総合管理学の現在地 熊本県立大学総合管理学部創立30周年記念論文集

著者名
熊本県立大学総合管理学会 編
価格
定価 4,950円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0380-6
仕様
A5判 上製 258頁 C3030
発行年
2024年12月
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内容紹介

新しい時代を切り開く学術研究および教育・社会的活動を行う学部として創立された熊本県立大学総合管理学部は、2024年度に創立30周年を迎えた。この30年、社会情勢には様々な「変化」「変容」がみられるが、総合管理学部の陣容も30年の年月を経て大きく様変わりした。組織体制の面では、専門分野に基軸を置きつつ学際的教育研究を充実させるため、2024年4月から専攻制(公共・情報・ビジネスの3専攻)がスタートした。

本書は総合管理学部創立30周年にあたり、学際性・総合性(学問領域の横断と統合)と現実的課題の解決(理論と実践の融合)を重視するアドミニストレーション研究の到達点として、法学、政治学、経済学、経営学、社会学、情報学など多種多様な専門分野の研究者が未解決の問題・課題について論じたもので、まさに「総合管理学の現在地」を示すものである。その構成は、長年にわたり総合管理学の研究に従事してきた名誉教授による寄稿論文4本にはじまり、公共専攻の研究者による論稿6本、同じく情報専攻による論稿1本、同じくビジネス専攻による論稿4本となっている(計15本)。

目次

 巻頭言 宮園博光
 
   第1部 特別寄稿
 
 オンブズマンの将来 渡邊榮文
 はじめに
 1.オンブズマンの将来に対する5つの課題
 (1)課題その1:独立性(①議会からの独立/②行政からの独立/③第4部門)
 (2)課題その2:資金供給
 (3)課題その3:類似組織の増加(①類似組織/②類似組織増加の問題点/③オンブズマンの類似組織増加
    への対応)
 (4)課題その4:科学技術(①科学技術の不利な点/②科学技術の有利な点)
 (5)課題その5:適応性(①オンブズマンによる機能環境の変更/②政府による機能環境の変更)
 2.課題の批判的考察
 (1)独立性
 (2)資金供給
 (3)類似組織の増加
 (4)科学技術
 (5)適応性
 おわりに
 
 持続可能な地域づくりのために  総合管理学の視点からの考察   明石照久
 はじめに
 1.総合管理の機能
 (1)地方創生に対する研究者の貢献
 (2)総合管理の視点から見た法人の機能と役割
 2.法人のケースヒストリー
 (1)長島未来企画合同会社(2017年7月6日設立)
 (2)一般財団法人たらぎまちづくり推進機構
 3.考察
 (1)地方創生と組織学習
 (2)ナレッジマネジメントと総合管理
 (3)社会環境の激変に対応するための理念としての総合管理
 (4)現象学的アプローチ
 (5)本質観取の意義とエヴィデンス
 (6)総合管理学の射程
 おわりに
 
 現代資本主義経済と国民の生活保障  産業革命の展開を軸に   久間清俊
 はじめに
 1.近代資本主義経済と国民(労働者階級)の生活保障
 (1)産業資本主義段階と第一次産業革命
 (2)独占資本主義段階と第二次産業革命
 (3)福祉国家政策と少子高齢化社会の到来
 2.現代資本主義経済と国民(労働者階級)の生活保障
 (1)ポスト(脱)資本主義経済段階と第三次産業革命(ICT),第四次産業革命(AI)の到来
 (2)少子高齢化社会の課題と克服の方法
 (3)ICTとAIの利用方法
 おわりに
 
 シスモンディ経済学における生産と消費の均衡概念について 中宮光隆
 はじめに
 1. シスモンディの生涯と主要著作
 2. 『経済学新原理』第2版補遺第1論文の要点
 3. 『経済学新原理』第2版補遺第2論文の要点
 おわりに
 
   第2部 公共専攻
 
 九州からアジア雄飛を夢見た男たち  宮崎滔天と頭山満   高埜 健
 はじめに  西郷隆盛とアジア主義の源流  
 1.頭山満と筑前玄洋社
 (1)玄洋社結成に至るまで
 (2)朝鮮独立運動への支援
 (3)日清戦争と孫文
 2.孫文の革命運動を支えた宮崎滔天
 (1)孫文を連れてきた滔天
 (2)恵州起義の失敗まで
 (3)滔天,浪花節語りとなる
 3.宮崎滔天の良き理解者・頭山満
 (1)滔天と玄洋社
 (2)辛亥革命と滔天と頭山
 おわりに  志半ばに終わったアジア雄飛と現代への教訓  
 
 アドミニストレーション30年の軌跡 澤田道夫
 はじめに
 1.総合管理学部の30年
 (1)学部創設(1994年)
 (2)新カリキュラム施行・大学院設置(1998年)
 (3)大学院博士後期課程設置(2000年)
 (4)コース制導入(2003年)
 (5)看護・福祉の追加(2006年)
 (6)アドミニストレーション科目の変更(2008年)
 (7)大学院博士後期課程の微修正(2009年)
 (8)カリキュラムの全面改定(2017年)
 (9)大学院カリキュラムの改定(2019年)
 (10)専攻制の導入(2024年)
 2.「総合系」学部と総合管理学部
 (1)「総合系」学部の増加(①1980年代以前/②1990年代:「総合政策系」学部/③2000年代:
    「地域政策系」学部/④2010年代後半:「文理融合系」学部)
 (2)総合管理の理念
 3.30年目の総合管理学部
 (1)専攻制導入の経緯
 (2)専門性のある“総合家”へ
 
「法制一元化」後の熊本県内における個人情報保護制度の動向 上拂耕生
 はじめに
 1.「法制一元化」後の県内自治体における条例の現状
 (1)条例の制定状況
 (2)条例要配慮個人情報
 (3)個人情報取扱事務登録簿等
 (4)不開示情報
 (5)開示請求手数料
 (6)開示決定等の期限
 (7)行政機関等匿名加工情報の利用に関する手数料
 (8)審議会等への諮問
 2.考察・コメント
 おわりに
 
 リスクマネジメントと組織倫理 井寺美穂
 はじめに
 1.リスクマネジメントの意義
 (1)リスクマネジメントと危機管理
 (2)リスクマネジメントの意義
 2.リスクマネジメントと組織倫理
 (1)リスクマネジメントの目的
 (2)リスクマネジメントと組織倫理
 3.組織の存在意義
 (1)組織目的
 (2)組織の存続の観点
 (3)利益の範囲の観点
 おわりに
 
 モンタナ州成年後見法と資力が不十分な高齢者に対する支援 西森利樹
 はじめに
 1.モンタナ州成年後見制度における支援の担い手
 (1)身上後見(Guardianship)における成年後見人の要件―優先順位
 (2)財産後見(Conservatorship)における成年後見人の要件―優先順位
 2.資力が不十分な高齢者に対する支援  Adult Protective Service(APS)
 3.若干の考察  わが国への示唆
 おわりに
 
 認知症になっても安心して暮らせるまちづくりに関する教育的活動 安武 綾
 はじめに
 1.目的
 2.活動内容
 (1)2022年11月 熊本市東区キッズ認知症サポーター養成講座
 (2)2022年11月 認知症サポーター養成講座
 (3)2023年6月 熊本市立長嶺中学校で中学1年生110名を対象に
 (4)2023年7月 にやっちろ保健室研修
 (5)2023年7月 地域共生社会研修
 (6)2023年11月 VR認知症VR発達障害体験
 (7)2023年12月「SOSネットワーク事業」「どこシル伝言板」「見守りシール」啓発の意見交換会
 (8)2023年12月 NPO法人あやの里の認知症対応型グループホームおよび認知症カフェ訪問
 (9)2023年12月 Orange Project記念式典
 3.Orange Projectでの活動を通して得られたBenefit
 (1)研究デザイン
 (2)調査対象
 (3)調査方法と内容
 (4)用語の定義
 (5)分析方法
 (6)倫理的配慮
 (7)結果(①対象者の概要/②Orange Projectに参加する理由/③Orange Projectの活動を通して得ら
    れたBenefit)
 (8)考察(①Orange Project活動を通して得られたBenefit/②参加理由からみた近年の傾向)
 おわりに
 
   第3部 情報専攻
 
 メディア・アートがもたらす地域への効果  熊本県の事例をとおした対話性と可変性の役割   石橋 賢
 はじめに
 1.メディア・アートの普及要因
 (1)制作におけるハードウェアとソフトウェア
 (2)周知媒体としてのSNSの活用
 (3)メディア・アートによる地域活動の課題
 2.地域活動における課題とその解決策
 (1)ARデバイスとセンサを用いた太鼓演奏と連動したプロジェクションマッピング事例
 (2)スマート電球を用いたワークショップおよびエンタテインメント事例(①2022年お祭りでんでん館での
    ワークショップおよびナイトミュージアム/②2022,2023年の八代市本町・通町商店街での八代妙見
    祭御夜での活動/③2023年道の駅うしぶか海彩館でのランタンフェスティバルの活動)
 3.対話性と可変性のもたらす効果
 (1)対話性の効果
 (2)可変性の効果
 おわりに
 
   第4部ビジネス専攻
 
 地域活性化とマーケティング 丸山 泰
 はじめに
 1.地域活性化マーケティングの現状と課題
 (1)「認知⇒興味・関心」段階
 (2)「比較・検討⇒購買利用」段階
 2.地域活性化マーケティングの実践事例とそこからのインサイト
 (1)地域農産物のブランド化への挑戦事例
 (2)地方都市の移住定住の実態調査の事例
 (3)地域産品を活用した加工品の開発事例
 (4)3つの事例研究からのインサイト
 3.地域活性化を真に動かすためのマーケティングの活かし方
 (1)そもそもマーケティングとは単なる機能,技法なのか?
 (2)地域活性化にマーケティングを真に生かすためのアプローチ
 
 自由回答から読み解く自治体オープンデータに対する企業ニーズ探索の試み  熊本市の事例   飯島賢志
 1.問題の所在
 2.本稿の目的と先行研究
 3.方法
 (1)使用するデータ
 (2)分析に使用したソフトウェア
 4.分析
 (1)分析1
 (2)分析2
 5.考察
 6.結論
 
 支援機関の関わりと事業承継意向についての実証分析 本田圭市郎・足立裕介・髙宮典佳
 1.事業承継の現状と支援機関
 2.先行研究
 (1)事業承継に関する先行研究
 (2)事業承継の支援機関に関する先行研究
 (3)本稿の位置づけ
 3.実証分析
 (1)分析の枠組み
 (2)被説明変数
 (3)説明変数
 (4)分析結果
 4.結論と今後の課題
 
 A Comprehensive Survey on Programmatic Advertising Ge LIU
 1.Introduction
 2.Programmatic Advertising Mechanisms
 3.Related Literature
 4.Conclusion
 
 総合管理学部30年の歩み

著者紹介

宮園博光(みやぞの ひろみつ) 熊本県立大学総合管理学部教授
 
渡邊榮文(わたなべ えいふみ) 熊本県立大学名誉教授
 
明石照久(あかし てるひさ) 熊本県立大学名誉教授
 
久間清俊(くま きよとし) 熊本県立大学名誉教授
 
中宮光隆(なかみや てるたか) 熊本県立大学名誉教授
 
高埜 健(たかの たけし) 熊本県立大学総合管理学部教授
 
澤田道夫(さわだ みちお) 熊本県立大学総合管理学部教授
 
上拂耕生(うえはらい こうせい) 熊本県立大学総合管理学部教授
 
井寺美穂(いでら みほ) 熊本県立大学総合管理学部准教授
 
西森利樹(にしもり としき) 熊本県立大学総合管理学部准教授
 
安武 綾(やすたけ あや) 熊本県立大学総合管理学部准教授
 
石橋 賢(いしばし けん) 熊本県立大学総合管理学部准教授
 
丸山 泰(まるやま やすし) 熊本県立大学総合管理学部教授
 
飯島賢志(いいじま けんじ) 熊本県立大学総合管理学部准教授
 
本田圭市郎(ほんだ けいいちろう) 熊本県立大学総合管理学部准教授
 
Ge LIU(劉鴿、リュウ ハト) 熊本県立大学総合管理学部助教

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