内生的経済成長論 1[第2版]

著者名
R.J.バロー,X.サラ-イ-マーティン 著/大住圭介 訳
価格
定価 6,160円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-87378-911-8
仕様
A5判 並製 468頁 C3033
発行年
2006年9月
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内容紹介

本書は,経済学のうちで最も活気のある研究領域の1つである「内生的成長論」に関する優れた文献である。本書の意義は,既存の成長理論を内生的成長論との関連で位置づけ,一貫した体系にまとめあげ,さらに,実証結果との関連を重視し,真の意味の実証科学としての試みを志向している点である。今では,内生的成長論はマクロ経済学の領域に留まることなく,産業組織論,国際貿易論,開発経済学,イノベーション論,立地論,環境経済学,法と経済学等との関連を深化させ,さらにごく最近では,制度あるいは経済史,政治経済学との関連で新規の視点を提示している。したがって,本書は,経済学の新たな動向に関心のある学生,院生,研究者に広く受け入れられるものと確信する。

目次

序 章
  0.1 成長の重要性
  0.2 世界の所得分布
  0.3 経済成長についての実証的規則性
  0.4 現代成長理論の簡単な歴史的経過
  0.5 第2版の要点
第1章 外生的貯蓄率を伴う成長モデル(ソロー=スワン・モデル)
  1.1 基本的な構造
  1.2 ソロー=スワンの新古典派成長モデル
    1.2.1 新古典派生産関数
    1.2.2 ソロー=スワン・モデルの基本方程式
    1.2.3 市 場
    1.2.4 持続状態
    1.2.5 資本蓄積の黄金律と動学的非効率性
    1.2.6 移行動学
    1.2.7 移行過程における投入物の価格の動き
    1.2.8 政策実験
    1.2.9 例:コブ=ダグラス型生産関数
    1.2.10 絶対的収束性と条件付き収束性
    1.2.11 一人当たり所得の収束性と分散の程度
    1.2.12 技術進歩
    1.2.13 収束速度の数量的測定
  1.3 内生的成長モデル
    1.3.1 新古典派理論の理論的な不十分性
    1.3.2 AKモデル
    1.3.3 移行動学を伴う内生的成長
    1.3.4 一定の代替の弾力性を持つ生産関数
  1.4 他の生産関数(他の成長理論)
    1.4.1 レオンティエフ型生産関数とハロッド=ドーマーの議論
    1.4.2 貧困のワナを伴う成長モデル
  1.5 付論:種々の命題の証明
    1.5.1 新古典派的生産関数において各投入物が
        生産に不可欠であることの証明
    1.5.2 ソロー=スワン・モデルにおける収束係数の性質
    1.5.3 技術進歩が労働増加的でなければならないということの証明
    1.5.4 CES型生産関数の性質
  問 題
   訳 注
第2章 消費者の最適化を伴う成長モデル(ラムゼイ・モデル)
  2.1 家 計
    2.1.1 モデルの設定
    2.1.2 一階条件
  2.2 企 業
  2.3 均 衡
  2.4 代替的な状況
  2.5 持続状態
  2.6 移行動学
    2.6.1 位相図
    2.6.2 横断性条件の重要性
    2.6.3 安定軌道の形状
    2.6.4 貯蓄率の動き
    2.6.5 資本ストックの経路と産出量の経路
    2.6.6 収束速度
    2.6.7 異種類の家計のケース
  2.7 時間選好率の非一定性
    2.7.1 コミットメントのもとでの帰結
    2.7.2 コミットメントが存在しない場合の帰結:
        対数効用関数のケース
    2.7.3 人口成長と技術進歩
    2.7.4 等弾力的な効用関数のもとでの帰結
    2.7.5 コミットメントの程度
  2.8 付論2A:ラムゼイ・モデルの対数線型化
  2.9 付論2B:非可逆的投資
  2.10 付論2C:貯蓄率の動き
   2.11 付論2D:経済がk^(0)<k^*から出発する場合,
         γk^は単調に減少するということの証明
  問 題
  訳 注
第3章 ラムゼイ・モデルの拡張
  3.1 政 府
    3.1.1 ラムゼイ・モデルの修整
    3.1.2 種々の税率の効果
    3.1.3 政府購入の効果
  3.2 投資の調整費用
    3.2.1 企業の行動
    3.2.2 所与の利子率のもとでの均衡
    3.2.3 固定的貯蓄率を持っている閉鎖経済における均衡
  3.3 開放型のラムゼイ・モデル
    3.3.1 モデルの設定
    3.3.2 小国経済における資本ストックと産出量の動き
    3.3.3 小国における消費と資産の動き
    3.3.4 世界均衡
  3.4 国際的な信用に関する制約を持つ世界経済
    3.4.1 物的資本と人的資本を持っているモデルの設定
    3.4.2 閉鎖経済
    3.4.3 開放経済
  3.5 選好パラメータの可変性
  3.6 有限時間視野を持っているモデルにおける経済成長
    3.6.1 有限時間視野のモデルにおける選択問題
    3.6.2 閉鎖経済のもとでの有限時間視野モデル
    3.6.3 開放経済のもとでの有限時間視野モデル
  3.7 幾つかの結論
  3.8 付論:オーヴァーラッピング・ゼネレーションズ・モデル
    3.8.1 家 計
    3.8.2 企 業
    3.8.3 均 衡
  問 題
   訳 注
第4章 一部門内生的成長モデル
    4.1 AKモデル
    4.1.1 家計の行動
    4.1.2 企業の行動
    4.1.3 均 衡
    4.1.4 移行動学
    4.1.5 位相図
    4.1.6 成長率の決定要因
  4.2 物的資本と人的資本を持っている一部門モデル
  4.3 ラーニング・バイ・ドゥーイングと
     知識のスピル・オーヴァーを伴うモデル
    4.3.1 技 術
    4.3.2 均 衡
    4.3.3 パレート非最適性と政策的含意
    4.3.4 コブ=ダグラス型のケース
    4.3.5 規模の効果
  4.4 公共サービスと内生的成長
    4.4.1 公共財のモデル
    4.4.2 混雑モデル
  4.5 移行動学と内生的成長
    4.5.1 コブ=ダグラス型の生産関数のケース
    4.5.2 CES型の生産関数のケース
  4.6 結 語
  4.7 付論:一部門モデルにおける内生的成長
  問 題
   訳 注
第5章 二部門内生的成長モデル(特に人的資本の役割に注意して)
  5.1 物的資本と人的資本を持っている一部門モデル
    5.1.1 基本モデル
    5.1.2 粗投資の非負性の制約条件
  5.2 生産と教育の異なる生産技術
    5.2.1 生産の二部門モデル
    5.2.2 宇沢=ルーカス・モデル
    5.2.3 一般化された宇沢=ルーカス・モデル
    5.2.4 逆の要素集約度を持っているモデル
  5.3 内生的成長のための条件
  5.4 諸結果の要約
  5.5 付論5A:一部門モデルにおける粗投資に不等号の
        制約条件が存在しているケースの移行動学
  5.6 付論5B:宇沢=ルーカス・モデルにおける解
  5.7 付論5C:逆の要素集約度を持っているモデル
  問 題
   訳 注
第6章 技術進歩:製品のバラエティ拡大モデル
  6.1 製品のバラエティを持つ基準モデル
    6.1.1 最終財の生産者
    6.1.2 研究企業
    6.1.3 家 計
    6.1.4 一般均衡
    6.1.5 成長率の決定要因
    6.1.6 パレート最適性
    6.1.7 規模の効果とR&Dの費用
    6.1.8 逓増的なR&Dコスト
  6.2 独占力の低下と競争
  6.3 技術進歩に関するローマー・モデル
  6.4 結 語
  問 題
  訳 注

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