谷本教授の(努力すれば)誰にでもわかる環境システムの数理解析基礎 収支式の成り立ちから時間発展,数値解析まで

著者名
谷本 潤
価格
定価 2,640円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0082-9
仕様
B5判 並製 120頁 C3052
発行年
2012年8月
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内容紹介

 環境システムとは伝熱,流体,数理ゲーム・・・時間と空間の関数で与えられるシステム一般を意味する。本書ではその時間発展するシステムのダイナミクスを,可能であれば演繹的に,不可能であるなら数値的に解析するための基礎をきわめて平易に解説することを目的としている。
 まず,冒頭で環境システムとは何かを論じている。
 次に,線形システムの解析について多くのページを割いて懇切丁寧に説明している。すなわち,非定常熱伝導を事例に取り上げ,線形システムのデイナミクスを論じる上できわめて有効なシステム状態方程式の記述法と導出法を詳述し,具体的な数値計算法を説明している。特に,数値計算法では,解の安定性の吟味について詳しく述べている。豊富な例題と室温変動を例にした解析プログラムを掲げ,読者の要に応えている。
 続いて,線形システムの解析に際して,その基礎を与えるベクトル・マトリクス記法を取り上げ,これを適用することで重回帰分析や最小2乗解といった表計算ソフトで馴染み深い操作の数理的意味を平易に解説している。
 更に,演繹アプローチの事例として非線形ダイナミクスの典型例である進化ゲームを取り上げ,この時間発展を解析的に論じる枠組みを分かり易く解説している。

目次

はじめに
 
第1章 環境システムと解析方法
 
  1-1 環境システム
  1-2 本書の構成
 
第2章 線形システムの解析法
 
  2-1 非定常熱伝導方程式
  2-2 離散化とは
  2-3 検査体積法による空間離散化
  2-4 システム状態方程式
  2-5 時間離散化
  2-6 数値解の安定性
  2-7 数値解の振動
  2-8 von Neumannの安定性解析
  2-9 適用の事例
  2-10 放射熱伝達の線形化
  2-11 線形熱水分同時移動方程式
  2-12 熱負荷計算と自然室温計算
  2-13 単室モデルのプログラミング例題
  2-14 有限要素法
  2-15 章末問題
 
第3章 ベクトル・マトリクス演算の応用
 
  3-1 線形重回帰分析
  3-2 最小2乗解
  3-3 最小2乗解の応用
 
第4章 非線形システムのダイナミクス
 
  4-1 線形システムの力学系
  4-2 非線形システムの力学系
  4-3 2人2戦略の進化ゲーム
  4-4 2×2ゲームのダイナミクス解析
 
参考文献
 
索引

著者紹介

谷本 潤(たにもと じゅん)
昭和40(1965)年,北九州市門司生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業,同大学院修士課程修了。平成2(1990)年,東京都立大学・助手。九州大学大学院・講師,助教授を経て,平成15(2003)年より九州大学大学院・教授(大学院総合理工学研究院エネルギー環境共生工学部門)。この間,米国・National Renewable Energy Laboratory,豪州・University of New South Wales,オランダ・Technische Universiteit Eindhoven 客員教授。専門は都市建築環境工学,人間―環境―社会システム学。工学博士。空気調和・衛生工学会学会賞(学術論文),日本建築学会奨励賞,日本建築学会学会賞(論文),IEEE CEC2009 Best paper award 受賞。『ハンディブック建築』(オーム社/共著),『民家の自然エネルギー技術』(彰国社/共著)など。第67回コスモス文学新人賞奨励賞,第76回コスモス文学新人賞受賞。第19回国文祭美術展(洋画),第36~40,42回福岡市美術展(洋画)入選。『恋愛小説集―ロマンチックフラグメンツ―』(文芸社),『滞米瞰日録―若き建築環境工学者の視たアメリカと日本―』(彩図社),『建築のある掌話―小さな恋のものがたり十二景』(花書院)。

学術図書刊行助成

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