目次
序 章 老いる経験の人類学のために
1 はじめに
2 本書の構成
第1章 エイジングをめぐる研究史
1 はじめに
2 高齢化社会とエイジング研究の歩み
(1) 老年学の歩み
(2) 社会学とエイジング
3 文化人類学とフォークロアの視座
(1) 小規模コミュニティと人類学
(2) エイジングとの出会い
(3) ケアと応答性
(4) フォークロアと老人
4 問題と課題
(1) これまでの研究の問題点
(2) 本研究の位置
第2章 経験を考える
1 あなたの経験/わたしの経験
2 経験を考える
(1) 現実・経験・表現
(2) 他者の可能性
(3) 経験/ある経験
(4) 個人的経験と感情
(5) 経験と体験
(6) 小括
3 聞き書きの方法論
(1)『忘れられた日本人』から
(2) 現実とイメージ
(3)「聞き書き」の可能性
第3章 南島の老いの諸相 調査地概要
1 はじめに
(1) 沖縄と高齢化
(2) 南島で島を考える
2 つながりの基盤
(1) 地縁と血縁
(2)〈小字クンジョー〉
3 宗教との関わり
(1) 宗教的環境と〈ウマレダカイ〉人びと
(2) 島の宗教的職能者
(3) 家の祭祀と女性
4 島で暮らすということ
(1) 島の世間
(2) 付き合いの作法
第4章 〈トシヨリ〉の席
1 はじめに
(1) おばあちゃんの遺言と軒下の〈オバァ〉
(2) 近代化と老人
2 長寿の文脈
(1) 長寿の島?
(2) 島の長寿者
(3)〈トシヨリ〉と〈カジマヤー〉
3 〈トシヨリ〉の席
(1)〈オジィ〉と〈オバァ〉
(2) 祭りと〈トシヨリ〉
(3)〈トシヨリ〉と子ども
4 〈トシヨリ〉と〈トシヨリ〉
(1)「〈トシヨリ〉はいじめたら大変」
(2)「家と畑しか行かんさ」
第5章 衰えゆく身体の処方箋
1 衰えを考える
(1) 巫女たちの衰え
(2) “年を取る”ということ
2 島の処方箋
(1) 近代医療の導入
(2) 民間療法と民間薬
(3)〈ユタ〉半分、医者半分
3 衰えに対峙する
(1)「年には勝てん」
(2)「年がいってから、こそこそしよったとよ」
(3)「八五歳までは大丈夫」
4 差し控えの作法
(1)「年を取ったら病気するのは当たり前」
(2) 差し控えとそなえ
(3) 衰えゆく経験
第6章 人生の物語
1 はじめに
(1) 歌わない巫女の物語から
(2) 問題の所在
(3) 語りをめぐる問題
2 人生の物語
(1) 歌う巫女/歌わない寡婦
(2) 寝たきりの〈カジマヤー〉
(3) 島の楽しみ
(4) 島に通う
3 選択の基盤
(1) 情緒的なつながり
(2) 親密な他者
(3) 宗教的なるものとの交流
(4) 島への愛着
4 人生の岐路を考える
第7章 「死にがい」のありか
1 死者の匂い
2 老いと死
(1) 墓のある風景
(2) 死の見える/見えない社会
3 死をめぐる文化的・社会的装置
(1) 墓と位牌
(2) 死者儀礼と祖先祭祀
4 死者との継続する絆
(1) 死後の世界〈グソー〉との関わり
(2) 死者との付き合い方
(3)「継続する絆」
5 死にがいと生きがい
(1) 生きがいと高齢者
(2)「死にがい付与システム」
第8章 次世代のまなざし
1 老いの入口に立つ
(1) 問題の所在
(2) 中年と壮年
(3)「戦無派」の時代
2 わたしの「これから」
(1)「子どもも大きくなったし」
(2)「そういう時期が来ている」
3 彼らとわたし
(1)「年は取りたくないわね」
(2)「帰りそびれて」
(3)「間違いかどうかわからんさ」
(4)「恨まれてもイヤさ」
4 長生きにそなえる
(1) そなえの定義
(2) 島とのつながり
(3) 現世代と比べて
第9章 考察 縁と運
1 印づけられた経験
(1) 老いる経験の諸相
(2)「沖縄離島」の老いる思想
(3) 世代的な経験
2 縁と運
(1) 縁
(2) 運
(3) 老いる経験とは何だったのか
3 課 題
終 章 補論 北部九州の「老いる経験」
1 ある日の風景
(1) 北部九州の事例から
(2) 問題の所在
2 「信心深い」人びと 福岡県篠栗町・真言宗寺院
(1) 篠栗町と篠栗霊場
(2) 寺に通う
3 隠居する人びと 長崎県対馬の村落
(1) 対馬と隠居慣行
(2) 慣習のなかで生きる
4 老いることの可能性
(1) 与え手として
(2) 慣習のなかで生きるということ
(3) 地域を越えて
あとがき・謝辞
参考文献
人名索引
事項索引