新版 現代の社会教育と生涯学習

著者名
松田武雄 編著
価格
定価 3,080円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0160-4
仕様
A5判 並製 272頁 C3037
発行年
2015年5月
その他
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内容紹介

近年,社会教育・生涯学習の現場では,社会教育行政の危機と言えるような再編成が進行している。現在,私たちが直面している社会的危機において,社会教育・生涯学習はいかに持続可能たり得るのかを考える必要がある。本書では,現代社会との関連で社会教育・生涯学習の今後の在り方について考察し,なお且つ,学生の社会教育主事講習テキスト等にも利用できるよう,社会教育・生涯学習の基礎的理解が得られる構成となっている。

目次

序章 現代の社会教育と生涯学習
 
  はじめに 三・一一の意味
  一 社会教育の歴史的な意義
  二 生涯学習の現代的な意義
  三 地域の再生と社会教育・生涯学習
  おわりに 社会教育福祉の構築へ
 
第一章 家庭教育支援・子育て支援と社会教育
 
  一 家庭教育・子育てにおける現代的課題
    (一) 孤立と子育て文化の断絶
    (二) 子どもの発達を規定する地域社会の変化
  二 「家庭教育支援」と社会教育
    (一) 社会教育関連法上の「家庭教育支援」の位置
    (二) 社会教育行政による家庭教育の教化・奨励・支援
  三 「子育て支援」「子育ち・子育て支援」と社会教育
    (一) 「子育て支援」と社会教育
    (二) 「子育て支援」から「子育ち支援」へ
  四 子育て困難を乗り越える社会教育の視点
    (一) 家庭教育支援の具体的な方向性
    (二) 現代的課題を乗り越える社会教育実践とは
 
第二章 子どもの社会教育
 
  一 地域における教育
  二 子どもの社会教育と学校外教育
  三 子どもの社会教育と参画論・居場所論
  四 学校教育や家庭教育との比較
  五 子どもの社会教育の団体や組織
  六 子どもの社会教育の四類型
    (一) 学校教育における「勉強」を補完する教育
    (二) 余暇の教育的な活動
    (三) 学校に通えない子どもの教育
    (四) 地域社会における子どもへの教育的関わり
  七 全国規模の社会教育の例
  八 地域規模の社会教育の例
  九 子どもの社会教育の事例研究
 
第三章 青年期の課題と現代社会教育の役割
 
  一 子ども・若者関連諸法制と社会教育へのインパクト
  二 青年期とはなにか
  三 青年期の教育をめぐる問題
   (一) 移行問題
   (二) 生きづらさ
   (三) 外国籍・移民青年の問題
  四 青年期の課題に対する現代社会教育の挑戦
 
第四章 現代の貧困と成人基礎教育
 
  一 生涯学習社会ニッポンのもう一つの顔
    (一) 基礎教育からの排除がもたらす不安定な生活
    (二) 関係的権利の剥奪がもたらす自分自身からの排除
    (三) 外国人労働者とその子どもの学習権保障問題
    (四) 成人基礎教育の未整備
  二 成人基礎教育の国際的到達点
    (一) 基礎教育保障を求める国際的連帯と東アジアの動向
    (二) 人間解放のための成人基礎教育
  三 成人基礎教育保障にむけた実践の胎動
    (一) 成人基礎教育保障にむけた市民的連帯の芽生え
    (二) 成人基礎教育保障にむけた取り組みの実践例
  おわりに
 
第五章 高齢者の教育・学習のまちづくり
 
  一 今日の高齢者の学習
  二 これまでの高齢者への対策
  三 高齢者の学習の芽生え
  四 高齢者大学の実践

    (一) 福祉行政系広域型高齢者大学
    (二) 教育行政系広域型高齢者大学
    (三) 福祉行政系地域密着型高齢者大学
    (四) 教育行政系地域密着型高齢者大学
    (五) 地域密着型高齢者大学
  五 今日の高齢者教育の振興政策
  六 「団塊の世代」を見据えた地域と連携した高齢者の学習の取り組み
    (一) 教育サポーターとしての地域高齢者
    (二) 子育て支援としてのイクジイの役割
    (三) 生涯スポーツリーダーの養成
  七 これからの高齢者の学びとまちづくり
 
第六章 社会教育・生涯学習の施設・行政とボランティア活動
 
  一 はじめに
  二 社会教育施設とはどのようなものか
    (一) 市民の学習を支える社会教育施設
    (二) 教育を受ける権利・学習権の保障と社会教育施設
    (三) 学習権を保障する社会教育施設としての要件
    (四) 生涯学習社会の中での社会教育施設の役割 施設と団体のネットワーク 
  三 社会教育とボランティア活動
    (一) ボランティアとは
    (二) 個と社会をつなぐボランティア
    (三) 行政協力型ボランティアからパートナーシップへ
    (四) 社会教育施設・行政とボランティアの関係
  四 社会教育施設におけるボランティア制度導入 九州国立博物館の事例をもとに 
    (一) 博物館のパートナーとしてのボランティア
    (二) 来館者の学びの支援とボランティア活動の中の学び
    (三) ボランティア活動・社会参加への扉をひらく
    (四) 外部ボランティア団体との協働
    (五) 施設から地域へ 地域の拠点施設として 
 
第七章 NPO・市民活動と社会教育
 
  一 はじめに NPOとは何か 
  二 NPOと社会教育の接点
  三 NPOの持つ社会教育としての可能性
    (一) 女性のキャリア形成の場としてのNPO
    (二) 地域づくりとしてのNPO
    (三) 地域のあらゆる課題解決につながるNPO活動
  四 女性のキャリア形成と地域づくりの場としてのNPO
 
第八章 大学と地域の連携による地域社会教育の創造
 
  はじめに
  一 二〇〇五年答申「我が国の高等教育の将来像」に見られる地域と大学との連携強化
  二 ローカルな「知」の形成と高等教育
  三 地域の総合シンクタンク機能としての和歌山大学サテライト構想
 
   (一) 大学サテライトの概要
    (二) 南紀熊野サテライトの実践
    (三) 県境を超えた岸和田サテライトの実践
  四 地域におけるESDを視野に入れた鹿児島大学のローカルシンフォニー事業
    (一) ESD(持続発展教育)における大学の役割
    (二) 鹿児島大学憲章に基づく「地域と大学とのローカルシンフォニー事業」
    (三) 鹿児島県大崎町におけるローカルシンフォニーの取り組み
  五 まとめ
 
第九章 沖縄の地域共同体と社会教育
 
  はじめに
  一 沖縄の集落における教育文化に関わる営み
  二 地域づくりの拠点としての字公民館 竹富町祖納公民館 
  三 字公民館と幼稚園の設立
  四 青年会と図書・文庫活動
  おわりに
 
第十章 国際成人教育と開発途上国の生涯学習
 
  一 国際成人教育の発展
  二 国際成人教育論の展開
  三 国際成人教育会議(CONFINTEA)の歴史的変遷とその成果・課題
  四 国際成人教育ネットワークの構築と連帯
  五 開発途上国における生涯学習 中央アジアの事例から
    (一) 中央アジア諸国とCONFINTEA、成人教育における域内連携
    (二) ウズベキスタンの”National Report” に見る成人教育の実態
  おわりに
 
あとがき
 
執筆者一覧
 
教育基本法
 
社会教育法
 
索引

著者紹介

編著者
松田武雄(まつだ たけお)
名古屋大学教育学部卒業,名古屋大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得満期退学,琉球大学助手・講師,埼玉大学助教授,九州大学大学院助教授・教授を経て,現在,名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授,博士(教育学)。
 
〔著書〕『近代日本社会教育の成立』(九州大学出版会,2004年),『生涯学習と地域社会教育』(春風社,2004年,編著),『現代社会教育の課題と可能性』(九州大学出版会,2007年),『新版 生涯学習と地域社会教育』(春風社,2010年,編著),『社会教育・生涯学習の再編とソーシャル・キャピタル』(大学教育出版,2012年,編著)ほか。

執筆者
松田武雄 序章
 
東内瑠璃子(とうない るりこ) 第一章
日本福祉大学子ども発達学部准教授
 
圓入智仁(えんにゅう ともひと) 第二章
中村学園大学短期大学部准教授
 
農中 至(のうなか いたる) 第三章
鹿児島大学教育学部特任講師
 
添田祥史(そえだ よしふみ) 第四章
福岡大学講師
 
久保田治助(くぼた はるすけ) 第五章
鹿児島大学教育学部准教授
 
永田香織(ながた かおり) 第六章
文教大学非常勤講師
 
野依智子(のより ともこ) 第七章
福岡女子大学国際文理学部教授
 
金子 満(かねこ みつる) 第八章
鹿児島大学教育学部准教授
 
嘉納英明(かのう ひであき) 第九章
名桜大学国際学群教授
 
河野 明日香(かわの あすか) 第十章
名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授

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