舞台芸術マネジメント論 聴衆との共創を目指して

著者名
志村聖子
価格
定価 3,520円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0194-9
仕様
A5判 上製 168頁 C3070
発行年
2017年2月
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内容紹介

音楽や舞踊、演劇に代表される舞台芸術は、アーティスト(演奏家)と聴衆が「その時間」「その場」を共有するという点で、他の芸術とは異なる運営上の特色や難しさを有している。本書は、舞台芸術の中でも特に音楽に焦点をあて、「芸術」(art)概念が変化した現代において、その魅力を、より多くの(かつ多様な)聴衆といかに共有できるかという観点から、人的体制のあり方や、運営を担うマネジメント人材の育成のしくみ作りについて、具体例をもとに論じる。コンサート(音楽祭、プロジェクトなど)の効果的な運営のあり方や、望ましいマネジメントの方向性についての新しい可能性を提示する。

目次

序 章 舞台芸術が直面する課題
 
第1章 舞台芸術における制作者側と聴衆のコミュニケーションに関する理論的基盤
      欧米におけるアートマーケティング理論の展開と論点をもとに  
 
 1 はじめに
 2 アートマーケティングの学術的位置づけ
  2.1 アートマーケティングの対象領域
  2.2 アートマーケティングとディストリビューションの関係
  2.3 課題設定
 3 アートマーケティングにおける「聴衆」の捉え方
      アートマーケティング活動と理論の展開  
  3.1 1970年代
  3.2 1980年代
  3.3 1990年代
  3.4 2000年代~現在
 4 「アーティスティック・エクスペリエンス」概念
  4.1 同概念の背景
  4.2 「アーティスティック・エクスペリエンス」に関する諸説
  4.3 評 価
 5 舞台芸術におけるディストリビューションの課題
  5.1 聴衆の内面的体験のために
  5.2 アプロプリエーション・プロセス
  5.3 「全体として認識される体験」
  5.4 「組織として、どのような価値を伝達するか」という組織レベルにおける規範の必要性
 6 結 語
 
第2章 舞台芸術におけるディストリビューションの体制構築
      ボランティアが支える福岡古楽音楽祭を例に  
 
 1 はじめに
 2 舞台芸術の担い手としての市民
  2.1 舞台芸術における市民参加の増加
  2.2 舞台芸術における市民参加の意義
  2.3 舞台芸術における市民参加を取り巻く問題点
  2.4 課題の設定
 3 事例研究:福岡古楽音楽祭の萌芽と発展
  3.1 概 略
  3.2 福岡古楽音楽祭の萌芽
  3.3 福岡への移転と発展(1999~2009年)
  3.4 発展の背景
 4 運営体制の特色
 5 福岡古楽音楽祭の意義・機能
  5.1 芸術的機能
  5.2 教育的機能
  5.3 マネジメント側における意義
  5.4 社会的機能
 6 音楽祭に関わる人々の意識と評価
  6.1 調査の概要と方法
  6.2 聴 衆
  6.3 ボランティア
  6.4 考 察
 7 福岡古楽音楽祭における<アーティスティック・エクスペリエンス>
 8 結 語
 
第3章 舞台芸術における制作者側と聴衆のコミュニケーションに携わる人材育成の体制構築
      大学など教育機関と公立文化施設の連携によるアートマネジメント人材育成  
 
 1 はじめに
 2 アートマネジメント人材育成に関する国の方針及び施策
 3 長期インターンシップへの視角
  3.1 長期インターンシップの位置づけ
  3.2 長期インターンシップの方向性
 4 ミュージック・ファクトリーの発展経緯
  4.1 ミュージック・ファクトリーの概要
  4.2 ミュージック・ファクトリー開催の経緯
  4.3 第1期~第2期の実績と反省
  4.4 ミュージック・ファクトリーの再開に向けて
 5 ミュージック・ファクトリーの構築と実効性
  5.1 新体制づくり
  5.2 ミュージック・ファクトリーの構造
  5.3 第3期ミュージック・ファクトリー企画の概要
  5.4 ミュージック・ファクトリーのシステムの実効性
  5.5 本システムの他機関・他地域での応用可能性
  5.6 今後の展開
 6 結 語
 
終 章 聴衆との共創を目指して

 
 索 引

著者紹介

志村聖子(しむら せいこ)
1999年 東京藝術大学音楽学部楽理科卒業
2011年 九州大学大学院芸術工学府修士課程修了
2014年 同博士後期課程修了 博士(芸術工学)
     九州大学大学院芸術工学研究院コミュニケーションデザイン科学コース学術研究員を経て
2015年より 政策研究大学院大学文化政策プログラム研究助手

学術図書刊行助成

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