内容紹介
本書は、明治期に熊本県内で造られた近代化遺産を含む洋風建築について網羅的に調査した結果を、時代背景も含めながら叙述し、写真や図面を用いて明治期熊本における洋風建築の歴史を明らかにするものである。
明治期に日本にもたらされた洋風建築は、熊本においてはまず長崎から伝播し、数年遅れて明治政府の統治機構の整備に伴い東京からも伝搬した。長崎から伝わった洋風建築の系譜は、やがて東京から伝わった洋風建築の系譜に飲み込まれていった。
このような熊本における洋風建築流入の系譜を体系的に網羅し、通史として示すとともに、東京に依存せず、自らの意思で東京以外の文化を導入しようとした地方レベルの建築活動の実態を明らかにする。