内容紹介
この書は,斯学の第一人者である筆者の長年に亙る先端的かつ鋭利な研究成果の集大成である。第1部では教育学の科学性を学理論論争を踏まえて検討し,解釈学的教育学の理論形成に対する実践哲学の認識モデルの射程を論究し,更にディルタイ,ミッシュ,ボルノウの思想的系譜を解明した。第2部ではチュービンゲン学派の解釈学的教授学の研究をテーマとして,「構成的教授学」の理論構造を究明し,現在の教師養成のテクノロジー的思考への疑念から教育をテクネーとして捉え,その能力を培うテクネーの学と,人間疎外からの復路としての教育学的理性批判を展開し,「ミューズ的=美的教育論」の特質を論じた。第3部では子どもの絵画とメルヘンとの親和性(平面性)を考察し,さらにメルヘンの美的教育学的次元と解釈学的,教育学的視点とを論じた。