パプアニューギニアの「場所」の物語動態地誌とフィールドワーク

著者名
熊谷圭知
価格
定価 7,400 円 (税別)
ISBN
978-4-7985-0248-9
仕様
A5判 上製 560頁 C3039
発行年
2019年3月
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内容紹介

「楽園」とも「秘境」とも称されるパプアニューギニア。そこに暮らす人びとは、自らのよりよき生の実現を求めて、ダイナミックに動き続ける人びとだった。本書は、辺境の村から都市のスラムまで、40年間フィールドワークを続けてきた著者が渾身の力を込めて描く、リアルでダイナミックな「場所」と人びとの物語である。

「フィールドワーク」とは、わたしの世界とわたしのものではない世界をつなぐ実践であり、グローバル化時代に、遠く離れた他者を共感的に理解し、同時代を共に生きるものとして甦らせる地理的想像力を与えるのが、「動態地誌」の役割にほかならない。調査研究対象と協働して「場所」を再構築するフィールドワークが、あるべき開発実践につながるという著者の主張は、ポストコロニアリズムやポスト開発論の袋小路から調査研究を解き放ち、北の世界と南の世界の社会経済的格差・知の格差を乗り越えるための方向性を示唆している。

目次

はじめに
 
 第Ⅰ部 研究の基本概念
 
第1章 「移動」と「開発」

 
  1 「移動」をめぐって
  2 「開発」をめぐって
  3 第三世界の開発問題
  4 ジェンダーと開発
  5 オルタナティヴな開発をめざして
 
第2章 「場 所」
 
  1 場所論の諸相
  2 人文地理学における場所論とその展開
  3 「場所」観念再考
 
第3章 「地誌」と「フィールドワーク」
 
  1 日本の地理学界と地誌
  2 地域研究と地誌
  3 新たな地域理解の方法論のために
  4  参与観察とフィールドワーク
  5 かかわりとしてのフィールドワーク
  6 場所とフィールドワーク
 
 第Ⅰ部の小括
 
 第Ⅱ部 パプアニューギニアの場所の物語
 
第4章 パプアニューギニア地誌の再構築

 
  1 オセアニアという地域
  2 パプアニューギニア  「辺境」からの視点
  3 「パプアニューギニア」という地域と国家の形成
  4 パプアニューギニアの地域区分と地域間関係
 
第5章 高地周縁部、ミアンミンの人びとと場所
 
  1 ミアンミンの概要
  2 西欧世界との接触と社会変容
  3 ミアンミンの人びとの「開発」観
  4 植民地化前の社会のダイナミズム
  5 「戦争」と集団の生成
  6 結語  ミアンミンの人びとにおける移動・開発・場所
 
第6章 ポートモレスビーの都市空間とセトルメント
 
  1 問題設定
  2 都市空間の形成過程とセトルメント
  3 居住地のセグリゲーション
  4 都市空間とインフォーマル・セクター
 
第7章 ラガムガ・セトルメントとチンブー人移住者の場所
 
  1 1980年のセトルメント調査
  2 ラガムガ・セトルメントの概観
  3 セトルメント住民の出身村(チンブー州、グミニ郡)
  4 ラガムガ集落住民の生活史(1995年)
  5 ラガムガ集落住民の経済社会状況(2001年調査から)
  6 ワントク関係と都市公共空間の可能性
 
第8章 ブラックウォーターの人びとと場所
 
  1 地域の概観
  2 「場所の知」の構図
  3 歴史と風土
  4 外部世界との出会い
  5 「場所の知」とその変容
 
 第Ⅱ部の小括
 
 第Ⅲ部 フィールドワークと場所構築
 
第9章 フィールドワークから開発実践へ

      ラガムガ・セトルメントでの実践  
 
  1 パプアニューギニアとの出会い
  2 ポートモレスビーのセトルメントをめぐる状況とその変化
  3 JICA専門家としての活動
  4 ワークショップ開催とその波及効果
  5 NCDのパイロットプロジェクトと住民委員会
  6 専門家離任後の展開
 
第10章 開発的介入から場所構築へ
       ブラックウォーター、クラインビット村での実践  
 
  1 セピック川南部支流域の人びとの「開発」観
  2 「おねだり」をめぐる構図
  3 村人との手紙のやり取り
  4 クラインビット村でのわたしの開発的介入の実践
  5 参加型開発から場所の知への承認へ
  6 「場所の知」の承認と還元
  7 エピローグ  ナンソト再興
 
 第Ⅲ部の小括
 
終 章 場所・フィールドワーク・動態地誌
 
 あとがき
 注
 引用・参考文献
 索引(事項/地名/人名)

著者紹介

熊谷圭知(くまがい けいち)
1954年、東京生まれ。両親の出身地は岩手県(父は陸前高田市、母は盛岡市)。
中学・高校時代は名古屋、大学は東京、就職してからは福岡、大阪で暮らす。
現在、お茶の水女子大学基幹研究院(人間科学系)教授。博士(文学、九州大学)。
専門は社会文化地理学、オセアニア地域研究。
編著に『オセアニア』(片山一道との共編著。朝倉書院、2010年)、『第三世界
を描く地誌』(西川大二郎との共編著。古今書院、2000年)、『都市の誕生』
(塩田光喜との共編著。アジア経済研究所、2000年)。

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