教師が変わる、学生も変わる ファカルティ・ディベロップメントへの取り組み

シリーズ名
シリーズ 北九大の挑戦 3
著者名
北九州市立大学 監修/中溝幸夫・松尾太加志 編
価格
定価 1,980円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-7985-0165-9
仕様
B5判 並製 240頁 C1337
発行年
2015年9月
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内容紹介

シリーズ第3巻となる本書は,北九州市立大学の教育改革,とりわけ「授業の質の向上」を目指したファカルティ・ディベロップメント(FD=教育の質の向上を目指す組織的活動)への取り組みをまとめたものである。

取り組みの特色は,学長・理事長の大学トップをはじめ全学の教員が専門分野を超えて相互に行う授業のピアレビュー(教員相互の授業公開・批評),学生の評価が高い授業の担当教員が行っている様々なアイデアに裏打ちされた授業工夫,そして未来の北九大を支えていく新任教員へのFD研修である。
本書には,これらの活動実態とその成果が詳しく紹介されており,大学に関わるすべての人に,これからの大学教育の在り方を考える上で有益な示唆を与えるものとなっている。

目次

 はしがき  近藤倫明

 

第1章 教育改革へのチャレンジ

 

 1 北九州市立大学の教育改革(近藤倫明)
  1.1 第2期中期計画における教育の目標と計画
  1.2 3つのポリシーの策定と第2次カリキュラム改革
   1.2.1 学位授与方針(DP)と教育課程編成・実施方針(CP)
   1.2.2 入学者受入方針(AP)
   1.2.3 学部等教育改善委員会のプロジェクト
  1.3 FD活動の歩み
 2 法人化後の北九州市立大学のFD活動
  2.1 FD活動の試行期:平成18・19年度(近藤倫明)
  2.2 FD活動の挑戦と挫折の記録:平成20〜22年度(中野博文)
  2.3 FD活動の基礎から第2段階へ:平成23・24年度(木原謙一)
  2.4 FD活動の現状と課題:平成25・26年度(漆原朗子)

 

第2章 授業のピアレビュー

 

 1 授業のピアレビュー:基本的考え(中溝幸夫)
  はじめに
  1.1 本学における授業のピアレビュー活動の経緯
  1.2 授業のピアレビューのやり方北九大スタイル
  1.3 授業のピアレビューの利点
 2 大学トップ(学長,理事長)による授業のピアレビュー
  2.1 大学トップによる授業科目設定の経緯と学生の反応(小野憲昭)
  2.2 学長,理事長の授業のピアレビュー報告(中溝幸夫)
 3 チームティーチングと授業のピアレビュー報告  「基礎心理学」の事例  (松尾太加志・中溝幸夫)
  3.1 共同担当授業科目の相互ピアレビュー
  3.2 お互いの気づきにつながるレビュー  専門外でもレビューできる授業の進め方  
  3.3 同じ専門領域だからできるレビュー  効果的なデモンストレーション  
  3.4 適切な課題についてのレビュー  学生に考えさせる授業  
  3.5 教員によって考え方が異なる  試験対策と授業の振り返り  
  3.6 ピアレビューを通して学んだこと(総括)
   3.6.1 授業の基本設計に関する事項
   3.6.2 授業の工夫(授業ティップス)
   3.6.3 その他
  3.7 まとめと今後の課題
 4 授業のピアレビューの質を高めるために必要な羅針盤(浅羽修丈)
  4.1 ピアレビューの問題点とその解決策である”気づき”
   4.1.1 ピアレビューの重要性
   4.1.2 マンネリ化するピアレビュー
   4.1.3 ”気づき”こそピアレビューの基礎
  4.2 ”思考の場”と”思考の道具”
   4.2.1 ピアレビューのための”思考の場”
   4.2.2 ピアレビューに役立つ”思考の道具”
   4.2.3 既存の視点セットでピアレビューを考える
  4.3 アクティブ・ラーニングのピアレビュー
   4.3.1 アクティブ・ラーニングのピアレビューをするときの課題
   4.3.2 アクティブ・ラーニングのピアレビューでの注目点
  4.4 学ぼうとする力が”気づき”を生む
 5 国際環境工学部のFDと授業ピアレビュー(梶原昭博)
  5.1 国際環境工学部のFD活動
   5.1.1 啓発期(開設時から平成20年度)
   5.1.2 組織的活動期(平成20年4月から平成24年3月)
   5.1.3 自主的活動期(平成24年4月から現在まで)
  5.2 国際環境工学部における授業のピアレビュー
   5.2.1 実施方法
   5.2.2 実施結果
   5.2.3 授業評価結果が低い授業のピアレビュー

 

第3章 北九大の教員は授業でどんな工夫をしているか

 

 授業のベストプラクティス  授業担当者へのインタビュー(中溝幸夫)
  平成23年度
   創意工夫に裏打ちされた楽しい授業に取り組む平野圭子先生(板谷俊生)
   大人数講義で学生から高評価を得ている後藤宇生先生(松本 守)
   ゼミと授業をつなげる工夫をされている田島司先生(佐藤眞人)
   組織的にチームFDに取り組む廣渡栄寿先生(北 真収)
   全員の授業参加をめざしている赤川貴雄先生(北 真収)
  平成24年度
   授業の楽しい雰囲気作りに努め,多くの学生たちから支持されているアダム・ヘイルズ先生(木原謙一)
   学生のスキル取得のために授業時間を最大限に生かしている梅澤俊浩先生(武田 寛)
   授業見学と日々の改良の積み重ねにより学生から高評価を得ている堀尾香代子先生(佐藤眞人)
   「法律は言葉の学問」だからこそ,わかりやすい授業構成を考える植木淳先生(坂本毅啓)
   大学教育の中で実社会のリアリティの反映を追求されている眞鍋和博先生(坂本毅啓)
   学生とのコミュニケーションを重視した授業に取り組む浅羽修丈先生(ディヴィッド・A. ストット)
   技術者としての生身の実力を養う授業をめざす上江洲一也先生(龍 有二)
  平成25年度
   社会人や留学生への大学院指導に取り組む石?優先生(恒吉紀寿)
   学生のアカデミック・スキル習得のため,授業改善を重ねられる国際関係学科の先生方(北 美幸)
   本気で地域社会の再生と創造を担える人材の育成に向けて活動する片岡寛之先生(廣川祐司)
   実践的演習により課題解決能力の向上をめざす高偉俊先生と深堀秀敏先生(龍 有二)
   自作のケーススタディにより学生の満足を得ている松永裕己先生(城戸宏史)

 

第4章 新任教員のFD研修

 

 1 新任教員FD研修プログラム(中溝幸夫)
  1.1 春季新任教員研修
  1.2 夏季新任教員研修
 2 北九州市立大学におけるFD事業への取り組みと展望(漆原朗子)
  2.1 本学におけるFDの取り組み
  2.2 新任FD研修で提起した課題
   2.2.1 日本の大学システムとFDをめぐる課題
   2.2.2 本学におけるFDの課題
 3 授業の質向上のための5つの提案(中溝幸夫)
  3.1 教育のプロフェッショナルとして”授業の質”に関心を持とう
  3.2 他の教員の授業から学ぼう
  3.3 自分の授業を批評してもらおう
  3.4 学生の反応から学ぼう
  3.5 とにかく授業設計を工夫しよう
 4 今後の新任教員研修への提案(中溝幸夫)
  4.1 研修プログラムをさらに充実させていく
  4.2 新任教員研修を担当するチームを作る
 5 新任教員研修の評価(田村大樹)
  5.1 研修に対する評価
  5.2 新任教員研修の成果と課題

 

第5章 授業の質向上を目指す最近の取り組み

 

 1 アクティブ・ラーニングの理想像を目指す授業づくり(山崎 進)
  はじめに  アクティブ・ラーニングの目指す理想像
  1.1 アクティブ・ラーニングにどう取り組んだのか  インストラクショナル・デザインに基づく授業づくり
  1.2 アクティブ・ラーニングの本格導入  大学院生向け授業「ソフトウェア工学概論」
   1.2.1 リーディング・アサインメント
   1.2.2 リサーチ・クエスチョン
   1.2.3 この授業で学生が行うこと
   1.2.4 この授業で教師が行うこと
   1.2.5 到達目標
   1.2.6 成績評価
   1.2.7 結果
  1.3 アクティブ・ラーニングの問題点と今後の展望
  おわりに
 2 キャリア教育と授業改革(見舘好隆)
  2.1 背景と目的
  2.2 北九州市立大学のキャリア教育
   2.2.1 キャリア科目
   2.2.2 キャリア教育の全体的なデザインについて
  2.3 キャリア教育の改善とその効果
   2.3.1 1年生対象キャリア科目の改善:アクティブ・ラーニングとロールモデル
   2.3.2 2年生対象キャリア科目の改善:産学連携教育
   2.3.3 2年生以上対象キャリア科目の改善:PBL(Project-Based Learning)

 

第6章 授業評価アンケートの分析  江島広二・増田竜彦

 

 1 北九州市立大学の授業評価の概要
 2 教育開発支援室と授業評価アンケートの分析
  2.1 授業評価アンケート結果の経年変化
  2.2 質問項目間の相関関係の分析
  2.3 授業で得られる力の習得(学習成果に関する学生アンケートの分析)

 

第7章 これからのFD活動

 

 1 事務職員から見たFD活動
  1.1 大学職員から見たFD活動の意義とは(岩松栄子)
  1.2 FDを事務サイドから考える(堤ちひろ)
  1.3 大学におけるFD活動を推進していくために(永野貴久)
   1.3.1 FD部会について
   1.3.2 教育力向上プロジェクトについて
   1.3.3 FD研修について
   1.3.4 今後のFD活動の在り方について
 2 FDはなぜ必要なのか(中溝幸夫)
  2.1 FDの3つのレベル
  2.2 FDが必要な理由
  2.3 教員の教育力を高めるための他大学の仕組み

 

付 章 大学教師の心得  中溝幸夫

 

 用語集

 

 あとがき  中溝幸夫

 

 執筆者一覧

著者紹介

近藤倫明(こんどう みちあき) 学長(副学長2006~2010年度)

以下,50音順。

赤川貴雄(あかがわ たかお) 国際環境工学部建築デザイン学科准教授
浅羽修丈(あさば のぶたけ) 基盤教育センター准教授
石塚 優(いしつか まさる) 都市政策研究所教授(~2014年度)
板谷俊生(いたたに としお) 外国語学部中国学科教授
岩松栄子(いわまつ えいこ) 学務第一課教務係長(~2014年度)
植木 淳(うえき あつし) 法学部法律学科教授
上江洲一也(うえず かずや) 国際環境工学部環境生命工学科教授
梅澤俊浩(うめざわ としひろ) 経済学部経営情報学科准教授
漆原朗子(うるしばら さえこ) 基盤教育センター教授(副学長2013年度~現在)
江島広二(えじま こうじ) 経営企画課長
小野憲昭(おの のりあき) 法学部法律学科教授
高 偉俊(ガオ ウェイジュン) 国際環境工学部建築デザイン学科教授
梶原昭博(かじわら あきひろ) 国際環境工学部情報メディア工学科教授(副学長2013年度~現在)
片岡寛之(かたおか ひろゆき) 都市政策研究所准教授
北 真収(きた まさのぶ) 大学院マネジメント研究科教授(~2012年度)
北 美幸(きた みゆき) 外国語学部国際関係学科准教授
城戸宏史(きど ひろし) 大学院マネジメント研究科教授
木原謙一(きはら けんいち) 外国語学部英米学科教授(副学長2011~2012年度)
後藤宇生(ごとう うじょう) 経済学部経済学科教授
坂本毅啓(さかもと たけひろ) 基盤教育センター准教授
佐藤眞人(さとう まさと) 文学部比較文化学科教授
David A. Stott(ディヴィッド アダム ストット) 基盤教育センター准教授
武田 寛(たけだ ひろし) 大学院マネジメント研究科教授
田島 司(たじま つかさ) 文学部人間関係学科教授
田村大樹(たむら だいじゅ) 経済学部経済学科教授
堤 ちひろ(つつみ ちひろ) 学務第一課教務係職員
恒吉紀寿(つねよし のりひさ) 文学部人間関係学科准教授
永野貴久(ながの たかひさ) 学務第二課教務係長
中野博文(なかの ひろふみ) 外国語学部国際関係学科教授(副学長2008~2010年度)
中溝幸夫(なかみぞ さちお) 北九州市立大学FD アドバイザー
久木尚志(ひさき ひさし) 外国語学部国際関係学科教授
平野圭子(ひらの けいこ) 外国語学部英米学科教授
廣川祐司(ひろかわ ゆうじ) 基盤教育センター准教授
廣渡栄寿(ひろわたり えいじゅ) 基盤教育センター教授
深堀秀敏(ふかほり ひでとし) 国際環境工学部非常勤講師
Adam Hailes(アダム ヘイルズ) 外国語学部英米学科准教授
堀尾香代子(ほりお かよこ) 文学部比較文化学科教授
増田竜彦(ますだ たつひこ) 経営企画課教育開発支援係(~2014年度)
松尾太加志(まつお たかし) 文学部人間関係学科教授(副学長2013年度~現在)
松永裕己(まつなが ひろみ) 大学院マネジメント研究科准教授
松本 守(まつもと まもる) 経済学部経営情報学科准教授
眞鍋和博(まなべ かずひろ) 基盤教育センター教授
見舘好隆(みたて よしたか) キャリアセンター准教授
山崎 進(やまざき すすむ) 国際環境工学部情報メディア工学科講師
龍 有二(りゅう ゆうじ) 国際環境工学部建築デザイン学科教授

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