内容紹介
本書は情報科学等の現代的諸科学を大幅に取り入れ、コンピュータ・シミュレーションの技法等を用いて実際の社会・環境・経営等を含む経済現象を分析することを試みる学問として「経済科学」を定義し、その立場から社会システムの諸問題の解決に取り組む研究成果シリーズの第16巻である。特に環境問題や経済成長といった今日的課題や、情報技術・数理の高度な課題について最新の研究成果がまとめられていることに本巻の特徴がある。
第1章:農地に関する業務を担当する横浜市職員の政策ネットワークを明らかにする。人口が最も多い市であり、農業総産出額の高い横浜市は、なぜ農地を保持することに積極的であるかという問いに取り組む。
第2章:2段階ゲームを用いて、寡占市場における企業の技術選択を分析する。分析では、企業は負の外部性を伴う生産技術とグリーンな生産技術のいずれかを選択後、数量または価格競争を行い、企業が発生させる負の外部性は生産コストに影響を与える状況を考える。
第3章:内生的成長モデルを構築し、日本経済のダイナミクスと成長に関して考察する。ランダムに発生する質改善イノベーションによって成長が生み出される内生的成長モデルを展開し、主として供給側からの考察を行う。
第4章:コンピュータ利用者の熟練度やスキルをレベル別に分類する新たな画像分類器を開発する。具体的には、キーボード入力とフリック入力の入力方法を測定する手段を開発し、大学生の実際のデータを示す。
第5章:結び目不変量と3次元接触幾何学との間の新しい関係を明らかにする。2次元的対象である曲面とその境界の絡み目に焦点を当て、フラットプラミングバスケットから“ルジャンドル絡み目”を構築し、関係を記述する。
第6章:多峰性最適化問題を解くための手法の改良に取り組む。具体的には、SPSO-G/βRNGを改良するために、超球突然変異、局所突然変異、PSOパラメータの調整という3つを導入することを提案する。