内容紹介
本書はフリーソフトウエアRについて、基本から解説した上で、高度なプログラミング技法やパッケージの利用法、さらには企業の効率的経営や資産運用への応用法を解説するものである。
まず操作手順の基本として、Rコンソールでコマンドを入力して簡単なプログラミングを行う方法や、エディターを用いた、長くてやや複雑なプログラムの作成などを詳細に述べたあと、複雑なプログラミングに利用される各種パッケージの使い方も分かりやすく解説している。本書により読者はRに関するプログラミングスキルを習得することができるであろう。
ついで第Ⅰ部では、企業経営効率の分析手法を解説し、主に回帰分析、ロジスティク回帰分析、データ包絡法(DEA:Data Envelopment Analysis)などの手法について、Rプログラミングを用いた実例を示す。さらにSCM手法(Synthetic Control Method)や、クラスター分析と判別分析、SVM(Support Vector Machine)手法など、近年、政策分析やAI学習、データマイニングなどの分野で用いられるようになった分析手法を取り上げ、経営・管理分野への応用例を示す。
さらに第Ⅱ部では、金融工学の基礎を確認し、金融市場や金融派生市場への評価、資産管理の計量的手法などを取り上げる。2次計画法を用いたポートフォリオの最適化やBS(Black-Scholes)公式を用いたオプションへの評価、一般極値分布(GEV:Generalized Extreme Value)を用いた株価や気温変化の解析、金融時系列データやネットワーク通信トラフィックデータにおける転換点(Change Point)の検出、確率微分方程式(Stochastic Differential Equation)の構造変化(Structural Change)の検出など、実例を示しながら金融工学の基本手法ならびにRを用いたプログラミングを実践する。
本書を通してRを用いた経済・経営データの数量解析の理論および応用問題を学ぶことにより、企業の効率的経営管理の実現や、絶えず変化している経営環境への適応を図ることができるであろう。