語彙化と言語変化

著者名
ローレル・J. ブリントン,エリザベス・C. トラウゴット/日野資成 訳
価格
定価 6,600円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0002-7
仕様
A5判 上製 296頁 C3080
発行年
2009年12月
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内容紹介

本書はトラウゴットとブリントン共著によるLexicalization and Language Change(Cambridge University Press 2005)の翻訳である。原著は,文法化と語彙化の類似点・相違点を明確にした上で,英語における語彙化の具体例を提示し,最後に語彙化研究の今後を展望する。言語学におけるむずかしい術語には,訳者による注も施されており,語彙化研究を志す研究者にとって必携の書である。

目次

 まえがき
 省略記号
 訳者まえがき
第1章 語彙化と文法化研究の理論的背景
 1.0 本研究の目的
 1.1 文法と言語変化についての論争
  1.1.1 文法と語彙の研究法:概観
  1.1.2 言語変化の研究法
  1.1.3 まとめ
 1.2 語彙の概念
  1.2.1 語彙の単位:全体的研究法と構成要素的研究法
  1.2.2 語彙の範疇:語彙範疇と文法範疇
  1.2.3 不連続の範疇と段階的範疇
  1.2.4 生産性の連続体
  1.2.5 まとめ
 1.3 語彙化
  1.3.1 語彙化についての共時的観点
  1.3.2 語彙化についての通時的観点
 1.4 文法化
  1.4.1 文法化についての共時的観点
  1.4.2 文法化についての通時的観点
 1.5 まとめ
第2章 語彙化の定義と観点
 2.0 はじめに
 2.1 語形成の通常の過程
  2.1.1 合成
  2.1.2 派生
  2.1.3 転換
  2.1.4 切り取りと省略
  2.1.5 混成
  2.1.6 逆形成
  2.1.7 頭字語
  2.1.8 借用逐語訳
  2.1.9 新造語と語根創造
  2.1.10 メタ言語的引用
  2.1.11 まとめ
 2.2 規範化
 2.3 融合としての語彙化
  2.3.1 連辞素>語彙素
  2.3.2 複合の語彙素>単一の語彙素
  2.3.3 脱形態化と音韻創生
  2.3.4 慣用化と脱動機化
 2.4 独立性が増す語彙化
 2.5 まとめ
第3章 語彙化と文法化の関係
 3.0 はじめに
 3.1 語彙化・文法化における融合・合体
 3.2 語彙化と文法化の類似点
  3.2.1 一方向性
  3.2.2 一方向性としての更新と再生
 3.3 語彙化と文法化の相違点
  3.3.1 脱文法化としての語彙化
  3.3.2 脱文法化とは別個の語彙化
 3.4 派生の性格
 3.5 まとめ
第4章 語彙化と文法化の統合的研究に向けて
 4.0 はじめに
 4.1 基礎的仮説
 4.2 定義再考
  4.2.1 語彙化
  4.2.2 文法化
  4.2.3 言語変化としての語彙化と文法化
 4.3 語彙化と文法化の反対
  4.3.1 脱語彙化/反語彙化
  4.3.2 脱文法化/反文法化
 4.4 語彙化と文法化の類似度
  4.4.1 類似性
  4.4.2 非類似性
 4.5 まとめ
第5章 ケーススタディ
 5.0 はじめに
 5.1 現在分詞
  5.1.1 古代英語の現在分詞と進行形の誕生
  5.1.2 現在分詞形容詞の発展
  5.1.3 現在分詞前置詞と接続詞の発展
  5.1.4 現在分詞程度副詞
  5.1.5 まとめ
 5.2 複合動詞
  5.2.1 句動詞
  5.2.2 前置詞動詞
  5.2.3 非分離性の接頭辞
 5.3 合成動詞
 5.4 -ly による副詞
 5.5 談話標識
第6章 結論と研究課題
 6.0 はじめに
 6.1 まとめ
 6.2 研究課題
  6.2.1 可能な変化と不可能な変化
  6.2.2 範疇から範疇への変わり目
  6.2.3 類型的変化
  6.2.4 談話のタイプ
  6.2.5 言語接触
 訳注
 参考文献
 英日術語対照表(アルファベット順)
 人名索引(アルファベット順)
 事項索引(五十音順)
 言語別単語索引
 
図のリスト
 2.1 語彙化の方向性
 3.1 文法と語彙の連続性
 3.2 語彙化と脱文法化の一致性
 3.3 語彙化
 3.4 (脱)文法化
 3.5 文法化・脱文法化・語彙化
 4.1 反文法化と反語彙化のフローチャート
 5.1 動詞+-ende/-ingの発展
 
表のリスト
 4.1 連続体における範疇間の相関関係
 4.2 語彙性と文法性の共時的連続体
 4.3 語彙性と文法性の通時的連続体
 4.4 語彙化と文法化の類似性

著者紹介

ローレル・J. ブリントン(Laurel J. Brinton)
ブリティッシュ・コロンビア大学英語学部教授。
主要著書:
The Structure of Modern English : A Linguistic Introduction (2000)
Pragmatic Markers in English : Grammaticalization and Discourse Function (1996)
 
エリザベス・C. トラウゴット(Elizabeth Closs Traugott)
スタンフォード大学言語学部名誉教授。
主要著書:
Grammaticalization (Paul Hopper と共著。2003)
Regularity in Semantic Change (Richard Dasher と共著。2002)
 
日野資成(ひの すけなり)
1977年,慶應義塾大学文学部国文学科卒業。
1980年,上智大学文学部国文学科大学院博士前期課程修了,国語学で修士号取得。
1996年,ウィスコンシン州立大学マジソン校東アジア言語・文学学部大学院修士課程修了,日本語教育で修士号取得。
2000年,ハワイ大学マノア校言語学部大学院博士課程修了,言語学で博士号取得。
現在,福岡女学院大学人文学部現代文化学科教授。
主要著書:
『日野の古文単語』(メタモル出版,1992)
Grammaticalization of Japanese pseudonouns and auxiliary verbs (University of Hawaii Ph.D. dissertation,2001,UMI)
『形式語の研究』(九州大学出版会,2001)
『ベーシック現代の日本語学』(ひつじ書房,2009)
訳書:
『文法化』(P.J. ホッパー,E.C. トラウゴット著,九州大学出版会,2003)

学術図書刊行助成

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