異なる文化的背景を持つ他者にどのように向き合い、そして共に生きていくのか。本書は、多文化社会ドイツにおける移民家庭への教育支援を事例に、教育支援がいかに移民とドイツ社会をつなごうとしているのか、またつなぐ契機となっているのかに注目し、異文化間教育の視点から考察したものである。移民がもたらした多文化社会という現実に、異文化間教育学の理論、移民の統合に関わる政策、そして教育支援の実践はいかに向き合ってきたのか。ノルトライン・ヴェストファーレン州における地域移民支援機関(RAA)に注目し、文献研究とフィールドワークを元に移民とドイツ社会を「つなぐ」支援を描き出す。
まえがき 序 章 本研究の課題と研究の視点 1 研究の背景 2 課題設定 3 研究の方法 「移民とドイツ社会をつなぐ」視点に関わる日独異文化間教育研究からの示唆 第1章 外国人労働者の定住化に至るドイツの社会状況の変遷と政策的対応 1 外国人労働者を巡る政策と社会背景 2 外国人労働者の子どもを取り巻く教育政策 3 二〇〇〇年以降の移民の子どもの統合を目指した教育政策 第2章 NRW州における移民統合政策の展開 RAAによる受け入れの実効化 1 民間による教育支援の始まりとRAAの設立 2 NRW州移民政策に見るRAAに対する期待と役割 第3章 教育学における移民の子どもを巡る議論の展開 1 外国人教育から異文化間教育へ 2 異文化間教育の拡がり 3 異文化間教育のコンセプトとRAAの関連性 4 教育支援の鍵となる「異文化間能力」 第4章 仲介エージェンシーとしてのRAA ビーレフェルト市の事例から 1 ビーレフェルト市行政機関とRAAビーレフェルトの連携による受け入れ体制の構築 2 学校や学校外組織とRAAビーレフェルトの協働 第5章 RAAのリソースを応用した異文化間の関係づくり ビーレフェルト市S保育施設の事例から 1 RAAによる就学前の移民の子どもと母親支援 2 S保育施設における応用 関係性を形成する契機としての取り組み 3 関係の形成・維持が繰り返される母親たちの居場所 4 移民との関係をつなぐために 考察 終 章 多文化共生社会の実現に向けて 移民の社会参加を促す要因 1 ドイツ社会とのつながりを生み出す支援者 2 移民とドイツ社会を仲介するコーディネーターに求められる異文化間能力 3 本研究の成果と今後の課題 エピローグ RAAから地域統合センターへ あとがき 注 参考文献 索 引
伊藤亜希子(いとう あきこ) 1979年、鹿児島県生まれ。福岡大学人文学部講師。博士(教育学)。 九州大学大学院人間環境学府発達・社会システム専攻教育学コース 博士後期課程単位修得後退学、山梨大学大学教育研究開発センター 助教を経て、現職。
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