内容紹介
本書の目的は,建物・橋梁・車両・船舶・航空機・ロケットなど軽量構造物の振動現象を解析するための基礎理論を説明することである。
本書では,軽量構造物の振動現象を解析する数値解析法の基礎として,運動方程式の導き方と解き方について詳しく説明している。説明は,バネとマスからなる単純な1自由度の振動系から,順次,2自由度系,3自由度系,多自由度系(構造物)へと展開している。特に,線形代数の固有値問題と振動の固有値問題との関係を丁寧に説明した。
また,軽量構造物の主要な構成要素である梁,平板,円筒殻について,偏微分方程式を用いた解析的な方法についても,自由振動の運動方程式の導き方と解き方を詳細に説明している。
本書の特徴は次のとおりである。
(1) ロケットの振動を例に示すことによって,構造振動学の理論を具体的に説明した。
(2) 式の展開では,途中を省略せずにできる限り詳しく示した。特に梁・平板・円筒殻の運動方程式がいずれも共通の手順によって誘導できることを詳しく説明した。
(3) 拘束がある構造物の運動方程式 MX..+KX=0 に対して,線形代数学の固有値問題 A-λIX=0 に変換して解く方法を詳しく丁寧に説明した。
(4) 拘束がない構造物(航空宇宙機・人工衛星等)の剛体モードの求め方,および固有振動数・固有振動モードの求め方を詳しく説明した。
(5) 有限要素法の基礎であるマトリックス法を用いて,梁状構造物の全体の剛性行列・質量行列の組立て方,および固有振動数・固有振動モードの求め方を詳しく説明した。