目次
はしがき……………………………………………………………山崎喜代子
第一部 優生学を支えた科学の潮流
第一章 社会ダーウィニズムとは何だったのか…………………北垣 徹
――十九世紀後半におけるフランスの事例――
はじめに
一 社会ダーウィニズムをめぐる混乱
二 社会ダーウィニズムについての先行研究
三 「社会ダーウィニズム」という用語
四 社会ダーウィニズムの諸類型
五 社会ダーウィニズムからの離反
むすびにかえて
第二章 米国優生学の開拓者 ダヴェンポートと遺伝学……山崎喜代子
はじめに
一 栄光への助走
二 メンデル遺伝学との出会い
三 実験進化ステーション設立へ
四 優生学記録局設立へ
五 ダヴェンポートを支えた繁殖育種学
六 米国遺伝学の進歩に取り残されるダヴェンポート
おわりに
第三章 人種主義に利用される科学…………………K・J・シャフナー
――米国における優生学――
はじめに
一 十九世紀の「科学的」人種主義――人種の多元発生説と分類体系――
二 優生学とのつながりを持つ人種主義の団体
三 出版物における人種主義
四 人種主義「科学」の政治的勝利
おわりに
第二部 優生学の時代とその社会
第四章 優生学時代の女性……………………………K・J・シャフナー
はじめに
一 家庭を改善する――公衆衛生とコンテスト――
二 「精神薄弱者」を鑑定し、管理する――フィールドワークと家族研究――
三 精神薄弱者の急激な流入をせき止める――移民制限法と知能テスト――
四 人種を改良する――母となることと結婚することを制限する――
おわりに
第五章 ナチズムにおける人間改良計画…………………………河島幸夫
――《レーベンスボルン》(生命の泉)を中心に――
はじめに
一 進化論・社会ダーウィニズム・優生学
二 ナチズムの世界観と人種思想
三 《レーベンスボルン》の創設と活動(一九三五―一九三九年)
四 戦時下のドイツ占領地域における《レーベンスボルン》(一九三九―一九四五年)
五 《レーベンスボルン》の終幕
おわりに
第六章 スウェーデンにおける福祉国家建設と優生政策………山本裕子
はじめに
一 スウェーデンと優生政策
二 民主的福祉国家の形成と優生政策の蜜月
おわりに
第七章 近代日本の衛生思想成立過程における優生思想………中馬充子
はじめに
一 近代的防疫行政と隔離――「不潔」の発見――
二 大日本私立衛生會の功罪――伝染病研究支援と「不具」の発見――
三 衛生思想と優生思想――民族強化の道程――
おわりに
第三部 優生学の時代を越えて
第八章 優生の論理と安全の論理…………………………………堀口良一
はじめに
一 二十世紀――優生学の世紀――
二 優生学と福祉
三 安全と優生
おわりに
第九章 精神医学と生命倫理………………………………………新福尚隆
――ナチス精神医学と優生政策の反省――
はじめに
一 技術の対象としての生命倫理、自明の生命倫理
二 精神医学の歴史から学ぶもの
三 「生命倫理学」と「生命への無条件の畏敬」
おわりに
第十章 出生前診断・着床前診断と生命倫理……………………片桐英彦
――リスクの視点から考える倫理的な問題――
はじめに
一 出生前診断・着床前診断
二 出生前診断・着床前診断の問題点
三 倫理的な問題とは何か
おわりに
第十一章 診療と研究の境……………………………笹栗俊之・柴田智美
――臨床試験の倫理――
はじめに
一 歴史的背景
二 日本の現状と課題
三 診療と研究の境
おわりに