沖縄の社会構造と意識沖縄総合社会調査による分析

著者名
安藤由美・鈴木規之 編著
価格
定価 6,000 円 (税別)
ISBN
978-4-7985-0063-8
仕様
A5判 上製 336頁 C3036
発行年
2012年3月
その他
第2回 九州大学出版会・学術図書刊行助成 対象作
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内容紹介

戦後60年を経た沖縄の社会構造と生活世界の現状をとらえるために行われた「沖縄総合社会調査2006」を,社会学的・社会福祉学的・マスコミ学的な視点から分析。共同研究によって沖縄県民の住民意識調査を行い, 統計的な情報を共有し, それに基づいて多様な角度からの分析を行う。同時に,二次利用として公開可能なミクロデータを構築することを目指し, 沖縄に関心をもつ研究者に大きく寄与する。現在における沖縄独自の優位性とは何かを問う。

目次

 はしがき
 
1章 沖縄総合社会調査2006の概要
  1-1 沖縄総合社会調査2006の背景とねらい
  1-2 沖縄総合社会調査2006の調査デザインと調査項目
  1-3 調査対象
  1-4 標本抽出
  1-5 調査実施
  1-6 回収状況
  1-7 標本の基本特性

    I 部 社会学からみた沖縄
 
2章 沖縄の家族意識  全国データとの比較を通して  
  2-1 課題と方法
  2-2 結婚と子ども
  2-3 直系家族規範
  おわりに
 
3章 沖縄における開発・発展をめぐる県民の意識  沖縄総合社会調査2006を中心として  
  はじめに
  3-1 沖縄の内発的発展
  3-2 沖縄総合社会調査2006
  3-3 2000年北谷・読谷調査との比較
  小括
 
4章 沖縄における外国人に対する意識
  4-1 課題と方法
  4-2 外国人に対する接触経験と意識:全国と沖縄
  4-3 沖縄県外出身者に対する意識
  考察
 
5章 ショッピングモールと沖縄イメージ  郊外化と観光の浸透にともなう県民の生活実感  
  5-1 郊外化で薄められ,観光で強調されてきた沖縄らしさ:無徴性と有徴性
  5-2 ショッピングモール
  5-3 沖縄イメージ
  5-4 むすびにかえて:沖縄のローカリティとイメージをめぐる複雑な現実

    II 部 社会福祉学からみた沖縄
 
6章 沖縄都市における地域生活と社会参加
  はじめに
  6-1 沖縄の都市化と地域生活・社会参加
  6-2 地域への愛着
  6-3 地域の行事への参加
  6-4 祭りへの参加の度合い
  6-5 加入している団体等
  6-6 地域での社会活動経験の有無
  6-7 社会活動への不参加者の今後の意向
  6-8 今後の生活のあり方
  6-9 社会への貢献意識
  おわりに
 
7章 沖縄県民の社会参加活動と地域帰属意識  沖縄県におけるソーシャル・キャピタルとSocial Determinants of Healthへの考察  
  はじめに
  7-1 研究の背景と課題
  7-2 研究の対象と枠組み
  7-3 ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の一形態としての地域組織参加状況
  7-4 地域(沖縄)への愛着に関わる要因について
  7-5 考察
  おわりに
 
8章 精神障がい者に対する沖縄県在住者の意識
  はじめに
  8-1 接触体験
  8-2 精神障がい者に対するイメージ
  8-3 精神障がい者の知識やイメージの入手先 
  8-4 精神障がい者の地域居住における抵抗感
  おわりに
 
9章 子育て支援状況に対する意識よりみる沖縄県の今後の課題  地域で支えあえる体制作りを中心にして  
  9-1 課題と方法
  9-2 子育てに必要な環境の充実度
  9-3 全般的にみた子育てに必要な環境
  9-4 子育ての実施主体
  9-5 子育て支援対策への政府の支出
  まとめ
 
10章 沖縄県における車社会からの脱却  公共交通機関の構築を目指して  
  はじめに
  10-1 沖縄県の車社会の現状
  10-2 車社会からの脱却に向けて
  おわりに

    III 部 マスコミ学からみた沖縄
 
11章 沖縄県民の政治傾向とマス・メディア接触
  はじめに
  11-1 憲法9条,米軍基地,自衛隊,日米安保
  11-2 政治傾向
  11-3 普天間基地移設問題
  11-4 マス・メディア接触
  11-5 政治傾向とマス・メディア接触
  おわりに
 
12章 総括
 
 沖縄総合社会調査2006 調査票
 
 索引

著者紹介

安藤由美(あんどう よしみ) はしがき・1・2・6章
 琉球大学法文学部教授 社会学(家族・ライフコース)
 
鈴木規之(すずき のりゆき) はしがき・3・12章
 琉球大学法文学部教授 社会学(国際社会学・東南アジア地域研究)
 
野入直美(のいりなおみ) 4章
 琉球大学法文学部准教授 社会学(エスニシティ・生活史)
 
多田 治(ただ おさむ) 5章
 一橋大学大学院社会学研究科准教授 社会学(グローバル化・メディア・観光・理論)
 
川添雅由(かわそえ まさゆき) 6章
 琉球大学名誉教授 社会福祉学(老人福祉論)
 
白井こころ(しらい こころ) 7章
 琉球大学法文学部准教授 社会福祉学・公衆衛生学(老年学・社会疫学)
 
水野良也(みずの よしなり) 8章
 琉球大学法文学部教授 社会福祉学 (社会福祉援助技術)
 
本村 真(もとむら まこと) 9章
 琉球大学法文学部准教授 社会福祉学(社会福祉援助技術)
 
高嶺 豊(たかみね ゆたか) 10章
 琉球大学法文学部教授 社会福祉学 (障害者福祉論)
 
比嘉 要(ひが かなめ) 11章
 琉球大学法文学部准教授 マス・コミュニケーション学(ジャーナリズム・世論)

書評

 沖縄タイムス 2012年6月30日 読書欄より
 
現状と課題 調査基に考察
 本書は文科省科学研究費を受けた「沖縄の社会構造と生活世界」の研究成果報告書である。琉球大学の社会学専攻スタッフが2006年に実施した「沖縄総合社会調査」の結果を基調に,各人の専門分野(社会学・社会福祉学・マスコミ学)から関連データとの比較と考証を重ねた「沖縄の現状と課題」についての考察である。
 構成は12章,著者は10人に及ぶ。2章では安藤が,結婚の必要性・理想とする子ども数・老親の扶養等に関する意識は沖縄が全国より高数値であり,家族価値観は沖縄が高いことを明らかにしている。同様の意識調査は家族社会学では定番であるが,沖縄においては初めてであり高く評価されてよい。3世代同居支持率の沖縄の低さについては結論を差し控えているが,沖縄の同世帯構成比率は47都道府県でも低位であり,むしろ首肯されうるものであろう。随所に沖縄・日本の家族研究の成果が織り込まれており,筆者の思考の広さと深さがうかがえる。
 鈴木による3章では,開発や発展に関する県民意識は楽観的であり,開発主体も県民や県内企業であるべきだとの声が強いことがうかがえる。これをどのように捉えるかは意見の分かれるところである。筆者はこれまでのタイ・アジア研究に基づきながら「沖縄は本土との格差にとらわれずに主体性を持った内発的発展を打ち出すべき」だと結論づけている。グローバルな資本制経済の中で沖縄の主体性をどのように構築していくか。古くて新しく,不可避的な課題である。
 4章では,外国人に対する意識は女性と若年層においてより肯定的であり,在日米軍基地の集中する沖縄的特徴として指摘されている。また付き合いの場所では,「飲食店」は極めて低く(4.6%),日常的な生活空間に広がっていることが析出されている。社会調査は時として俗説に訂正を迫るものでもある。
 7章では,沖縄の<長寿の謎>と<社会関係資本>との連関について,地域組織・社会参加活動,民俗性,帰属意識,経済社会指標等の視点から客観的に照査され,沖縄社会の既存資源の豊かさと今後の政策展開の必要性が説かれている。同論文の先行研究・調査データの活用は重厚である。
 本書には,詳細な「沖縄総合調査2006・調査票(集計結果)」が付加されている。今後の沖縄社会研究にとって貴重なデータアーカイブとなるであろう。

評者:金城一雄(沖縄大学教授)

学術図書刊行助成

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