社会科学
中国近代における「国語科」の創成
- 定価 5,170円(税率10%時の消費税相当額を含む)
近代国民国家では、言語の共有化、「共通語」、「国家語」の形成によって国家に対する帰属意識とそれぞれが言語を通じてつながり合う共同体意識を育む必要がある。そこで重要な役割を果たすのが国語教育である。中国近代でも、教育予算の十分な確保や政策の全国的普及に多くの難題を抱える一方で、国際的な新教育運動を背景に近代的な学校教育制度の確立が模索されていた。なかでも、1922年の壬戌学制を受けて編成された「新学制課程標準綱要」は、文字通り「Curriculum Standards」として校種間の接続が意識され...
日本式教育の海外展開とインパクト
- 定価 5,280円(税率10%時の消費税相当額を含む)
高等専門学校いわゆる「高専」は近年、アジア各国で注目され、高専をモデルにした教育機関が相次いで設立されるようになっている。海外展開については日本の高専も積極的な支援や協力をしており、KOSENは高専教育の代名詞ともなっている。また学力の習得に加えて徳育を重んじる日本の教育内容や教育方式は、海外で高く評価され、日本式の国際学校も設立されている。こうした日本式教育の輸出と輸入に際しては、受入国の教育文化風土を尊重するともに、受入国の教育行政においては日本式教育をベースにしながらも、自国の伝統を踏まえ...
分権国家スイスの制度改革
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スイスにおいて連邦主義の新たな活性化策(「連邦政府とカントンの間の役割分担と財政調整の再構築」)が2008年から実施されている。その四支柱は、連邦政府とカントン(州政府)の間での役割分担の再構築、連邦政府とカントンの間の垂直的連携、州政府間の水平的連携、垂直的・水平的財政調整である。本著では、制度の紹介と初期成果の分析に焦点を置いている。 改革に当たっての基本的な方針は、カントンの主体性の確保、補完性の原則、財政一致の原則(意思決定者・受益者・費用負担者を一致させること)、中立性の原則(四支柱の...
タマリンドの木に集う難民たち
- 定価 6,600円(税率10%時の消費税相当額を含む)
2013年12月、南スーダンの首都ジュバで生じた政治家同士の対立がもととなった武力衝突は、瞬く間に南スーダン全土を巻き込む内戦と化した。一民族をターゲットとした「ジュバ虐殺」の後、人々は国家から押し付けられた「民族対立」の中を生きている。今なお200万人以上の南スーダン人が、国内外で難民としての生活を余儀なくされている。 「ジュバ虐殺」から10年 虐殺を生き延びた南スーダン、ヌエル社会の人々は、隣国ウガンダで難民としての新たな生を営み始めた。難民とは、果たして私たちがイメージするように、脆弱で...
アメリカ高等教育のガバナンス改革
- 定価 3,960円(税率10%時の消費税相当額を含む)
大学に社会から負託された使命をよりよく追求させるものは、大学の自律性か、それとも政府からの統制か。これは古くて新しい問いである。20世紀に公立高等教育機関のアクセス(量的拡大)とエクセレンス(学術的卓越性)を両立させた米国カリフォルニア州の高等教育マスタープランは、高等教育の機能別分化政策の成功例としてあまりに有名で、「カリフォルニア・アイデア」と称賛されてきた。特に、公立研究大学であるカリフォルニア大学(UC)の学術的卓越性は、同大学が有する州憲法に基づく高度な自治と共に、広く認知されてきた。...
明治日本のローカル・アントレプレナー
- 定価 6,600円(税率10%時の消費税相当額を含む)
幕末、尊王攘夷の急先鋒となっていた長州藩にとって、1864年の四国連合艦隊下関砲撃事件(幕末下関攘夷戦争)は、その攘夷を断念せざるをえないような西洋の衝撃(ウエスタンインパクト)を同藩に与えた。伊藤博文や井上馨とともにこの戦争に遭遇した笠井順八や豊永長吉にとっても、人生を左右することになるターニングポイントとなった。その後、長州藩は倒幕の主体勢力となって明治という新時代を迎えることになるが、旧長州藩士にとっても、新時代を生き抜いていくのは試行錯誤の連続であった。 本書は、旧長州藩士のその後につい...
中国産後ケア文化の変容
- 定価 4,730円(税率10%時の消費税相当額を含む)
近年、文化人類学、民俗学、福祉学、医学などの視点に立った出産・育児(以下産育)研究が盛んに行われている。これらの産育研究では、妊娠・出産のみならず、各国の伝統的な産後の養生習慣についても言及されている。その背景として現代社会が出産前後の女性の心身や子育てをめぐる様々な困難や問題に直面するなかで、あらためてかつての産後養生習俗の意義や役割を見直そうとする学術的、社会的な関心の高まりがあると思われる。また、これらの伝統習俗の多くは現代社会の医療化の脈絡のなかで新たな装いを伴って受け継がれており、産育...
ドイツにおける教育学の発展史
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ドイツの教育学は明治期以降、日本の教育学の成立・発展過程において大きな影響を与えてきた。今日まで、少なからぬ日本人教育学者たちがドイツに留学し、同地で研究生活を送っている。もっとも、ドイツにおける教育思想・教育論としての教育学(Pädagogik)が日本において注目され、広く知られてきたのに対し、アカデミックな学問としての教育科学(Erziehungswissenschaft)の実態はあまり知られてこなかった。さらに第二次世界大戦後、ドイツは東西へと分割されたが、主には西ドイツの教育学のみが紹介...
サービス論争の300年
- 定価 9,680円(税率10%時の消費税相当額を含む)
「経済のサービス化」が世界経済を席巻するなか、サービスまたはサービス経済の特徴と性格をどう捉えるべきかを巡る「サービス論争」は未だ解決されていない。本書は、この長き論争で提起されているいくつかの重大な課題の解決に方法論的革新を提供することで、論争の決着を目指すものである。 3世紀も続く「サービス論争」は古典と現代の断絶に起因する。古典学説が与えた厳密なサービスの経済学的定義がなければ、サービス論は経済学の理論体系に取り組まれない。サービス経済の特徴を描く現代理論がなければ、サービス論は現実から離...
Rによる経済・経営データ解析入門
- 定価 3,300円(税率10%時の消費税相当額を含む)
本書はフリーソフトウエアRについて、基本から解説した上で、高度なプログラミング技法やパッケージの利用法、さらには企業の効率的経営や資産運用への応用法を解説するものである。 まず操作手順の基本として、Rコンソールでコマンドを入力して簡単なプログラミングを行う方法や、エディターを用いた、長くてやや複雑なプログラムの作成などを詳細に述べたあと、複雑なプログラミングに利用される各種パッケージの使い方も分かりやすく解説している。本書により読者はRに関するプログラミングスキルを習得することができるであろう。...