12−13世紀におけるポンティウ伯の中規模領邦統治

シリーズ名
九州大学人文学叢書 15
著者名
大浜聖香子
価格
定価 4,200 円 (税別)
ISBN
978-4-7985-0255-7
仕様
A5判 上製 242頁 C3322
発行年
2019年3月
ご注文
  • 紀伊國屋
  • amazon
  • honto
  • セブンネットショッピング
  • 楽天ブックス

内容紹介

中世盛期のフランス史というと、教科書などではもっぱらフランス王権の成長期・中央集権化の時期として語られがちである。しかし地方にも目を向けてみると、王権とは異なる様々な地域権力が活発に活動していたことが見えてくる。本書は12-13世紀の北フランス・ピカルディ地方に位置した一地域権力であるポンティウ伯領のなりたちや統治の仕方について明らかにすることを試みるものである。

研究の材料として『ポンティウ伯文書集』という、ポンティウ伯が発給した文書史料を用いて、ポンティウ伯の側近構成、伯の文書行政、伯の財産とその運営、伯の裁判権、伯と都市自治体との関係という5つの側面から、ポンティウ伯の伯領の統治について検討を行う。その結果、ポンティウ伯の伯領において公権力の担い手として振る舞おうという強い意欲が確認され、他方で、多様な社会集団、諸権力の並存するポンティウ伯の統治の特徴も認められた。これらの結果から、ポンティウ伯は、フランス王権のような広域な統治を目指していたことが明らかとなる。

目次

序 章 中世フランスの国家と社会  中規模領邦をめぐって  
 
 第1節 中世フランス領邦をめぐる研究
 第2節 中規模領邦という視点  ニウスのサン=ポル伯研究  
 第3節 本論の課題
  1.問題の所在
  2.史料:ブリュネル編『ポンティウ伯文書集』
  3.ポンティウ伯家の展開
  4.ポンティウ伯領の概観
  5.本論の構成と方法論
 
第1章 ポンティウ伯文書と文書局  伯の文書行政  
 
 はじめに
 第1節 ポンティウ伯文書の概観  形式,内容,受益者  
  1.伯文書の類型
  2.伯文書の内容と受益者
 第2節 ポンティウ伯文書の文書形式学的検討
  1.伯文書の文書形式
  2.文書局作成文書の判別
 第3節 ポンティウ伯文書局と文書局構成員
  1.伯の聖職者による伯文書作成の始まり
  2.Datum per manum N 書式
  3.伯側近の聖職者たち
  4.印章管理職の世襲
 おわりに
 
第2章 ポンティウ伯の統治と側近たち
 
 はじめに
 第1節 検討対象に関して  文書証人欄に登場する人間たち  
 第2節 伯の親族
 第3節 伯の宮廷側近  伯の助言者たち  
  1.俗人領主
  2.法行為当事者としての俗人領主
 第4節 伯の宮廷役人セネシャル
 第5節 伯の地方役人バイイ
 おわりに
 
第3章 ポンティウ伯権力と所有  ポンティウ伯のdominium  
 
 はじめに
 第1節 伯の領主的諸権利の変遷
  1.11 世紀のポンティウ伯の領主的諸権利
  2.伯権力の発展期(12-13世紀初期)におけるポンティウ伯の領主的諸権利
  3.13 世紀以降のポンティウ伯の領主的諸権利  諸権利としての現金  
 第2節 伯の諸権利を構成するもの  諸権利の管理と経営  
  1.ラントとして現れる諸権利と伯領で通用する単位
  2.伯領の特殊立地に由来する諸権利の管理
 第3節 ポンティウ伯の「君主的諸権利」
  1.公的空間の支配
  2.造幣と流通
 おわりに
 
第4章 ポンティウ伯の上級裁判権
 
 はじめに
 第1節 12-13 世紀初期におけるポンティウ伯の上級裁判権の始まりとその早熟性
 第2節 13 世紀ポンティウ伯による上級裁判権の掌握と統治活動への活用
  1.マリとジャンヌの時代のポンティウ伯の上級裁判権
  2.伯が上級裁判権を手放す事例
  3.ポンティウ伯領における伯以外の上級裁判権保持者
 第3節 ポンティウ伯領における上級裁判権の対象犯罪
  1.ポンティウ伯の上級裁判権の対象
  2.伯以外の上級裁判権保持者の対象
 おわりに
 
第5章 ポンティウ伯とコミューン
 
 はじめに
 第1節 ポンティウ伯領におけるコミューン文書発給状況概観
  1.ポンティウ伯領におけるコミューンとその文書
  2.アブヴィルとアミアン  伯領の中心とさらなる上位都市  
 第2節 アブヴィル文書に見る伯と都市関係
  1.コミューンに保証された一定の自治
  2.コミューンと伯役人ヴィコントの協力
  3.伯のコミューンに関する権利
  4.伯のコミューン政策
 第3節 伯の広域的なコミューン政策  在地領主のコミューン  
  1.ワヴァンの事例  俗人領主配下のコミューンと伯の介入  
  2.サン=ジョスの事例  修道院領主,伯,コミューンの権利関係の錯綜  
  3.マルカンテルの事例  伯領外の状況が領内の権力関係に及ぼす影響  
 おわりに
 
結 論
 
 参考史料・文献
 付録ポンティウ伯文書一覧
 あとがき
 人名索引
 地名索引
 事項索引

著者紹介

大浜聖香子(おおはま みかこ)
 
2006年、熊本大学文学部歴史学科卒業。
2016年、九州大学大学院人文科学府歴史空間論専攻博士後期課程単位修得後退学。
現在、九州大学大学院人文科学研究院西洋史講座助教。博士(文学、九州大学)
 
主要業績
「中世盛期北フランスにおける中規模領邦の展開(12世紀後期~13世紀初期)──ポンテュー伯の側近たちをめぐって」
 (九州西洋史学会『西洋史学論集』第46号、2008年、39-57頁)
「12-13世紀における北フランス中規模領邦とコミューン──ポンティウ伯領を素材に」
 (日本西洋史学会『西洋史学』第255号、2014年、22-40頁)
「12-13世紀におけるポンティウ伯の文書と文書局」
 (九州西洋史学会『西洋史学論集』第53号、2016年、1-22頁)

学術図書刊行助成

お勧めBOOKS

ブッククラブと民族主義

ブッククラブと民族主義

会員制の廉価書籍販売組織であるブッククラブは、ドイツにおいて1920年代から19...

詳細へ

空にかかるはしご

空にかかるはしご

日本では医療が進歩して救える命が増えた一方、それでも毎年約5,000人の子どもた...

詳細へ

元素の名前辞典

元素の名前辞典

欧米以外で初めて発見された元素である、113番元素の名前がニホニウムに決定したこ...

詳細へ

九州大学出版会

〒814-0001
福岡県福岡市早良区百道浜3-8-34
九州大学産学官連携イノベーション
プラザ305
電話(092)833-9150
FAX(092)833-9160
E-mail : info@kup.or.jp

このページの上部へ