内容紹介
広重の浮世絵風景画は,日本のみならず海外でも多くの愛好家をもっており,万国の人を惹きつけてやまない魅力を持っている。
「絵になる景観」を追求する著者達は,景観の基本的構成要素を,水,緑,道,まちなみの4つとし,本書では,この基本的構成要素にしたがって浮世絵を逐一調べ上げている。ついで,広重が描いた絵画と実際の景観との関連を論じ,俯瞰化や削除,移動配置などの広重のデザイン手法について述べ,「デフォルメ」などの構図上の工夫をしていることを指摘している。さらに,透視図法と広重の風景画との関連を詳細に調べ,この図法が適用できる絵画を抽出している。
本書は,景観に関心を持っている人,建築行政や景観行政など景観を進める地方公共団体,あるいは都市計画コンサルタントにとって必須のテキストになるし,風景画の見方も図によってわかり易く記載されており,広く市民の方々,美術・浮世絵愛好家の方々の関心を呼ぶに違いない。