生命倫理研究とは,現実の諸問題の本質を解明するとともに,問題解決に向けての具体的指針を模索するものである。それには倫理学をその任に堪えうるように鍛え上げることと多くの分野にわたる共同作業が不可欠である。本論集は日常的な共同研究を基礎にして,徹底した討議をへて成った論文集である。「情報」を中心テーマとする本書では,医療情報や遺伝子情報をめぐる倫理的諸問題はもとより,情報環境と人間,機械と生命との根本的関係や人間の尊厳のあり方の考察を通じて,生命と情報に関する本質的な問題が論じられている。「遺伝子」,「ケア」,「ヒト胚と人間の尊厳」,「よき死」,「環境」を主題としてきたこのシリーズも本巻でひとまず完結する。
第1章 遺伝子情報と環境要因………………………………山村研一 ――FAP発症過程に見る―― 言葉の定義/表現型に対する現在の遺伝学的考え方/ゲノムサイズと 遺伝子数/家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)第2章 情報環境と人間………………………………………中山 將 情報の成立/情報と知/環境としての情報/情報の特異性第3章 デジタルとバイオ……………………………………高橋隆雄 ――機械・生命・尊厳―― デジタルテクノロジーとバイオテクノロジー/生命の世界と機械の世 界/遺伝子の時代の「尊厳」概念第4章 機械と人間の組みあわせについて…………………船木 亨 わたしは機械であるか/機械と真理/人間は機械であるか/機械と生 物/人間工学/疲労の現象学/巨大なもの第5章 生命と情報をめぐる思想史序説……………………八幡英幸 ――カントの有機体論を中心に―― カントの有機体論/生命と情報思想史的考察へ第6章 遺伝情報におけるプライバシーと守秘義務………松田一郎 プライバシーと守秘義務/遺伝情報とその特性/遺伝情報における所 有権の成立と特許/遺伝差別の防止第7章 医薬情報とビジネス…………………………………田中朋弘 ソリブジン事件/インサイダー取引の倫理性/医薬情報とビジネス付 論 バイオテクノロジー…………………………………加藤佐和 ――小史と現状・課題―― バイオテクノロジーとは/バイオテクノロジー小史/バイオテクノロ ジーの現状と課題
生きている言語は常に変化し続けています。現代日本語も「生きている言語」であり、「…
詳細へ
冤罪はなぜ起こるのか。刑事訴訟法は明文で、「犯罪の証明があった」ときにのみ、有罪…
物理学者フェヒナー、進化生物学者ヘッケル、そして発生生物学者ドリーシュ。本書はこ…
近代日本のなかで主要な政治勢力の一翼を担った帝国陸海軍は、太平洋戦争の敗戦ととも…
本書の目的は,建物・橋梁・車両・船舶・航空機・ロケットなど軽量構造物の振動現象を…
〒814-0001福岡県福岡市早良区百道浜3-8-34 九州大学産学官連携イノベーション プラザ305 電話:092-833-9150 FAX:092-833-9160 E-mail : info@kup.or.jp