目次
まえがき・・・・・・・・・・高橋隆雄
第I部 歴史における医療
第1章 西欧中世における医療概念・・・・・・・・・・宮川俊行
西欧中世における医学と医療/西欧中世医学と現代
第2章 生命政治と健康・・・・・・・・・・船木 亨
臨床医学の誕生/病人と臨床的身体/政治生命/魂への「配慮」
第3章 古代日本の思想と医療・・・・・・・・・・西田晃一
古代の思想から現代の医療を問い直す
モノノケ思想と医療/モノガミ思想と医療/ケガレ思想と医療
第4章 医療とは何か?・・・・・・・・・・コンスタンティン・S. クルーツキー
バイオ・コスモロジーの視点から
現在の世界における地球規模のバイオ・パラドックス/生命科学の哲学的基盤に関するパラドックス/
「証拠に基づく哲学と倫理(Evidence Based Philosophy and Ethics)」の必要性と「地球規模の病因論的パラドックス」/
コスモロジーの本来的概念/バイオ・コスモロジーの現実性についての間接的あるいは直接的議論/
コスモスの16の普遍的法則(生命実在的根本原理)/「東洋的補完」医療と「東洋的代替」医療/主要な論点
第II部 医療概念の再照射
第5章 医療の目的と医療専門職の義務の限界・・・・・・・・・・浅井 篤
医療とは何か/これらは医療行為なのか,どこが疑問点なのだろうか/本考察の意義
第6章 医療法の変遷から見る医療概念・・・・・・・・・・稲葉一人
国家行政組織法と厚生労働省設置法/医療法の制定過程/医療法1条の変遷/法哲学的アプローチ/法社会学的アプローチ
第7章 医学的介入の論理と障害の概念・・・・・・・・・・八幡英幸
「何もしないより,何かよいことをしたほうがよい」か
医学的介入の論理/原則とその適用の問題点/難病を持つ人やその家族の「語り」から
第8章 「動物への医療・ケア」と「人間への医療・ケア」・・・・・・・・・・藤井 可
動物への道徳的配慮に関する諸立場/「動物への医療・ケア」の分類/「動物への医療・ケア」と「人間への医療・ケア」の対比
第III部 看護とケア
第9章 看護職の専門性を生かす・・・・・・・・・・石井トク
患者の安全・安心の確保のために
チーム医療の成熟/医師と看護師の法的業務責任/看護職と保健師助産師看護師法/高度看護教育と実践力/
チーム医療における看護の役割
第10章 看護の現場から見た健康・・・・・・・・・・森田敏子・前田ひとみ
看護理論と看護診断に見る健康の見方
より良い健康を目指して生きる人々の支援/看護における診断と治療
第11章 ケアと正義の基底にあるもの・・・・・・・・・・高橋隆雄
アリストテレスの友愛論から
ケアの倫理と正義の倫理/アリストテレス友愛論の構造 分類(A),分類(B) /
アリストテレス友愛論の構造 3つの脈絡 /正義と友愛の関係 均等化原理 /親から子への愛の特異性/
アリストテレス友愛論からケア論へ/正義の倫理とケアの倫理について
第IV部 成熟・異常・エンハンスメント
第12章 人間の生の目的と成熟の概念・・・・・・・・・・岡部 勉
非人間的・反社会的存在/成熟の概念/人間性の起源/理性的能力の成熟/人間的な世界とはどのような世界か/
人間的な生の設計
第13章 精神に疾患は存在するか・・・・・・・・・・北村俊則
連続量的分布傾向を示す生命現象は病理的か?/精神疾患は社会的に不適応か
第14章 パーソナリティ障害とパーソナリティの成熟・・・・・・・・・・木島伸彦
パーソナリティとは/クロニンジャーのパーソナリティ理論/パーソナリティ障害とは/
パーソナリティ障害とクロニンジャー理論/パーソナリティ障害の治療/パーソナリティの成熟/
パーソナリティ障害とエンハンスメント
第15章 エンハンスメントから願望実現医療へ・・・・・・・・・・松田 純
病気治療という医学の本義との関係
伝統的医療の本質と規範 病める者の救済/願望実現医療の隆盛/新しい傾向とどう向き合うか?/
今後の課題 多方位的戦略としての願望実現医療論
第V部 医療の社会的文脈
第16章 仕事としての医療・・・・・・・・・・中川輝彦
診療のリスク/医師集団の形成/医師の集合原理/医師の自己規制/現代医療のジレンマ
第17章 医療と悪・・・・・・・・・・慶田勝彦
ケニア海岸地方における伝統医療者の専門職化とその座礁
施術者の専門性/施術者の「いかがわしさ」/モダニスト言説/問われるべき問題/施術の捉え方