内容紹介
本書は「長崎県長崎学アドバイザー」である著者が長崎・天草の潜伏キリシタンの里を訪ね、史料をもとにその魅力と知られざる歴史を分かりやすく解説する、世界文化遺産「長崎と天草の潜伏キリシタン関連遺産」初の網羅的入門書です。
縦軸としてキリスト教伝来から繁栄、禁教・弾圧、潜伏、復活の歴史を述べるとともに、横軸として長崎、浦上、平戸、外海(そとめ)、五島列島など現地をたずね、著者が直接学んだことを中心に展開しています。それぞれの地域の研究者から受けた教えはもちろん、住民の皆さんとの交流も大変貴重なもので、それらは今現在を生きる人々が住まう「キリシタンの里」を表わしています。100点以上のカラー写真のなかには、かつての潜伏集落を伝える教会や史跡などの写真も豊富に含まれています。とくに「浦上一番崩れ」に関しては、新たな資史料の発見と考察により新知見がわかりやすく紹介されており、一般読者から専門研究者まで幅広い読者層に有益な一書になるでしょう。
さらに本書には、長崎歴史文化博物館はじめ、日本二十六聖人記念館など長崎・天草各地の博物館・資料館所蔵の貴重な資料写真や、現地の絵図、地図が数多く掲載されています。「学びの観光」に欠かせない専門ガイド養成のテキストとしても、キリシタンの里を直接訪ねる際のガイドブックとしても有用で、このコロナ禍においては、現地撮影の写真と併せてバーチャルな世界遺産探訪書にもなりうるでしょう。
なお、本書は中日新聞・東京新聞系列紙に2018年から約2年半連載した『キリシタンの里』を再構成したものです。