内容紹介
日本では医療が進歩して救える命が増えた一方、それでも毎年約5,000人の子どもたちが病気や事故でなくなっています。お子さんをなくされたご家族の悲しみは深く、社会から孤立しやすく、ご家族のグリーフ(悲嘆)サポートは、医療現場だけではなく、社会的な課題といえます。そんなご家族から寄せられた、「ひとりじゃないと思えるような本があったら」という声がきっかけで、本書『空にかかるはしご』は制作されました。
第1部では、なくなったお子さんの思い出のものや風景の写真と共に、それぞれのご家族の物語を綴っています。そして、子どもの死因や小児の医療環境についてもまとめています。第2部では、ご家族から寄せていただいた手記や、なくなったお子さんへのお手紙を掲載、第3部では、お子さんたちの最後のときをともに過ごした医療関係者からのメッセージを紹介し、最後にお母さんたちの座談会の様子やご家族の支えになってくれるような本を紹介しています。
子どもをなくした悲しみを分かち合い、自分の感情を肯定できる本。悲しみにくれる人に寄り添い、そっと支えることを教えてくれる本。いつの間にか当たり前の日常になっていた子どもと過ごす日々が、本当はかけがえのない時間であることに気付かせてくれる本。この本を手にしてくださった方にとって、そんな本であったらと思います。