ブルゴーニュ国家の形成と変容 権力・制度・文化
内容紹介
ブルゴーニュ公国史研究会の10年にわたる研究成果を問う本書は,「領邦と中間権力」「都市と市民」「宮廷と政治文化」の三部から成る。中世後期に広大な地政学的空間を現出した「ブルゴーニュ国家」に,政治史・経済史・都市史・文化史など多様な側面から接近を試みることで,ヨーロッパ歴史像の一断章を浮かび上がらせる。
目次
I部 宮廷と政治文化
著者紹介
齋藤絅子(さいとう けいこ)…第1章
1942年生まれ。明治大学文学部名誉教授。九州大学大学院博士課程文学研究科単位取得退学。文学博士。
主著・主論文:『西欧中世慣習法文書の研究 「自由と自治」をめぐる都市と農村 』九州大学出版会,1992年。「中世エノー伯領における共同体の「自由」と制定法」『駿台史学』147号,2013年,ほか。
藤井美男(ふじい よしお)…序,第2章
1956年生まれ。九州大学大学院経済学研究院教授。九州大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(経済学)。
主著・主論文:『中世後期南ネーデルラント毛織物工業史の研究 工業構造の転換をめぐる理論と実証 』九州大学出版会,1998年。『ブルゴーニュ国家とブリュッセル 財政をめぐる形成期近代国家と中世都市 』ミネルヴァ書房,2007年。「中世後期南ネーデルラントの商業組織に関する考察 ロンドンのフランドル=ハンザを中心に 」『経済学研究』(九州大学)第79巻第5・6合併号,2013年,ほか。
青谷秀紀(あおたに ひでき)…第3章
1972年生まれ。明治大学文学部准教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学)。
主著・主論文:『記憶のなかのベルギー中世 歴史叙述にみる領邦アイデンティティの生成 』京都大学学術出版会,2011年。「聖なる権威の在り処をもとめて 15世紀後半のリエージュ紛争とブルゴーニュ公 」服部良久編著『コミュニケーションから読む中近世ヨーロッパ史 紛争と秩序のタペストリー 』ミネルヴァ書房,2015年,ほか。
加来奈奈(かく なな)…第4章
1982年生まれ。日本学術振興会特別研究員(PD)。奈良女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了。博士(文学)。
主著・主論文:「ブルゴーニュ・ハプスブルク期のネーデルランド使節 「カンブレの和」実現に向けての活動を中心に 」『寧楽史苑』第53号,2008年。「ネーデルラントの統一と分裂」大津留厚・水野博子・河野淳・岩崎周一編『ハプスブルク史研究入門 歴史のラビリンスへの招待 』昭和堂,2013年。「16世紀前半ネーデルラントの統一と渉外活動 1529年カンブレ平和条約履行におけるネーデルラント使節ジャン・ド・ル・ソーの機能 」岩本和子・石部尚登編『「ベルギー」とは何か? アイデンティティの多層性 』松籟社,2013年,ほか。
舟橋倫子(ふなはし みちこ)…第5章
1967年生まれ。慶應義塾大学・中央大学非常勤講師。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(歴史学)。
主著・主論文:「12世紀ベルギーにおける修道院と周辺社会 アッフリゲム修道院とブリュッセル地域 」『エクフラシス』第3号,2013年。「中世ブリュッセルの都市と宗教 ミッシェル・ヴィシュマールの遺言書を素材として 」『ユーラシア・アフリカ大陸における都市と宗教の比較史的研究』中央大学人文科学研究所研究叢書,2014年,ほか。
花田洋一郎(はなだ よういちろう)…第6章
1968年生まれ。西南学院大学経済学部教授。九州大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学)。
主著・主論文:『フランス中世都市制度と都市住民 シャンパーニュの都市プロヴァンを中心にして 』九州大学出版会,2002年。「14世紀後半フランス王国及びブルゴーニュ公領の財務官僚ニコラ・ド・フォントゥネ 地方役人の社会的上昇の軌跡と富の蓄積 」『社会経済史学』第77巻第2号,2011年。「中世後期フランス都市における都市議事録 トロワ都市評議会議事録(1429-1433年)の分析 」『比較都市史研究』第32巻第1号,2013年,ほか。
畑 奈保美(はた なおみ)…第7章
1969年生まれ。東北学院大学・尚絅学院大学非常勤講師。東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。
主著・主論文:「ブルゴーニュ時代フランドルのシャテルニー統治」『史学雑誌』第116編第9号,2007年。「フランドルにおける援助金の交渉と徴収」『社会経済史学』第77巻第2号,2011年。「ブルゴーニュ国家 14・15世紀ヨーロッパにおける「統合」の試み」渡辺昭一編『ヨーロピアン・グローバリゼーションの歴史的位相「自己」と「他者」の関係史』勉誠出版,2013年,ほか。
金尾健美(かなお たけみ)…第8章
1954年生まれ。川村学園女子大学教授。パリ第4大学歴史学研究科博士課程修了。博士(歴史学)。
主著・主論文:「ヴァロワ家ブルゴーニュ公フィリップ・ル・ボンの財政(1)~(7)」『川村学園女子大学研究紀要』第9巻第1号(1998年)~ 第22巻第2号(2011年)。La levée d’argent dans le duché de Bourgogne en 1421 d’après le compte du bailliage d’Auxois, in KANO, O. et LEMAITRE, J.-L. éds. ; Entre texte et histoire. Etudes d'histoire médiévale offertes au professeur Shoichi Sato, Paris, 2015,ほか。
河原 温(かわはら あつし)…第9章
1957年生まれ。首都大学東京都市教養学部教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。
主著・主論文:『中世フランドルの都市と社会 慈善の社会史 』中央大学出版部,2001年。『都市の創造力』岩波書店,2009年。「中世ブルッヘの兄弟団と都市儀礼 15世紀「雪のノートルダム」兄弟団の活動を中心に 』深沢克己・桜井万里子編『友愛と秘密のヨーロッパ社会文化史 古代秘儀宗教からフリーメイソン団まで 』東京大学出版会,2010年,ほか。
中堀博司(なかほり ひろし)…第10章
1968年生まれ。宮崎大学教育文化学部准教授。九州大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。
主著・主論文:「領邦の記憶 ブルゴーニュ公国南部におけるオフィシエ(1386-1435年) 」藤井美男・田北廣道編『ヨーロッパ中世世界の動態像 史料と理論の対話 (森本芳樹先生古稀記念論集)』九州大学出版会,2004年。「あの世に向かって 二人のブルゴーニュ公フィリップの葬送と後継者たちの思惑 」服部良久編著『コミュニケーションから読む中近世ヨーロッパ史 紛争と秩序のタペストリー 』ミネルヴァ書房,2015年。「ブルゴーニュ公国の解体 その歴史的位相 」池田嘉郎・草野佳矢子編『国制史は躍動する ヨーロッパとロシアの対話 』刀水書房,2015年,ほか。
河野雄一(かわの ゆういち)…第11章
1980年生まれ。慶應義塾大学非常勤講師(2016年4月以降)。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。
主著・主論文:「中世の継承者としてのエラスムス 1520年代の論争を通して 」『西洋中世研究』第4号,2012年。「エラスムスにおける「寛恕」と限界 時間的猶予における改善可能性」(『法學政治學論究』第100号,2014年。「エラスムス『リングア』における言語と統治 功罪と規律 」『中世思想研究』第57号,2015年,ほか。