興協会経済研究所調査研究部研究副主幹
 
折橋伸哉(おりはし しんや)
東北学院大学経営学部教授、博士(経済学、東京大学)
 
塩次喜代明(しおつぐ きよあき)
九州大学名誉教授、元・福岡女子大学教授
 
竹原 伸(たけはら しん)
近畿大学工学部教授、博士(工学、東京大学)
 
平山智康(ひらやま ともやす)
元・岡山大学研究推進産学官連携機構准教授
 
古川澄明(ふるかわ すみあき)
岡山商科大学経営学部教授、山口大学名誉教授
 
目代武史(もくだい たけふみ)
九州大学大学院経済学研究院准教授、博士(学術、広島大学)
 
李 澤建(り たくけん)
大阪産業大学大学院経済学研究科准教授、博士(経済学、京都大学)

学術図書刊行助成

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