内容紹介
林家等の森林経営マインドが後退し,間伐遅れや皆伐跡地の再造林放棄などが増加している。森林・林業・山村をめぐる厳しい状況の中で,造林補助金等によって造林意欲を喚起し,森林を整備するという伝統的な森林資源政策が窮地に陥っているのである。
本書は,このような森林資源管理を「社会化」の視点から再検討している。すなわち,全国に拡大しつつある再造林放棄の実態と背景を調査,分析し,さらに新たな森林資源管理のあり方を,森林資源所有の社会化,整備費用負担の社会化,合意形成の社会化という3つの視点から多角的に考察している。循環型社会の構築にとって成熟した人工林資源の利・活用の拡大,活性化と伐採跡地における更新の確保は,焦眉の課題である。そのためには基本的な生産基盤である立木保有の安定化が不可欠であり,「長期伐採権」の制度化を提案している。