目次
はじめに
本書のアウトライン
自然への共感
里山の地理的範囲
第一章 里山の生態系
一 生態系への価値判断
原植生の探求
植林と楠
植生自然度階級 科学研究の方法
「富士山の蝶」
二 里山生態系の保護に伴う困難
草地と雑木林
里山の保全作業
保全基準の問題
三 生物多様性から見た里山
生物多様度指数
里山生態系の構造
里山全体の生物多様度
第二章 発想の転換
一 里山保護活動の思想的矛盾
「私達が私達の行動を保護する」
自作自演の皮肉な倒錯
二 自然に対する人間の影響
植生自然度から生物多様度へ
楠再考
人間=自然環境に影響力
三 「自然と人間の良い関係」
里山における自然と人間の関係
「共生」概念の検討
「里山」の新しい属性
第三章 「青き清浄の地」
一 稲葉の「青き清浄の地」との一致
「里山」に対する我々の態度
ナウシカの態度
二 稲葉の「青き清浄の地」との差異
絶対性を持たせるか
戦争状態への麻痺
現実の江戸社会
向こうからやってくるか
三 新しい環境思想
里山論の定式化
環境思想の概観
里山の倫理学
四 回避不能な未来
里山的生産構造の不可避的再来
過大な人口
イースター島 食料を巡る争い
危機回避の可能性
第四章 宮崎駿の目指した理想郷
一 ナウシカの愛する「自然」
「自然」と「人間」の境界
ナウシカの態度
二 宮崎作品の中の「自然と人間の良い関係」
腐海との和解 映画『風の谷のナウシカ』
アシタカの願い 映画『もののけ姫』
三 「里山」のメッセージ性
アシタカへの希望
新しい「里山」の意味を受けて
補足
科学上の問題
里山の保全活動に対して
「里山」は日本限定なのか
引用文献
おわりに