内容紹介
地域活性化の議論においては、マスコミ等で個別的な事例の印象論的な現状が紹介されているにすぎない。産学連携の関連で社会に継続的に貢献してきた理系と異なり、社会科学系の場合、その知見が地域社会に応用されるようになったのは最近のことである。
本書では、現在事業活動を行っている地域の企業が、地元で自立して存続が可能となるための経営戦略のヒント及び地域活性化を高めていくための指針を提供している。また、地域住民の生活の質向上にもファイナンス的発想は役立つ。法制度の整備によることでも可能であるが、リスク回避度の異なる経済主体の間でリスクを移転・分散させる契約を結ぶことにより、社会的弱者を救済できるようになることもある。
日本の地域経済活性化のため、そこで住む人たちが働く地域企業の実態を社会科学の別分野の手法を応用するという取組みは、これまで行われてこなかった。この本が地域企業の価値を高め、そこに住む人たちの生活水準の向上に少しでも貢献できればと思っている。本書を通して、読者は地域創生への取組みの糸口を知ることができるであろう。