スペイン市民戦争とアジア 遥かなる自由と理想のために

シリーズ名
KUP選書 1
著者名
石川捷治・中村尚樹
価格
定価 1,980円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0293-9
仕様
四六判 並製 184頁 C1331
発行年
2020年8月
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内容紹介

1936年に勃発したスペイン市民戦争は、1930年代の歴史的分岐点になったというだけでなく、世界の今を解くカギを秘めた出来事であった。市民が人間の尊厳と自由を守るために立ち上がる大義がそこには存在した。

「反ファシズム」の旗印のもと、アジア各国を含む世界55ヶ国から集まった多種多様な義勇兵の存在を通じて、スペイン市民戦争における闘いの今日的意義を検証する。

*本書は「九大アジア叢書」第6巻として2006年に刊行したものを、このたび創刊するKUP選書に再録し、新装版として刊行するものです。

目次

プロローグ 今なぜスペイン市民戦争か
  市民概念の変化/アジアにとってのスペイン市民戦争
 
 コラム 「スペイン市民戦争」という呼称について
 
第一章 スペイン市民戦争と現代
 
 1 イギリス人元義勇兵との出会い
 2 「現代の内戦」の起点としてのスペイン市民戦争
  市民戦争の勃発/反ファシズム統一戦線の問題
 3 「現代の内戦」の系譜
 
 コラム スペイン市民戦争研究の魅力
 
第二章 今日のスペインに見る市民戦争
 
 1 国際旅団のモニュメント
 2 戦争にノーを!
 3 オリーブの墓標
 4 古い墓穴
 5 元兵士たちとの対話
 6 市民戦争を生き抜いた女性の物語
 7 国際旅団友好協会
 8 パウ・カザルス・ミュージアム
 
第三章 スペイン市民戦争とアジア
 
 1 中 国
  中国からスペインへ/西安事件の楊虎城将軍のスペイン視察/中国人義勇兵たちの
  プロフィール/スペインから中国へ
 2 朝 鮮
  植民地朝鮮とスペイン市民戦争/朝鮮民衆の息吹/中国革命と朝鮮独立運動
 3 フィリピン・インド・ベトナム
  フィリピンからスペインへ/インドからスペインへ/ベトナムからスペインへ
 
 コラム 仏文学者小松清とベトナム
 
第四章 スペイン市民戦争と日本
 
 1 参戦した日本人
 2 駐日臨時スペイン公使と日本
 
 コラム 日本政府・軍部とフランコ反乱軍
 
エピローグ 内戦を越えて
 
 1 過去に見つめられる時
 2 和解のベクトル
 
参考文献
おわりに
新装版に寄せて

著者紹介

石川捷治(いしかわ しょうじ)
 
政治史研究者、九州大学名誉教授
1944年 中国東北部・大連市生まれ。
1967年 佐賀大学文理学部卒業。
1972年 九州大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。
1973~1978年 北九州大学(現・北九州市立大学)法学部にて西洋政治史担当。
1978~2008年 九州大学法学部にて政治史(20世紀政治史)・地域研究(東アジア、
 九州・沖縄)・平和学の研究・教育を担当。九州大学大学院法学研究院教授、法学
 部長(1998~2000年)、韓国研究センター長(2000~2006年)等歴任。
2008~2020年 久留米大学法学部教授、同大学附属図書館長・客員教授等を歴任。
 
主な著書
『北九州地方社会労働運動史年表』(共編)西日本新聞社、1980年
『危機の政治学─ファシズム論と政治過程─』(共編著)昭和堂、1985年
『1930年代危機の国際比較』(共著)法律文化社、1986年
『福岡県評30年史』(共同執筆)福岡県労働組合評議会、1988年
『時代のなかの社会主義』(共著)法律文化社、1992年
『「1968年」時代転換の起点』(共著)法律文化社、1995年
『自分からの政治学』(共編著)法律文化社、1996年
『地域から問う国家・社会・世界』(共編著)ナカニシヤ出版、2000年
『終わらない20世紀─東アジア政治史1894~』(共編著)法律文化社、2003年
『スペイン内戦とガルシア・ロルカ』(共著)南雲堂フェニックス、2007年
『「あの時代」に戻さないために』(共著)自治体研究社、2014年
『スペイン内戦(一九三六~三九)と現在』(共著)ぱる出版、2018年

中村尚樹(なかむら ひさき)
 
ジャーナリスト、専修大学社会科学研究所客員研究員、法政大学社会学部非常勤講師。
1960年 鳥取市生まれ。
1983年 九州大学法学部政治専攻(石川ゼミ)卒業。
NHK記者、九州大学大学院・大妻女子短大等の非常勤講師を経て現職。
 
主な著書
『名前を探る旅─ヒロシマ・ナガサキの絆─』石風社、2000年
『地域から問う国家・社会・世界』(共著)ナカニシヤ出版、2000年
『核の時代と東アジアの平和─冷戦を越えて─』(共著)法律文化社、2005年
『脳障害を生きる人びと─脳治療の最前線─』草思社、2006年
『スペイン内戦とガルシア・ロルカ』(共著)南雲堂フェニックス、2007年
『認知症を生きるということ─治療とケアの最前線─』草思社、2009年
『「被爆二世」を生きる』中公新書ラクレ、2010年
『奇跡の人びと─脳障害を乗り越えて─』新潮文庫、2011年
『被爆者が語り始めるまで』新潮文庫、2011年
『最重度の障害児たちが語りはじめるとき』草思社、2013年
『占領は終わっていない─核・基地・冤罪・そして人間─』緑風出版、2017年
『マツダの魂─不屈の男 松田恒次─』草思社、2018年
『スペイン内戦(一九三六~三九)と現在』(共著)ぱる出版、2018年
『ストーリーで理解する日本一わかりやすいMaaS&CASE』プレジデント社、2020年

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