ヨーロッパ中世世界の動態像 史料と理論の対話

シリーズ名
森本芳樹先生古稀記念論集
著者名
藤井美男・田北廣道 編著
価格
定価 10,340円(税率10%時の消費税相当額を含む)
ISBN
978-4-87378-825-8
仕様
A5判 上製 640頁 C3022
発行年
2004年3月
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内容紹介

西欧中世史研究の第一人者,九州大学名誉教授森本芳樹氏の古希記念として本書は編まれた。とはいえ単なるアンソロジーではない。氏が過去四半世紀をかけて続けてきた研究会のメンバーの手による本格的な研究書である。本書は「史料論」を核に据えつつ,新たな歴史像の再構築を目指すという共通認識のもと,史料自身のありようを同時代状況において見直すという第一部「史料論の世界」,史料の多元性・複合性に注意を払いつつ実証作業の奥行きの深さを問う第二部「史料と理論の対話」の二本柱で構成される。いずれも,中世初期から後期(一部近世初期を含む)の西欧世界を満遍なく網羅し,気鋭の若手から中堅,練達の研究者が,各人の得意とする分野を深く掘り下げて論考し,西欧中世史を動態的に抉り出す。

目次

          第1部 史料論の世界
<初期中世>
1. 司教グレゴリウスの沈黙 …………………………………… 佐藤彰一
   ――歴史叙述とその作者――  
2. カロリング期の聖者伝 ……………………………………… 梅津教孝
   ――『ボニファティウス伝』を中心に――  
3. confirmation と affectation の間 ……………………… 丹下 栄
   ――カロリング期の財産割当文書をめぐって――  
4. 8-10世紀イタリア北部の裁判集会文書 …………………… 城戸照子
5. アングロ・サクソン期文書における古英語の利用 ……… 森 貴子
   ――ウスター司教座関連文書の検討から――  
<盛期中世>
6. 紀元千年頃の俗人の土地領有をめぐって ………………… 安立 孝
   ――スペイン北東部リバゴルサ地方の場合――  
7. カンタベリ大司教トマス=ベケット
   関連書翰の収集と伝来 …………………………………… 苑田亜矢
8. 13世紀後半イングランドの裁判実務書 …………………… 直江眞一
   ――『ルフィード本』を中心として――  
<後期中世>
9. 慣習法文書としてのモンスの特権 ………………………… 斎藤絅子
10. 工業規約の史料論 …………………………………………… 藤井美男
   ――中世都市メヘレンとアトの事例――  
11. 領邦の記憶 …………………………………………………… 中堀博司
   ――ブルゴーニュ公国南部におけるオフィシエ(1386-1435年)――  

         第2部 史料と理論の対話
<初期中世>
12. 8・9世紀モンテ・アミアータ修道院の
   証人戦略と領民支配 ……………………………………… 西村善矢
13.「プラキタ」の復活とシャルル禿頭王の王権……………… 加納 修
14. 外来と土着 …………………………………………………… 市原宏一
   ――考古学資料を基にしたバルト南岸地域史研究の課題――  
<盛期中世>
15. 11世紀のイングランドにおける
  「よき死の社会」と「地域」の誕生 ……………………… 鶴島博和
16. 12世紀パリ司教座教会において
  「参事会員であること」 …………………………………… 岡崎 敦
17. 12世紀修道院領の積極経営とは何か? …………………… 舟橋倫子
   ――アフリヘム修道院領をめぐって――  
18. 11-13世紀ラ・トリニテ修道院海浜所領
   ウィストラムの展開 …………………………………… 藤本太美子
19. ソルボンヌ学寮草創期の後援者たち ……………………… 大嶋 誠
20. 13世紀ポワトゥーにおける伯権力と都市民 ……………… 大宅明美
   ――ラ・ロシェルの都市内商業をめぐって――  
21. 13世紀後半サン・トメールのバポーム
   通過税免除特権をめぐる一考察 ………………………… 山田雅彦
   ――ある例外の背景とその波紋――  
<後期中世>
22. キングストン・アポン・ハルの建設 ……………………… 田村理恵
23. 中世後期フランス都市財政における
   ぶどう酒税について …………………………………… 花田洋一郎
24. ドイツ中世都市「最古の悪臭防止文書」 ………………… 田北廣道
   ――15世紀後半のケルン経済社会――  
25. 裁判史料を通じてみたユースの
   利用に関する一考察 …………………………………… 高 友希子
   ――Capell v. Scott(1493-4)を手がかりに――  
26. 16世紀のカナリア諸島における奴隷現象 ………………… 関 哲行
   ――「奴隷包摂社会」論,「差別論的奴隷」論を中心に――  

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