目次
                     はじめに
  明治維新が意味するもの/本書の目的と構成
   第Ⅰ部 明治維新という神話
 
第1章 単純な物語の危険性  明治維新百五十周年に際して
 
 はじめに
 一 公共の場における歴史家
 二 単純な物語の危険性
 三 長い維新
 四 明治という近代の形成
 五 地震からの物語
 六 現在における維新
 
第2章 中国から見た明治維新認識
 
 はじめに  明治維新百年(1968年)と百五十年
 一 中国における明治維新観の変容
  明治維新=アジアの近代化モデル?/日中近代化比較論と同時代性/
  現在の中国における明治維新評価/清朝末期の明治維新観/
  民国時期の明治維新論──戴季陶の議論/蔣介石の明治維新論/
    「歴史戦」における日本の明治維新像/中国における明治維新像の揺らぎ
 二 近代日中関係史をいかに描くのか
    「日本=近代/清=伝統」を超えて/日清修好条規/日清双方の多様な学びと理解/
  日清間の外交・軍事バランスについて/条約改正をめぐる議論
 
第3章 明治維新の賞味期限  語りの変遷をめぐって
 
 はじめに
 一 明治百年と明治百五十年  特別な歴史としての明治維新とその終わり
  明治百五十年の〈理念〉/明治百年との違い
 二 二つの引照基準  明治の終わりと昭和の初め
  明治を共に生きる?/維新を知らない子供たち/原点史観
 三 戦後ナショナリズムと維新観  顚倒の修正
  竹内好における明治維新とナショナリズム/アジアの〈革命〉とナショナリズム/
  藤田省三と「維新の精神」
 おわりに  明治百五十年への視点
   第Ⅱ部 連鎖する革命
 
第4章 清末中国の政治改革と明治維新
 
 はじめに
 一 黄遵憲の明治維新観
 二 康有為の明治維新観
 三 梁啓超の明治維新観
 四 明治近代国家の諸施策と戊戌の変法
 おわりに
 
第5章 日本・チベットの邂逅と辛亥革命  チベット仏教圏の近代と日本仏教界
 
 はじめに
 一 チベット仏教圏の広がりと清朝
  チベット仏教の成立と展開/モンゴル・満洲への拡大と「ダライ・ラマ」
 二 ダライ・ラマ13世と日本
  日露戦争下での接触/明治日本の仏教界とチベット/寺本婉雅とチベット/
  ダライ・ラマ13世の五台山・北京訪問と寺本婉雅
 三 辛亥革命と日本・チベット関係
 おわりに
 
第6章 十月革命と明治維新
 
 はじめに
 一 現代ロシアにおけるロシア革命への評価
 二 大正期日本におけるロシア革命の受容と明治維新の再評価
  二月革命/十月革命/近代化革命としての明治維新とロシア革命
 おわりに
   第Ⅲ部 押し寄せる近代
 
第7章 接続される海  幕末の九州、瀬戸内海、日本
 
 はじめに
 一 開港と水路情報
 二 長崎における海軍伝習と測量
 三 接続される九州・瀬戸内海の航路
 四 瀬戸内海封鎖の可能性
 おわりに
 
第8章 日本帝国と沖縄近代  帝国化の起点と同化主義の問題を中心に
 
 はじめに
 一 問題意識の敷衍
 二 帝国にして皇国たる日本
 三 帝国化の起点
 四 沖縄の同化、日本帝国の同化主義
 おわりに
 
第9章 真杉静枝と坂口䙥子の台湾表象  「自伝的小説」に描かれた日台植民地史
 
 はじめに
 一  「家族史」としての植民地台湾  真杉静枝の「花樟物語」三部作
    「花樟物語」にみる在台日本人像/「花樟」と植民地台湾
 二  「自己表象」と植民地台湾  坂口䙥子の「蟷螂の歌」
  植民地台湾への自己投影/「支配者」と「被支配者」との機微/
  台湾プロレタリア作家  楊逵と葉陶夫婦像
 おわりに