本書は長年、うつ病・双極性障害などの気分障害の研究と臨床に従事してきた著者が、直近5年間に書き綴ってきた小論、論考、書評、挨拶文などをエッセイ集としてまとめたものである。
うつ病研究をリードし、日本うつ病学会前理事長を務めた著者によるうつ病論、また日本精神神経学会理事長として精神医学全体を見渡しての洞察に富む見解、同じ精神科医の友人や恩師へ贈る言葉、プロテスタント医師としての信仰と医学の両立の試みなどが紹介されている。
好評をえた、同じ著者によるエッセイ集『思索と想いー精神医学の小径で』(慶應義塾大学出版会)に継ぐ第二弾。
まえがき 第一部 精神医学との対話 【総論】 こころを支えるということ 人と感情─進化はなにをもたらしたか 文化・こころ・脳 呉秀三記念フォーラムにて 精神疾患の克服をめざして メンタルヘルス対策に望むこと 【うつ病論と精神療法】 私のうつ病論 精神疾患の普遍性と個別性 うつ病臨床の諸相 慢性化したうつ病の理解と治療 うつの心理療法─いくつかの覚え書き 「うつ病」の時代を走り抜けて 気分障害の臨床 変わること、変わらないこと 【診断と薬物療法】 精神疾患 (DSM-5) の日本語病名・用語について ナンシー・C・アンドリアーセンの精神医学書 精神疾患の分類とは何か 向精神薬の処方マナー 臨床精神薬理学の名著 コラム1 マインドとメンタリティ 第二部 日本精神神経学会によせて 精神科の専門研修を考えている先生へ 専門医制度改革:卒後研修について 認知症の分類問題:そもそも精神疾患とはなにか 理事長就任に際しての所信 二〇一八年の年頭の所感 精神医学への信頼:ロバート・L・スピッツァー氏の訃報に接して 英文機関誌PCNに込められた願い コラム2 何を差し置いても堪能したオペラ 第三部 おくる言葉 中尾弘之先生のこと──卒寿をお祝いして 中村純先生のこと──ご退任にあたり 西村良二教授のこと──退任記念に寄せて 佐々木勇之進先生のこと──一人の精神科医療の開拓者との出会い 加藤元一郎君のこと──先生の急逝を悼んで 水野雅文先生のこと──さらなる飛躍を 樋口輝彦先生のこと──退任に臨んで 山脇成人先生のこと──ご退任を祝し 下稲葉康之先生のこと──新著の出版をお祝いして 森隆夫先生のこと──精神医療のさらなる発展に期待して 巨星墜つ──中尾弘之先生への弔辞 コラム3 駆け出しの頃の失敗 第四部 教室の風景 【九州大学精神科 教室通信Enigma挨拶集】 Enigma発行にあたり/ハーバード、ジョンズ・ホプキンスへ/講演印象記 ロンドンからパリへ 東日本大震災、今の思い 東日本大震災─その後の思い(1)/シームレスな精神科医療 東日本大震災─その後の思い(2)/五大疾患に精神疾患が位置づけられる 文化アフォーダンスとは 二〇一二年、年頭の挨拶/東日本大震災─いわき市支援を終えて/ ベンジャミン・I・サックス教授のこと 米国の精神科医療事情 フォリアとクラムチャウダー 二〇一三年、年頭の雑感、いくつか 日本精神神経学会学術総会を終えて/京都にて大汗をかく/北三陸へ行って 腰を抜かした二〇一四年の年明け 外国人はよく笑う リチウムの向精神作用に改めて驚く/日独・二国間交流事業シンポジウムでのエピソード 川嵜弘詔先生と實松寛晋先生の送別会を終えて/英国の経験主義と精神医学/ 再び、東北の被災地へ向かう/統合失調症の謎がまた一つ明らかに 二人の教員と一〇人の医員たちを迎えて/連日のノーベル賞 多剤併用時の診療報酬減算/「ひきこもり」研究が米国で注目される 大学間競争と研究費/セイロンの紅茶 アイオワの風景 エキゾチック アラブ/リマで聞いた二つのジョークに感心する 二重の不幸 第五部 キャンパスの風景 九州大学精神科のエートス 九州大学精神科の近影 勝利を勝ち取って欲しい 負けず嫌いのすすめ 第六部 『医学と福音』より 医学と道徳律 命のゆくえ 心の病をもった命について考える 命とはなにか 第六八回キリスト者医科連盟総会を終えて あとがき
神庭重信(かんば しげのぶ) 1980年 慶應義塾大学医学部卒業 慶應義塾大学医学部精神神経科 入局 1982-87年 米国メイヨ・クリニック精神薬理学フェロー 米国メイヨ・クリニック精神科レジデントを修了 米国メイヨ・クリニック精神科アシスタント・プロフェッサー 1993年 慶應義塾大学医学部 講師 1996年 山梨大学医学部精神神経医学講座 教授 2003年 九州大学大学院医学研究院 精神病態医学分野 教授 役 職: 日本精神神経学会 理事長、国際双極性障害学会(ISBD)副理事長、 日本うつ病学会 前理事長、アジア精神医学会連合(AFPA)前理事長、 文部科学省科学技術・学術審議会脳科学委員会 委員、 厚生労働省社会保障審議会ICD-11委員会 専門委員、 日本医療研究開発機構 プログラムオフィサー、日本学術会議 連携会員、 WHO the International Advisory Group for Training and Implementation for ICD-11など
生きている言語は常に変化し続けています。現代日本語も「生きている言語」であり、「…
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