モノから見た海域アジア史 モンゴル~宋元時代のアジアと日本の交流

シリーズ名
KUP選書3
著者名
四日市康博 編著
価格
定価 1,980円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0295-3
仕様
四六判 並製 216頁 C1321
発行年
2022年11月
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内容紹介

古来より国と国、地域と地域を分け隔て、結びつけた「海域」は人・モノ・文化の交流の舞台となってきた。その海域からアジア史を見ると、従来の枠組みからは見えなかった歴史が見えてくる。本書は中世の海域アジアを行き交った様々なモノ、石材・木材・陶磁器・貴金属を通じて考古学・日本史・東洋史を専門とする各研究者が日本とアジア、ユーラシアの交流の諸相を解説したものである。写真・図版多数収録。

目次

 口絵
 はじめに
 
   〈石材から見た海域アジア交流〉
第1章 海域アジアの碇石航路誌
 
   碇石とは/さまざまな碇石/鷹島海底遺跡と碇石/碇石の使用方法/碇石の分布/碇石の年代/
   碇石にみる交易圏/なぜ碇石か?/碇石研究の課題/西へと続く東アジア交易圏/東西のアンカー
 
   〈木材から見た海域アジア交流〉
第2章 「板渡の墨蹟」と日宋貿易
 
   1240年代/径山の火災/板渡の墨蹟/海域アジア交流を語る史料/墨蹟伝来の背景/円爾の前半生/
   円爾と無準の連絡/博多綱首謝国明/木材と日宋貿易/円爾の板渡/木材の行方/330/860/
   木材をめぐる攻防/三万貫の銅銭/三万貫は誰から誰に支払われるのか/なぜ三万貫を支払うのか/
   円爾・綱首と木材の関係/一連の尺牘から見えてくるもの
 
   〈陶磁器から見た海域アジア交流1〉
第3章 海域アジアの貿易陶磁とコンテナ陶磁
 
   遺跡出土の陶磁器、貿易陶磁/初期貿易陶磁/コンテナ陶磁/日本における初期貿易陶磁/
   博多──貿易陶磁の吸引口──/奥州平泉/鎌倉/南九州〜琉球の流通路/アユタヤ朝と海上交易/
   交易都市スパンブリとコンテナ生産/交易都市アユタヤとコンテナ陶磁生産/商品としてのタイ陶磁/
   アユタヤ領域内でのタイ陶磁流通/東南アジア島嶼部でのタイ陶磁流通/15世紀、東アジアのタイ陶磁流通/
   16世紀、東アジアのタイ陶磁流通/海上交易史におけるコンテナ陶磁研究の可能性
 
   〈陶磁器から見た海域アジア交流2〉
第4章 アジアの海を渡った龍泉青磁
 
   新安沈船の発見/新安沈船の龍泉窯青磁/「砧青磁」をめぐって/龍泉窯青磁とは/
   青磁の発生:龍泉窯が生まれる以前/龍泉窯の誕生と発展/汝窯と耀州窯の天青釉青磁:「砧青磁」の源流/
   南宋官窯と龍泉窯/海外に運ばれた龍泉窯青磁/元代前期の海外輸出/新安沈船の時代/龍泉窯のその後
 
   〈貴金属から見た海域アジア交流〉
第5章 銀と銅銭のアジア海道
 
   日本銀の登場以前/遊牧世界における銀/銀とモンゴル帝国/オルトクとは?/
   連環する海上ルートと陸上ルート/官豪勢要/官・民・軍の共存構造/ペルシャ湾のオルトク商人/
   キーシュ商人がつなぐアジアとイスラーム/インド洋での邂逅/中国銀は世界を廻ったのか?/
   元朝の銀事情/絹、陶磁器、茶、そして銀/インド洋を渡る馬と銀/銅銭をめぐる問題/沈没船と銅銭/
   中国銅銭は国際通貨か?/銀と銅銭から見たアジアとユーラシア
 
第6章 〈対談〉モノから見た海域アジア交流と日本
 
 1 アジアの「硫黄」海道と技術革新  対談相手:山内晋次(大阪大学)
 2 「ヤコウガイ」海道のゆくえ  対談相手:高梨 修(奄美市立奄美博物館)、田中史生(関東学院大学)
 3 中世「博多」の中国商人をめぐって  対談相手:田上勇一郎(福岡市埋蔵文化財センター)
 4 考古学から見た「琉球」史の転換点  対談相手:片桐千亜紀(沖縄県立埋蔵文化財センター)
 5 「平泉」の都市性とモノの流通  対談相手:佐藤嘉広(岩手県教育委員会)
 6 結節点としての中世港「十三湊」  対談相手:工藤 忍(青森県埋蔵文化財調査センター)
 7 沈没船が語る「南海交易」  対談相手:高 栄盛(南京大学)
 
 参考文献
 図版提供元一覧
 あとがき
 新装版に寄せて

著者紹介

<編著者>
四日市康博(よっかいち やすひろ)はじめに、第5章、第6章、あとがき、新装版に寄せて
立教大学文学部史学科世界史学専修准教授。博士(文学)(早稲田大学)。
 
主要著書:
『NHKスペシャル 文明の道5 モンゴル帝国』日本放送出版協会、2006年(共著)
『論点・東洋史学──アジア・アフリカへの問い158』ミネルヴァ書房、2021年(共編著)
『海から見た歴史』(東アジア海域に漕ぎだす 1)東京大学出版会、2013年(共著)

<執筆者>
小川光彦(おがわ みつひこ)第1章
NPO法人アジア水中考古学研究所理事。修士(文学)(金沢大学)。
 
主要著書:
『鷹島海底遺跡Ⅴ』鷹島町教育委員会、2001年(編・共著)
『鷹島海底遺跡Ⅷ』鷹島町教育委員会、2003年(編・共著)
「東アジア海域における中国スタイル碇石の研究」『第1回 韓・日共同水中考古学研究発表会
  論文集』財団法人韓国文物研究院、2008年
「碇石の分類と変遷」『高麗の難破船と文化史』韓国国立海洋文化財研究所、2011年
 
榎本 渉(えのもと わたる)第2章
国際日本文化研究センター准教授。博士(文学)(東京大学)。
 
主要著書:
『東アジア海域と日中交流──9〜14世紀』吉川弘文館、2007年
『僧侶と海商たちの東シナ海』講談社学術文庫、2020年
 
向井 亙(むかい こう)第3章
公益財団法人横浜市ふるさと歴史財団埋蔵文化財センター調査研究員。博士(文学)(タイ国立
  シラパコーン大学)。
 
主要著書:
「タイ産コンテナ陶磁器の海外搬出様相」『貿易陶磁研究』32、2012年
「9〜14世紀、タイチャオプラヤ河流域における陶磁器流通様相」『東南アジア考古学』32、2012年
 
森 達也(もり たつや)第4章
沖縄県立芸術大学美術工芸学部(全学教育センター)教授。博士(文学)(金沢大学)。
 
主要著書:
『中国青瓷の研究──生産と流通』汲古書院、2015年
『貿易陶磁器と東アジアの物流──平泉・博多・中国』高志書院、2019年(共編著)
『陶磁器流通の考古学──日本出土の海外陶磁』(アジアの考古学1)アジア考古学四学会編、
  高志書院、2013年

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FAX:092-836-8236
E-mail : info@kup.or.jp

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