内容紹介
1991年の森林法改正で登場した森林の流域管理システム政策。この森林・林業政策の基調を農民的家族経営の確立という視角から,モデル流域の一つである新興林業地の宮崎県耳川流域を実証的に研究した書である。主に若手研究社が足と目と耳でかせいだ成果であり,林家の生産構造,直系家族と「むら」の変容,森林組合及び第三セクターの事業展開と役割,特用林産物の経営構造,木材の流通・加工体制,森林のレクリエーション利用といった耳川流域の多角的な分析となっている。
同時に,第2部は林業労働力と森林管理問題,第3部は山村における家族経営の存立基盤と林野土地問題に関するベテラン・中堅研究者の論文をまとめており,次世紀に向けて森林・林業政策の展開方向について総括的な問題提起を行っている。
編者の九州大学の定年退官を記念して17人の各世代研究者が集って執筆した書である。