人文科学語学
Phase and Ellipsis
- 定価 6,800円(税別)
本書は、生成文法理論の極小主義プログラムに基づき、省略現象が統語的に認可される統一的なメカニズムを提唱するものである。提案するメカニズムでは、Chomsky (2007, 2008) の素性継承理論に従ってE素性 (Merchant (2001)) が選択的に継承されることにより、(i)フェイズ主要部の補部が省略されるタイプと、(ii)フェイズ全体が省略されるタイプ(非フェイズ主要部の補部の省略)の両タイプの説明の可能性を探る。これをもとに、「なぜ主要部の補部のみが省略可能なのか」という事実につ...

ワードクエスト
- 定価 1,800円(税別)
英語の学習はRPG(ロールプレイングゲーム)に似ています。技や呪文を覚え、敵を倒していくように、単語や熟語の意味を覚え、英文を攻略していく──。はじめのうちは単純な技と呪文(単語と熟語)で弱い敵(簡単な英文)しか倒せませんが、自身の能力を高めれば、もっと強い相手にも立ち向かえるようになります。しかし、冒険を進めるうちに敵(英文)は強力になり、徐々に苦しくなります。レベルを上げるには、さらなる経験値が必要で、忍耐力が試されます。高校までは、大学入試を目安として、必要となる単語のレベルはある程度基準...

トルコ語と現代ウイグル語の音韻レキシコン
- 定価 5,500 円 (税別)
従来、ヒトの脳内のレキシコン(心的辞書)では語彙は音韻論的な差異に基づいていくつかのグループに分かれていると考えられてきた。このグループ分けがどのように行われているのかを明らかにすることは当該言語の音韻レキシコンの構造を明らかにすることにつながる。
本書ではトルコ語と現代ウイグル語を対象に、それぞれの音韻レキシコンの構造を明らかにし、「核と周辺」構造(Core-periphery structure)を中心とした音韻レキシコン理論の妥当性検証に挑む。

元素の名前辞典
- 定価2,400円(税別)
欧米以外で初めて発見された元素である、113番元素の名前がニホニウムに決定したことは記憶に新しい。元素名の由来は単なるトピックスに留まるものではない。すなわち、元素名も「名は体を表す」のであって、元素の特性や発見の歴史、元素発見者の思いを反映しているのである。森鴎外がその自伝的小説『ヰタ・セクスアリス』で主人公の金井湛に語らせたように、語源を知ることで記憶に留めやすくなるという実用上の利点も挙げられよう。本書では、全118元素の名前の由来について、その語源を考察する。直接的に語源となった言葉(主...

A Grammar of Irabu
- 定価 10,000 円 (税別)
本書は,南琉球宮古伊良部島方言(沖縄県宮古島市)を体系的・包括的に記述した文法書である。消滅の危機にあるこの言語の構造と体系は,すべての言語学者を惹きつける魅力にあふれている。子音が母音のように,母音が子音のようにふるまう複雑な音節構造。フット構造をベースとしたトーンの交替が生み出す韻律システム。「語とは何か」を考えるきっかけを与えてくれる音韻論と形態論のミスマッチ。人称と数では十分に記述できない代名詞体系。複数の品詞を縦横無尽にまたぐ複雑怪奇な「形容詞」。節のアスペクトをも標示する格標識。情報...

On Weak-Phases
- 定価6,000円(税別)
本書は、生成文法のミニマリストプログラムにおけるフェイズ理論の理論的問題点を指摘し解決することにより、フェイズ理論のさらなる発展に貢献するものである。生成文法は、人間の持つ言語機能の本質を見極め人間言語における普遍文法の特性を解明するという目標のもとに進展を続け、現在ミニマリストプログラムと呼ばれる研究局面に至っている。特に2000年代から現在にかけては、文の派生をフェイズという単位ごとに分割するフェイズ理論のもと、更なる革新的な発展が得られてきた。しかしながら、現行のFeature-Inher...

英語文学テクストの語学的研究法
- 定価 4,800 円 (税別)
従来、文学テクストは文学系の研究者が論じ、言語学者は自然言語にのみ関心を示してきました。そのためこれまでは、英語文学作品を語学的に論じようとする研究者に向けた網羅的な手引書がありませんでした。本書は、そもそも言語から成り立っている文学作品を言語学・文献学・文体論といった「語学的」見地から論じようとする、若き研究者のための語学的文学論ガイドです。内容的には、特に論文執筆に役立つように、優れた論文(書籍化されたものも含みます)の解題に焦点を当てているのが大きな特徴です。第1部「文学テクストを語学的に...

Derivational Feature-based Relativized Minimality
- 定価 7,200円(税別)
本書は、イタリア語、英語、日本語における疑問詞、焦点要素、話題化要素などの語順制限と介在効果に関する統語論の研究書である。特に、単一文に二つの移動が生じる場合の介在効果の事実を収集・精査し、それらを並行移動や分離移動などの独創的な移動操作と派生的な相対的最小性の原理により分析する。さらに、同分析を、英語の焦点化構文(重名詞句移動、there構文、場所句倒置文)や、日本語のwh句と焦点化要素の介在効果に拡張し、それらの構文を統一的に説明する。また、そもそも意味と音をつなぐ適切な統語構造はどのように...

発話解釈の語用論
- 定価 3,800 円 (税別)
本書は,関連性理論に基づく語用論の研究書である。前半では,その基本的な概念や枠組みを整理した上で,語用論における重要な課題である会話の含意や発話行為などを関連性理論の視点から捉え直している。本書の後半はその事例研究である。英語の談話連結語after allや日本語の接続表現「だって」の多様な用法について,符号化された手続きを定義することでその一義的説明を行っている。一方,文法化の議論においても関連性理論の貢献は少なくない。18世紀と現代の2つのコーパスの比較に基づく after all の文法化...
