目次
序 要請としてのカント倫理学
第一章 事実
第一節 理性の事実
一 「理性の事実」の用例とその核心
二 経験的事実でなく、純粋理性の唯一の事実である
三 理性の事実の候補
四 根本法則へ至る論理の飛躍
五 即時の死刑という脅しのもとで
六 たとえファラリスが偽証せよと命じても
七 なすべきが故になしうる
八 「なしうる」の条件としての自由
九 選択意志の自由
第二節 定言命法の法式
一 定言命法の諸法式とその関係
二 三つの原理
三 三つの法式
四 自律の法式
五 Recht (法則、権利、正義)との類比
六 『実践理性批判』における根本法則と範型
第三節 道徳法則の演繹と自由の演繹
一 自由と道徳法則は相互に遡示しあう
二 人倫の形而上学から純粋実践理性の批判への移行
三 『基礎づけ』における演繹
四 理解不可能性を理解する
五 無条件的に実践的なものの我々の認識はどこから始まるのか
六 道徳法則の演繹の不可能性と意志
七 実践的要請として必然的である
第二章 意志
第四節 私はかく意志し、かく命令する
一 ユヴェナリスの言葉
二 数学における sic volo, sic jubeo
三 Sollen-Wollen
四 根源的に立法する(sic volo, sic jubeo)
五 意志から法則が生じ、選択意志から格率が生じる
六 法則によって命令する者は立法者である
第五節 普遍的法則になることを意志しうる
一 格率の道徳的判定の基準としての「意志しうる」
二 格率が普遍的法則になる
三 意志の自己矛盾
四 目的論?
五 一つの自然を創造する意志
六 自殺
七 偽りの約束
八 才能の開発
九 他人を助ける
十 volo, Wollen との一致
第六節 意志主義 ルソーからカントへ
一 感情(欲求能力の第一の内的根拠)
二 ルソーとは誰か
三 『エミール』のルソー?
四 良心と自然法?
五 一般意志のルソー
六 定言命法の法式へ
七 自律思想の継承
八 法の倫理学
九 道徳法則が善の概念を規定し可能にする
第三章 要請
第七節 純粋実践理性の根本法則は要請である
一 何故幾何学の要請が語られたのか
二 理論的命題としての要請と実践的命題としての要請
三 ユークリッド幾何学の要請
四 証明できない確実な実践的命題としての要請
五 定言命法は要請である
六 純粋実践理性の根本法則は根本要請である
七 数学的な論述形式
八 カント倫理学のアルケー
九 理性の事実は意志の要請として定立される
第八節 最高善の促進は要請である
一 義務→最高善の可能性の要請→最高善の可能性の条件の要請
二 道徳法則→最高善の促進(義務)?
三 最高善の可能性の要請
四 自由の要請と神と不死性の要請
五 実践理性は道徳法則を超えて自己を拡張する
六 実践理性は自己を拡張する
七 「最高善を促進せよ」は要請である
第九節 要請論としての法論
一 法論における三つの要請
二 要請としての法の法則と道徳法則
三 演繹は要請に基づく
四 実践理性はアプリオリな要請によって自己を拡張する
五 公法の要請と自然法
六 『純粋理性批判』から『人倫の形而上学』法論へ Recht を介して
七 Was ist Recht?
第四章 哲学
第十節 コペルニクス的転回
一 コペルニクスがモデル?
二 二等辺三角形
三 実験的方法
四 経験的な原理に基づいているかぎりでの自然科学
五 法則を自然から汲み取るのでなく、自然に指定する
六 コペルニクス的転回のモデルは数学
七 自ら作りうるもののみを洞察する
八 ホッブズとヴィーコ、そしてカント
九 現象の創造者
第十一節 超越論的哲学
一 nicht sowohl…sondern と überhaupt
二 純粋理性の批判・超越論的哲学・形而上学
三 独断のまどろみからの目覚め
四 現象学から『純粋理性批判』へ
五 形而上学の本質的に異なった二部門
六 認識の起源に関しては超越論的、客観に関しては超越的
七 存在論から超越論的哲学へ
八 対象一般についての我々のアプリオリな概念に関わる認識
九 対象についての認識様式に一般に関わる認識
第十二節 要請としての哲学
一 形而上学の第一部門と第二部門
二 形而上学 自ら作る(selbst machen)
三 『純粋理性批判』第二版から『実践理性批判』へ
四 要請としてのカント倫理学
五 立法者としての人間
六 経験の可能性の条件と要請
七 要請としてのカント哲学
あとがき
人名索引
事項索引