内容紹介
本書は,大学全入時代の中で多様な学生が入学してくる現在,北九州市立大学で行なっている学生支援について,その仕組み作りから実践までの実態を,北方キャン
パスでの取り組みを中心に記録したものである。学生サポート委員会の立ち上げ,学生プラザの創設,早期支援システムの構築,学生相談室の開設といったハー
ド・ソフト両面の整備から,それら制度の中で日常的に行なわれている学生相談や保証人(保護者等)への対応の詳細まで,実際に使用している文書や資料等を
掲載し,解説している。また本書は,日々悩み悪戦苦闘しながら活動する教職員の生の声も収録しており,学生支援に多職種(教職員・保健師・看護師・臨床心
理士ら)が一体となって取り組む,教職協働のたぐいまれな活動の記録でもある。
シリーズについて
北九州市立大学(略称北九大)は,創設から59年目の2005年に公立大学法人へ移行したのを機に,新たな体制のもと,21世紀にふさわしい,地域に根差した公立大学を目指して大学改革を積極的に進めている。本シリーズでは,教養教育の再生,環境教育の実践,学生支援や留学生支援,産学連携や地域貢献など多方面にわたる改革内容のうち,現時点までに成果をあげつつある取り組みについて,ミドルアップとして実際に改革を担当する者の視点から,詳細に報告する。北九大の取り組みは全国的にも注目され,マスコミの取材や他大学からの視察も現在に至るまで途絶えない。地方の中規模公立大学が取り組んでいる大学改革の実態をより立体的にまとめることにより,北九大の取り組みを記録にとどめるとともに,現在の日本の大学が抱える課題,大学という教育現場での実践活動を含む実像を,大学関係者だけでなく,高校生,保護者,高校教員をはじめとする多くの方々に向けて発信する。