目次
序文(岩佐昌暲)
序章
中国南方話劇運動とは/二十世紀前半における中国南方話劇運動の背景/本書の構成
1 啓蒙・教化の時代(1889―1937)
第一章 初期話劇の頃
春柳社/文明戯から「愛美劇」へ/『新青年』の主張/広東における演劇運動/
台湾の近代演劇
第二章 広東における話劇の確立と人材養成機関
采南歌/欧陽予倩の広東戯劇研究所/広東戯劇研究所がもたらしたもの/
広東省教育庁の広東戯劇研究所/広東省立芸術専科学校
第三章 台湾新劇第一人 張維賢の演劇活動
星光演劇研究会/築地小劇場での修業/民烽演劇研究会から民烽劇団へ/
新劇祭での台湾語劇/張維賢のめざしたもの/二つのアプローチ
2 戦時下の南方話劇(1937―1945)
第四章 戦時東南文芸運動における話劇活動
プロレタリア演劇から国防演劇へ/東南地区の抗戦文芸運動/「東南文芸運動」の提唱/
浙江の概況/福建の概況/「宣伝」・「動員」/福建における演劇と教育の結合の試み/
温州の場合
第五章 東京から東南へ 抗日話劇の課題
一九三〇年代の中国人留学生の演劇活動/『復活』合同公演/日本人・台湾人との交流/
董辛名と抗日救亡演劇活動/課題(一) 言語不通の問題/課題(二) 内容の問題/
課題(三) 社会的要因/課題(四) 演劇人の意識の問題
第六章 「方言無罪」 趙如琳の広東語話劇
西南劇展/『油漆未乾』/西南劇展での批評/使用言語についての論議/趙如琳という存在
第七章 日本語で演じられた抵抗 戦時統制下の台湾演劇
一九三七年以前の台湾演劇/日中戦争期の台湾演劇/使用言語の実情/
双葉会から厚生演劇研究会へ/楊逵脚色の『吼えろ支那』/台湾演劇人の抵抗
3 戦後初期の台湾演劇(1945―1949)
第八章 「言語の解放」 台湾語演劇の復権
戦後初期の演劇管理/使用言語の選択/戦後初の台湾語話劇/
聖烽演劇研究会の『壁』公演とその禁演/人劇座の失敗と聖烽の成功/『壁』の脚本/
『壁』公演の意義
第九章 東南から台湾へ 実験小劇団の多言語演劇
実験小劇団/実験小劇団の二言語併用/実験小劇団の多言語混用/『台北酒家』/
台湾話文創作をめぐる論議/台湾語による創作について/中断させられた演劇活動
第十章 民主のテーマの登場 「呉鳳」像の再解釈
呉鳳伝説の形成と変容/プロットの変更あるいは潤色/
日本植民地期の呉鳳劇における呉鳳の形象/陳大禹作『呉鳳』の特色(一) 神格化を廃す/
陳大禹作『呉鳳』の特色(二) 合理的な展開/融和の社会を求めて/権力者の横暴の暗示
終章 「多様的統一」の模索 南方の『白毛女』
南方話劇の流れ/方言使用の動機・目的/民衆の自己表現手段としての方言/
中原劇芸社の活動/『白毛女』公演/三つの上演団体/中国共産党のバックアップ/
観客からの反響/音楽論争/上演意図の齟齬/「多様的統一」をめざして/まとめ
主要参考文献
あとがき
索引(人名/劇目/事項)