内容紹介
日本の液体ロケット開発は、アメリカから導入されたデルタ・ロケットの技術を基礎としてスタートした。デルタ・ロケットは元々中距離弾道ミサイルとして開発されたロケットであることから、導入した液体ロケット技術は日米政府間協定により、開発に関わった政府機関および企業以外には開示することが禁止されている。また、その後の自主開発技術についても、導入技術との関係で一部を除き公表されていないのが現状である。
そこで、日本がアメリカから導入した液体ロケット技術と同等と考えられる設計技術として、サターン・ロケットおよびスペースシャトルに着目。公開されている技術文献に基づき、液体ロケットの設計技術の基礎を解説・説明することとした。本書により、若手技術者およびこの分野を目指す学生に対して、液体ロケットの設計技術の基礎を分りやすく伝えるとともに、今後開発が予想される再使用型ロケットを開発するために必要な基礎技術を伝承することが出来よう。
改訂版では、主に①NASAの設計基準の改訂を反映し、設計・製造の検証方法としてプロトタイプとプロトフライトの適用を明確化、②空力形状の中でも特に重要な先端形状について、その空力特性(垂直力係数、風圧中心および抗力係数)の解析例を追加、③突風モデルに関して、初版で説明したサターン・ロケット開発以降で適用実績のある台形状モデルに加えて、NASAによって見直されたスペースシャトル用の正弦波状突風モデルの説明を追加し、両モデルを比較、の3点の改訂を行った。